やっと「自然のカケラ」が校了しました。
でも、まだ問題が。
ひょっとすると違うタイトルになっちゃうかも知れないんですよ。
やだなぁ。
今度の本、簡単に言えば親子のための自然観察本ですが、書き方をちょっと工夫してみました。
何というか、点描法的アプローチとでも言えばいいかも知れないアプローチをとってみたんです。
昨年出した「小さなビオトープガーデン」も、その傾向は強かったんですが、今度の本はタイトル自体が「カケラ」なので、身の回りのフラグメントを寄せ集めながら、環境そのものを浮き彫りにできたらおもしろいなぁ、なんて、大それた事を考えて、去年の書き方をさらに進めてみたんです。
点描法と言っても、これは絵画の印象派で言うそれではなくて、方法論的にはドビュッシーの「海」からウェーベルンへと続く、音楽的点描に近いものを意識していました。
まぁ、どんな感じかは、できてからのお楽しみ。

ところで、掲示板の方へ出題したままになっていた物件。
たわわになった金色の実は、直径1cm程度。
台湾中部の丘陵部にある庭に植えられていた物です。
日本でも、この頃では少しだけ実を着けるようになった人気の花木です。
昆虫も、この頃やっと食える物なんだと認識したらしく、花を訪れるようになってきたおかげですが、それでも1株に数粒なっていればいい方と言ったのが日本での状況です。
さて、この木は何でしょうか?
紫色の小花が、房になって咲きますよ。

これは縁日で売っていた鉢花にやってきたキチョウ。
デュランタの花です。
たくさん咲く割には、いまだに日本の虫たちの人気はいまいちで、おかげで滅多に実を着けないんですね。
台湾はこの花の原産国ではありませんが、そこはほれ、遙かに濃密な生物相に支えられて、あのたわわな実りを迎えているんですね。
というわけで、正解はデュランタでした。
媒介昆虫の学習?例をもう一つご紹介しようと思います。

これは台湾中部(台中)の茶畑脇に野生化していた物。
何だかわかりますか?
そうそう、インパティエンスなんです。
これが山道や谷川沿いに延々と野生化してるんです。
日本だとこれまた虫たちには不人気な花で、コバチやヒラタアブの仲間が訪れる程度なんですが、台湾ではいたる所に野生化させるほどおびただしい結実を約束するだけの訪花昆虫に恵まれているようです。
たとえば、この子。

アゲハの仲間がやってきました。
初めてこの花を見たとき、ホウセンカの仲間よろしく、花の後ろに長い距を伸ばして蜜を貯めていたんで、本来なら例えばビロードツリアブみたいな子やオオスカシバのような長いクチバシを持った虫がやってくるんだろうなって思っていたんです。
ところが、庭のあちこちに植えておいても、日本の虫たちは見向きもしない。
それでも実はなってるんで、なんか来てるんだろうと見張っていたら、さっき書いたコバチだのしか来なかったってな話しなんです。
これから先、日本でもだんだんに蝶たちも学習して、インパティエンスの花の蜜を吸いに来るようになるのかなぁ?
なかなか楽しみなことです。