
もう先月のことになるんだけれど、例の六道山公園で里山マイスター講座っていう、林の管理方法などに関する講習会を見学しに行ったときのこと。

ふと足元を見ると、落ち葉の中にコナラのドングリが。
コナラ薪炭林の中でドングリなんて、べつに珍しくもないのだけれど。
よく見るとしっかりと根を張っている様子。
いや、これだってべつだん珍しい話しでもないのだ。
何度目かの遅い秋雨の後、林を歩けばきっと目にとまる風景なのだから。

そっと落ち葉をよけてみると、ホラ、意外にしっかりした根が地面に突き刺さっている。

落ち葉の中だけではない。
林のそこここに積み重ねられた朽ち木の上にも、ホラ!

朽ち木がフカフカの土の代わりとなって、新しい命を育んでいる。

べつの朽ち木の上では、雨に洗われて根本がすっかり露出している物さえあった。
もう何十年も伐採していない薪炭林のコナラは20mほどにも生長して、夏の林はうっそうと暗い。
こんなに
沢山の芽生えも、ほとんどは日照不足のために1年を乗り切ることさえ出来ない物が大半なのだ。
この
芽生えも例外ではないだろう。
とは言え、春の芽吹き前にひからびてしまうのを見過ごすのも忍びない。

全く余計なお世話だとは知りながら、好奇心も手伝って、朽ち木の中からそっと根を引き抜いてみた。
少しずつ慎重に朽ち木を崩していく。
......なんとビックリ!
30cmちかく伸びていたのだ。
こんなささやかな種のどこにこれほどの力が隠されて居るんだろうか。
さっそくフカフカの腐葉土を掘り起こして、この子を埋めておいた。
チョコンと、頭だけは地面の上に覗かせてね。
春になれば、やわらかな緑色の新芽を力一杯拡げて、新緑の終わり頃までは元気いっぱいに生長するだろう。
さて、そこから先は、
そこから先は、いつまで耐えられるだろうか?
それでも束の間、このささやかな生命は、林の中のほかの生き物たちの糧となって命を支えていくんだろうね。