「ゼブラーマン/三池崇史;2003年劇場公開作品」
映画
宮藤官九郎脚本のスーパーヒーローものということで、彼らしいギャグ満載のエキセントリックなコメディ映画を予想したのだが、確かにそういう要素もなくはないものの、基本的にはわりと真面目な正統派スーパーヒーローものになっていた。へえ、クドカンこういうものも書けるんだ、というのが正直なところ。
東京都八千代市にある小学校で学年主任を務める市川先生(哀川 翔)は、生徒からもナメられる典型的ダメ教師なのだが、かつてのスーパーヒーロー(ただしまったく受けず、わずか7話で打ち切りに^^;)ゼブラーマンの手縫いのコスチュームを深夜密かに着ることだけが、唯一の楽しみだった。ある日、とうとうその姿のままジュースを買いに外出した市川先生は、おりから八千代市で続発していた通り魔事件に遭遇してしまう。その通り魔は、なぜか大きなカニの仮面をかぶった異様な姿の男(なんと柄本 明!!)だった。怪人カニ男は両手のハサミで攻撃を仕掛けてくるが、ゼブラーマンのコスチュームに身を包んだ市川先生は、普段では考えられない身のこなしで攻撃を受け流し、あっさりと怪人を倒してしまう。かくしてダメ教師市川のゼブラーマンとしての活躍が始まった^^;
全体的には低予算の安っぽい作品なのだが、たとえば電車の線路脇の安アパートに防衛庁特殊機密捜査部の基地があったりする変なリアリティが、これまでの国産ヒーローものとちょっと違っていて面白い。たた、たとえばエイリアンの体液らしきものを浮かべて分析しているプールのような場所は、その一方で部員たちの風呂(ちょうど銭湯の湯船大=てゆーかたぶん銭湯でロケしたんだろうけど)としても使われている、などという設定はあまりに無理があり(体液の調査をしている分析官は防護服を着ているのに、そこに入って来た捜査官は全裸の入浴スタイルだったりする^^;)話のリアリティを大きく削いでしまった。まあ、こういうところがクドカンらしいといえばらしいのたが。
やがて事件の核心が市川の勤める小学校にあるとわかり、ゼブラーマンのコスチュームに身を包んだ市川先生は、一人エイリアン軍団に戦いを挑むのだった。・・・ってこのあたりになるともうホンモノの特撮ヒーローものもかくやという迫力で、この手のジャンルのファンにも十分アピールするグレードに仕上がっていたと思う。
しかし、よく考えるとなぜに「ゼブラ」ーマンなのか、ちょっと気にかかる。ライオンやチーターならまだしも、ゼブラ(シマウマ)は単に肉食動物に狩られるだけの弱い存在である。ごく単純にゼブラーマンの決め台詞「白黒つけるぜ」からの連想で採用されたのか?・・・
★★★

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