MRIで胆のうと膵臓を検査する日です。
看護師さんから「閉所恐怖症はないですか」と聞かれ
「ないと思います」と答えました。
人によって恐怖を覚えるのでしょうか。
質問されたことによって、不安がちらりと過りました。
ベッドのようなものに横たわり、カプセルに入る前、検査技師から言われました。
「何かあったらこれを押してくださいね。じゃあ、ちょっと試してみて」
ゴム風船のようなものを強く押しました。
「ああ、大丈夫ですね」と検査技師。
何かあったら、ってどんなこと。その言葉でまた不安になりました。
私を支える台が少しずつ動き、カプセルの中に入っていきます。
いよいよ検査が始まります。
すっぽり中に入ると、頭上の方から音楽が流れてきました。
よく聴くと、モーツァルトの「アイネクライネ・ナハトムジーク」です。
音楽がかかっていることが、「怖くないから大丈夫よ」と聴こえ、かえって不安材料でした。
それでも目をつむり、音楽を聴きながらうとうとしていれば、
40分があっという間に過ぎるだろうと思いました。
「それでは始めますね」とマイクから声が聞こえました。
「大きく息を吸って。ハイ止めて」
息をとめた途端、金属音が鳴りだしました。
「カン・カン・カン・カ〜ン」「ダッダッダッダー」「コン・コン・コン」
まるで機関銃のような大きな音です。歯を食いしばって怖さに耐えました。
「はい、楽にして」と言われるまで10秒以上はあり、それを何度も繰り返します。
ウトウトするどころではありません。楽にして、の声で呼吸を整えます。
「Yさん、大丈夫ですか」
とマイクから声がしました。
はい、と言うとまた作業が続きます。
「Yさん、順調に写真が撮れていますよ」
とまた検査技師の声。
再び鋭い音が頭の中に響きます。
しばらくして、またマイクから声がしました。
「Yさん、大丈夫ですか」
「はい」
「半分以上終わりましたよ。もう少し頑張ってくださいね」
そんな会話をしながら、やっとのことで検査を終えました。