「魔笛を聴くの、一緒に行ってもらえない?」
「どうして?」
「だって、一人で一日ウィーンで過ごすの心配だもの」
ザルツブルグに行く日、私はどうしても魔笛を聴きたくて
いちじんさんに頼みました。
日本ならひとりでどこへでも行けるのに、ウィーンではちょっと不安です。
たとえ喧嘩をしながらでも、いちじんさんとなら心強いです。
「しょうがないな、じゃあ、一緒に行くか・・・」
「ザルツブルクに行けなくなってしまうけど、ごめんね」
夜になって、正先生に電話をしました。
「やっぱり魔笛を聴きたいんでチケットを手配してもらえますか。
ザルツブルグに行けなくなってしまいますが、それでもいいです・・・」
すると正先生は、「そこまでして聴きたいんですね」と笑いながら言いました。
「なら、ザルツブルグに行くのは予定通り18日にしましょう」
そうすれば19日の魔笛を聴けます。
ただ、そんな我儘を言って良いのか心配すると、
まだ、ザルツブルグに行く日を18日から19日変更する、と
みんなに連絡していないから大丈夫とのこと。
これで、モーツアルトの故郷ザルツブルグに行くことも、
モーツアルトの魔笛を聴くことも叶います。