2020/8/10

『二人で歩いた幾年月』の曲がりくねった道  

木下恵介監督の『二人で歩いた幾年月』(1962)年)は秀逸。主演は、佐田啓二、高峰秀子。中井貴一は佐田啓二の子と知る。その子らしい素晴らしい俳優。佐田は37歳で交通事故で亡くなる。高峰秀子は『放浪記』で凝縮して見せているどこか投げやりなそれでいて芯の強さを感じさせる物言いとあのすねた表情が良い。貧困の中にありつつそれを呪い倒し負けるものかという不品行な前向きさが良い。

原作ともなった河野道工の挿入歌がこれまた心にしみる。

我が家もあらぬ故郷に帰り来て道路工夫となりて生きゆく

子に残す何一つなき我れ故に子は大学に入れてやりたし

親心子は知らぬかも汽車の窓手を振り笑みて去りし我が子よ

今頃は静岡あたりと子が発ちし夜半に妻がだしぬけに言ふ

子の荷物作りし縄が散らばれり今日よりは妻と我のみの家

旅行きし子が残したる古きシャツ洗ひて妻が我れに着するも

老い古りしこの妻と添ひ二十五年子をたゞ一人育てたるのみ

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