2004/5/6

黒衣と白衣 その1  


 主人公は、麻衣(まい)といいます。マイペースだからです^^
動きは特別鈍くはないけれど、精神の動きは極めて遅く自覚のない
マイペースです。かなり私に似た、研修医です。でも、基本的に
フィクションです。「麻衣の物語」と思って読んで頂けたら、
幸いです。
 短編小説のように長くなってしまいましたが、ごゆっくりどうぞ^^

         +  ・  +  ・  +

 精神的な動きが時速5cmくらいの研修医麻衣は、救急病院にいて
とても浮いていた。が、自ら希望し熱意で採用された病院でそれなりに
頑張っていた。まだ医師になって半年だったが、そんなひよこである
ことも忘れて働いていた。
 あんなに細かく見えていた季節も、今は春夏秋冬の4分割。
時間の流れがとても早く感じる。

 ある日、麻衣が病棟にいると緊急放送が流れた。

「ドクターブルー、救急外来。ドクターブルー、救急外来。」

 ドクターブルーというのは心肺停止患者到来の合図。
患者を驚かせないその秘密の言葉の意味を知る院内の医者が放送とともに
一気に駈け付ける。正直圧巻である。
 麻衣が着いたときには、ERに医師は溢れていた。皆うっすら
興奮している。青ざめているような人は---いなかった。
患者はこれから到着らしかった。その場の一番適した人が救命の
リーダーになり、ER勤務中の医師から情報を得ててきぱき指示を出す。

「えー50代男性、スーパーでの急な意識消失ね。来たらバイタルとって
モニターもつけて、原因は頭かな、心臓かな---血ガス・採血採って点滴入れて
胸と腹写真撮って、1年生心臓マッサージ救急隊から引き継いでね。
あとは必要なら挿管してバッグで換気だね。よし、」

 首を回したり指を鳴らしたり、これから何をするつもりなのか準備運動を
している人もいる!麻衣はいくぶん魂が離脱しているのを時々はっと戻し
ながら患者を待った。
 このときの空気は、『生死をさまよっている人が来る!』という緊迫感とは
ちょっと違う。どちらかというとキャッチフレーズは『よっしゃこい!』だ。
ちなみに麻衣のキャッチフレーズは『・・・』だ。なぜって、目の前に
死にかけた人が来るという事実をオロオロしないで事にあたるには、感情を
フリーズさせるのが一番速かった。もうすぐ来る患者を前に、場の空気を
乱さず力を合わせなければならない。



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