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2004/5/30

夢  

  
 夢を見た

 小高い丘の上のコンクリの収容所
 誰も知らない ここで
 過去に傷持つ医師らが仕事をしている
 ランニングシャツ姿で
 お金のため でもなく
 やりがいを持って でもなく
 大小様々な傷を共通項に
 その過去に触れることもなく
 修道院のような静かな中で
 仕事をしている

 私は去年からそこにいる
 私達の仕事というのは
 季節ごとに現れる妖怪を退治することだった
 悪さをする妖怪は
 屈強な男達が素手で倒し
 口が悪いだけの妖怪には
 何もしないようだった

 風の冷たい ある日 季節は 秋から冬へ
 急襲した円錐形の砂の妖怪を
 黒人の医師と明日のジョーのような医師が倒した
 妖怪の放つ閃光を避けつつ 私は後ろに控えていた
 3人で息を荒げながら 詰め所のコンクリの壁にもたれる
「大丈夫か?」
 明日のジョー医師が くたびれた表情のまま私に気遣う
 いつも優し過ぎるこのひとに 小さくうなずく
 少しまた 痩せたかジョー---と 胸が疼く
 
 
 そのあと来た妖怪・泥人間は
 悪さをしない常連なので
 私はホットの缶コーヒーを乱暴に渡した
「おまえはっ いつもっ 乱暴だなっ ふんっ」
 泥人間はぷりぷり怒って帰っていった
 その足取りが いつもと違う
 後を振り返ると
 黒人の医師は言った
「間違いない。右半身麻痺だ。」
 はっ として泥人間の去っていった方を見つめた
 脳梗塞を 妖怪も起こすなんて 知らなかった
 

 私は言い知れぬ思いで 心の中 叫んだ

 泥人間---!

 泥人間---!
 
 
 琴線を揺らして 切ない思いを残して
 泥人間も収容所も医師等も去った 
 夢



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