先週土曜日以来、5日振りの通院です。
「どうですか」
穏やかで口数の少ない医師は、いつものようにそう言いました。
「また痛みが強くなってきて・・・」
そう答えた私の表情は曇っていたのでしょうか。
「前回は少し良くなってきていましたよね。きょうはちょっと憂鬱な気分ですね」
医師はそう言いました。
「三寒四温という言葉があるでしょう」
医師は言葉を続けながら片方の手を上げ右肩下がりの線を描きました。
下がっては、またちょっと上がり、また下がる。
そして医師の手はずっと下まで・・・。
こうして痛みは消えるといいました。
「もう注射は要らないと思っていたけど、今日もしましょう。
23日にもう一度して、来週は2回、そして今月中にはなんとかしましょう。
絶対治るからね」
別室のベットのところまで行く途中、涙ぐんでしまいました。
絶対治るからね、と言われたことがどれだけ嬉しかったことでしょう。
血圧を測り始めた看護師さんは言いました。
「泣きたいときは泣いてもいいのよ。それだけ痛かったのよね」
そんなやさしい言葉を掛けてもらえたのは初めてです。
ますます涙が出てしまいました。
外傷がない痛みは、本人以外には伝わりにくいものです。
もう一か月も痛みが続いていると、家族にも「痛い痛い」と言うのをためらいます。
聞いている方の厭になっちゃうのでは・・・
言っても分かってもらえないのでは・・・
言えば相手に負担をかけてしまうのでは・・・
言わない方がその場の雰囲気を明るくできるのでは・・・
そんな訳で言えなかった言葉。
言えば楽になることもあるのです。
注射のあと1時間ほど休んで帰ろうとしたとき、先ほどの看護師さんが言いました。
「諦めないで治療を続けましょうね。きっと良くなりますよ」
病んでいる私の心がフッと和らぎました。