気ままニュース155

ただいまぁ〜!
鹿教湯(かけゆ)温泉に行ってきましたよ。
ぼくたちの宿は、なんでも、ムササビがたまに廊下とかに出没する宿らしいんだけど、
結局目撃はしてないです。
そうそう、なかなか良い湯でしたよ。
で、どんな所かって言うとね
「その昔、鹿に変身した文殊菩薩が、
日頃、信仰浅からぬ
一人の猟師に
信州、丸子の山中に湧く
効能あらたかな
いで湯の存在を
教えた......」
と、つっこみどころ満載な言い伝えの温泉です。
つっこみどころ?
と言うか、味わい深いエピソードだなぁと。
えぇ。
仏教ってのは基本的に四つ足は食っちゃぁいかんというんじゃなかったですか?
とはいえウサギは例外で、連中は鳥の一種だという乱暴な論法というか方便で、一羽二羽と数えたっていうのはご存じですよね。
早い話猟師というのは、当時の宗教事情とかから言うと、一般人からすれば忌み穢れの対象だったっちゅうことなんですね。
でも、カツカツで暮らす山の暮らし、そんなことを言ってたらだぁれも生きては行けないんですよ。で、あえて穢れた職業の人間に文殊様がわざわざ教えたってあたりが、なんて言うのかねぇ、包容力?愛の力?ってか、認めざるを得ない生活事情なんてのを感じさせるんですよ。
いえ、あたしゃぁ家の事情でなったにわか神道ですから、そんなことはどうでもいいんですよ。
それよりも、この界隈の原始宗教や神道が仏教とうまい具合にブレンドされてできたこの空間が異様に居心地が良かったんですよね。
いわゆる何とかって有名な人の言う、日本独自な宗教観がよく体現化されてる気がしましてね。
というわけで、
鹿教湯(かけゆ)温泉のムササビを見ようと、お向かいの文殊様や薬師如来様が祀られている、川を挟んで旅館の真向かいにある境内へと探険に出掛けました。

水の翼
源泉を守るにはふさわしい造形でしょ?
これ、文殊様のお堂の上に鎮座まします、まさに鬼瓦。
両脇は、なかなかにアールデコな雰囲気の、水紋のような、はたまた翼のような瓦にかためられてました。
なんでも、元禄14年(1701)に着工し宝永6年(1709)に完成したんだそうで、傷みはひどいけれど、それはもう豪華絢爛たる様式。
完成当時を偲びながら、ため息混じりにお社を眺めてきました。
えぇ、何というか神仏混淆な雰囲気でねぇ。
文殊様という神様をお祭りしているとでも言ったら良いようなムードを醸し出してましたよ。
この頃、お寺さんの境内だと何となく居心地の悪さを感じがちな、にわか神道な僕なんですが、ここはすっごく居心地が良かった。
この感覚、いったいなんなんだろうねぇ。

で、このお方は、文殊堂の前に並ぶ同僚のお弟子さんの一人。
はて、誰でしたっけか。
慈愛に満ちた良いお顔をしてます。
テクニックに流れない、良い造形ですよね。
妹と2人して、すっかりこのお方のファンになっちまいましたよ。
ははは

で、境内の杉の木を見上げると、あったあった、ムササビの巣穴。
まだちゃんと使われてる気配。
どうもキツツキの穴を拡張して流用してるようです。

さて、夜になっていそいそと境内を探検に行ってきました。
これは薬師堂。
このあたりでも、以前よく見かけたと、宿の主人。
でも、見つかりませんでしたねぇ、ムササビ君。
地面に食べかすの小枝どころかドングリのカケラすら落ちていない。
どうしちゃったんだろねぇ。
やっぱり、ライトアップとかの影響も大きいんだろうか?
宿の主人には、これからはエコツーリズムの時代ですからねぇ、
ムササビやモモンガに会える宿なんて、貴重だと思いますよなんて吹聴してきたのであった。
数年前までは、廊下やベランダ、天井裏から玄関まで、連中が闊歩していたと言うんだから、
あぁ〜あ、見たかったなぁ。
最終日の昨日は、美ヶ原高原に寄ってきました。
いや、良い天気。

カラマツもまだ、紅葉にはちょっと早かったですけどね。
こうやって日に透かしてみると、葉の奥底に隠れている秋の色が見えてきます。かすかに黄色がかってるでしょ?
もう2週間もすれば、このあたりの山一面、金色に染まることでしょう。

美ヶ原高原。
こうやって眺める分には気持ちの良い所ですが、実はここ、高原全部が放牧場なんですよね。なので、実際に歩くとどこまで行っても牧草が生えているだけの、牛の糞が落ちているだけの、単調な場所なんです。
観察できる植物は、10種類以下ときたもんだ。
ヨーロッパでならいざ知らず、この貧しさは日本では生態的空白。
遙かアモーレの鐘まで道は続き、山荘のマイクロバスは走ってますがね、一般車両は環境保護?のために通行禁止のエリアなんですわ。
まぁ、わからんでもないですが。
言うなら、牧場保護でしょうに。
だから、原王ヶ頭ホテルのテラスからの眺めに、コーヒーでもすすりながら「へぇ〜、自然保護ねぇ」なんてスタンスでのんびりするのが一番なんですわ。がはははは。
そうそう、ここの
断崖絶壁を見下ろしながらの温泉も、なかなかおつなものです。高所恐怖症じゃなければ、おすすめ。