ピアノ教室の発表会は6月3日。
それに先駆け、今日は同じ会場でリハーサルです。
私の持ち時間は午後3時20分から20分間。
会場のドアをそっと開けると、「エリーゼのために」が聞こえてきました。
弾いているのは、昨年震災直後にウイーンへ一緒に行ったTさんです。
他に生徒さんは誰もいません。
ライトを浴びてピアノの前に座りました。
観客は誰もいないのに緊張感が走ります。
心を落ち着かせてゆっくり弾きました。
何度も練習した、ランゲの「花の歌」です。
しかし、ピアノの音が余り聞こえません。
いつもよりタッチを強くしてみました。
どうにか1曲弾き終えると、先生の声がしました。
「ピアノの音は充分響いているので、それ以上頑張らなくてもいいわよ」
いくらかホッとしました。
2回目は少しは緊張感がほぐれてきました。
そして3回4回と弾いているうちに楽しさを感じるようになりました。
本番は一回限りです。