「ミラージュ ステルス極秘指令/ ジャン・ピエール・テサニア;1991年フランステレビ映画」
テレビ番組
「スカイナイツ」の新作シリーズ(といってももう16年も前の話だが)二本目の作品。「
熱砂の追撃」とどっちが先なのか、製作年度が同じなのでよく判らないが、ビデオの通しナンバーではこちらが後なので、一応こちらを最新作としておく。今回はキャラクター説明的な部分もほとんどなく、いきなり本題に入っているので、おそらく正解だと思う。
今回もまたタンギーとラベルデュールの二人のパイロットが活躍する話だが、前回の舞台、ジブチ共和国では一応軍務で赴任していた、という設定だったので飛行シーンがそこそこあったものの、今回はまったくの私用でメキシコを訪れている、という設定なので、冒頭のフランスでの訓練シーン以外、ミラージュ戦闘機が登場することはなかった。
お話は、昔ある事件で逮捕されたパイロット仲間のディディエがタンギーとラベルデュールを逆恨みし、メキシコにおけるスパイ事件で濡れ衣を着せるために、たまたま休暇でメキシコに来ていたラベルデュールの妹を利用しておびき寄せる、というもの。そのスパイ事件というのが表題のステルス戦闘機 F-117Aの盗み撮りなのだが、正直言ってあの程度の画像がそれほど貴重とも思えず、むしろ、警戒厳重なはずの米軍秘密基地の上空に、おんぼろセスナでやすやす侵入して写真を撮ってしまうテクニックの方が遥かにスゴイ。
ディディエの乗ったおんぼろセスナが盗撮していたのと同じ頃、タンギーとラベルデュールは行方不明の妹を軽飛行機で捜していたのだが、偽の地図を渡されていたため領空侵犯を犯して米軍に逮捕されてしまう(もちろん囮役を演じさせられていたわけだが、迎撃してきたF-16はどう見てもラジコン機^^;)拘留されている二人の前になぜかフランス軍の将校が現れ、二人にステルス機の画像が収録されたカセットを48時間以内に回収する任務を与える。まったく土地勘がなく、スパイでもないただの軍人に与える任務としては、とても遂行不可能なシロモノに思えるが、今回のシナリオでは突っ込みどころが多すぎて、こんなのはまだまだ序の口^^;
以下ネタバレあり、まだ観てない人は読まないように
とりあえず二人はおんぼろセスナが不時着した地点にパラシュート降下するのだが、ラベルデュールは川に落ちてタンギーとはぐれてしまう。この二人がディディエを捜して繰り広げる珍道中がややまだるっこしく(かろうじて川からはい上がったラベルデュールが、タンギーに追いつくべく車泥棒したり^^;)また、ディディエの策略で人里離れた場所にいる妹の余計な描写(毒蛇に噛まれたり、墓泥棒に襲われたりさんざんな目に^^;)もふんだんにあって、展開は非常にスローモー。そうかと思うと、何の手がかりもないのにタンギーたちは近くの町でばったりとディディエに巡りあい、あっけなく捕まえてしまう。その時、たまたま(^^;)持ってきていた同型のカセット(二人に命令を下した将校の私物)を本物と偽って彼に渡したりして(どうしてディディエが使っていたカメラのタイプまで事前にわかったのだろう?)話はますます変な方向に展開する。
いろいろあってとても居場所など判らないであろうと思われた妹は、ディディエを捕まえた次のカットでもうタンギーたちと再会しており、余りのご都合主義に開いた口が塞がらなかった。みんなが再会を喜びあっていたころ、ディディエが偽のカセットを持ったまま逃亡するのもお約束^^;逃げたディディエはクライアント(最近ではお定まりの謎の中国人^^;)と落ち合い、そこでカセットがすり替えられていたことに気付き、本物の隠してある教会へと急ぐ。もちろんタンギーたちも先回りして教会に行っており(カセットが教会に隠されたことはつきとめていたが、どこにあるのかまでは判らなかったので、ディディエ本人が持ち出して来たところを押さえるつもりだったのだろうが、最初からそういう目的で偽のカセットを持っていたというのはあまりにも・・・^^;)そこでデイディエやクライアントたちと銃撃戦になるというクライマックス^^;
前作を観たときにも感じたが、、とにかくタンギー役をクリスチャン・バディムから引き継いだマルク・マウリーの魅力のなさには閉口した。せっかくクリスチャンが造形した「クールな中にもちゃめっ気のある長身のハンサム青年」というキャラを、「長身のハンサム」という点以外すべてスポイルしてしまっているのだから。ラベルデュールが口にした「親友が妹の恋人でもあるってのは変な気分だ」という台詞も、こんな大根が相手ではまったく生きてこない。シナリオが無茶苦茶なので、せめてキャラクターの面白さで見せて欲しかったのだが、タンギーがこんななのでラベルデュール役のティエリー・レドレールもどうしようもなかったらしく、クリスチャン・バディムとコンビを組んでいたころの生き生きした魅力は微塵もなかった。・・・
★★

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