
時の経つのは早いもので、もう4年も前になるかなぁ、Web版自然のカケラを連載してた頃に高尾山の山頂で作った手作りフォーク、おぼえてる人いるかしらん?
先日、伊勢丹の屋上に出来たビオトープガーデンを見に行った時、ついでに生活雑貨フロアーをお散歩してたら、おやまぁ、製品として売ってるんで嬉しくなっちゃいました。

作っていたのは、津軽塗(七々子塗)箸の職人さん。
良くある実演販売コーナーに坐って、一生懸命作ってました。
まぁ考えてみれば、デパートの一角で漆塗りの実演なんて無理な話ですし、かといって一日手持ちぶさたで講釈だけというのも、職人気質の彼には合わなかったんでしょうね。
僕もかつては、渋谷の東急とかで作品展なんかした時には暇をもてあまして色々作って遊んでましたから、彼の気持ちは何となくわかるような。
で、色々と質問したら、喜んで教えてくれました。

サンドペーパーで仕上げ工程をこなしながら答えてくれました。
まず、素材なんですが、これ、ウメの徒長枝を使ってるそうなんです。
里山管理の下刈りで出たクロモジなんかで作ったりするのが良いかなって思ってたんですが、これなら麓の果樹園の小枝もうまく使えそうですよね。

では、プロの手業を拝見しましょう。
まず、フォークのシッポの部分。
角がきちんと面取りされてますね。
ふむ、さりげないけれど、きちんとした仕事。
さすがです。
ついでに、幹の真ん中の髄(ずい)の太さを見ておいてくださいね。

次は柄の部分。
小枝を根本から綺麗に削り取っています。
これなら確かに持ちやすいし、製品らしさも出てきます。
でも、せっかくの小枝の切り口のおもしろさが失われてしまうのが、僕にはちょっともったいないように感じました。
枝分かれした切り口がはっきりわかった方が、こういうフォークの野趣を楽しむには良いんじゃないかなぁ?
まぁ、もちろん好きずきですけどね。

さて、最後は、肝心のフォー婦の頭の部分です。
やっぱり、フォークの幅は髄の所を取った太さになるんですね。
そう、髄の部分はもろいですし、カビも生えやすいですから、こんな風に綺麗に取り除いた方が実用性の高い物が出来るんですよね。
で、最後に口当たり滑らかになるように、サンドペーパーで仕上げればできあがりというわけ。
ところで、この手作りフォークのお値段、新宿伊勢丹ではお幾らだと思いますか?
なんと、1本、800円だそうです。
さぁ、あなたも秋の野山に行って作ってみませんか?
A(^_^;