さて、あちこち飛び回ってて、なかなか続きが書けませんでした。
とにかく、黒部の続きをまとめましょう。
ブナ林の中の散策ルートが、すっかり草を刈り取られてて不機嫌になった僕でしたが、ここの管理をしているメンバーの中にも少しは植物に対して気を遣ってるらしい人もいるようだと言うことに気がついて、少しだけ希望を持ったのでした。

たとえばこのオニノヤガラ。
菌類と共生する「
菌根植物」で、光合成をしないため、葉っぱがありません。
さすがにこの植物だけは、道ばたに刈り残されてました。

ところで、これ、何だかわかりますか?
ササの一部がお魚みたいな形になってますよね。
笹魚ってよばれてます。
実はこれ、
ササウオタマバエって言う虫による虫瘤なんですよ。
まぁ、刈り取られてしまった他の植物を今さら嘆いても仕方がないので、ここはもっと上の方に視線を向けて、ブナを観察することにしましょうか。

道ばたのブナの木の根本を見てください。
曲がっちゃってるでしょ。
冬の間に積もった雪に押されて、こうなったんですね。

これは、幹の中心が枯れてペッタンコになったブナの木。

こんなになっても生きてるんですから、すごい生命力ですよね。

弱ったブナの木に取りつくツリガネタケ。
立ち枯れた樹をどんどん分解していきます。

分解が進むと、甲虫類などが住み着くようになり、キツツキたちが穴を空けて、さらにボロボロになっていきます。
森の中では、枯れ木さえも多くの生き物を養い、無駄がありません。

ふと、足元を見ると、ブナの芽生えが精一杯葉っぱを拡げていました。

そう言えば去年はブナの当たり年で、一面覆いつくすほどのドングリがなりました。
でも、一斉に芽を出しても、ほとんどが十分な日光を得ることが出来ずに、こうして枯れていきます。
一見無駄なようですが、枯れてキノコ類などの菌糸で分解されて豊饒な土壌が作られ、そんな土地には最初に紹介したようなめずらしい菌根植物なんかも暮らせる森が維持されていくわけなんですよね。

さて、今年は、ブナのはずれ年になりますから、飢えた森の住人達が里に下りてきて問題を起こさないと良いんですけどねぇ。
ちょっと心配です。