「ルパン三世 the Last Job/アミノテツロ;2010年テレビアニメ作品」
アニメーション
本編内容を云々する前に、この地デジ時代に全編スタンダードサイズで製作する意図がよく判らない。文芸作品ならいざ知らず、ルパンシリーズみたいなアクションものの場合、映像表現にはワイドスクリーンの方が圧倒的に有利なはずなのに、なぜ画面両サイドに黒みの入る狭い画面で見なければならないのか???
いまや劇場用アニメはいうまでもなく、わずか10回程度のテレビシリーズでもハイビジョン製作が当たり前の時代である。予算をかけられないマイナー作品ならいざ知らず、ルパンのように局の顔ともいえるドル箱シリーズに十分な予算がかけられなかった、ということもないだろうし・・・、謎である。
さて、内容はいつもどおりのハッタリとアクションでごまかす空疎なもの。冒頭で銭型警部が殉職してしまうところが新味といえば新味だが、もちろんそのまま終わりということはなく、死んだ理由というのも説得力のないもので、本当にただ話題づくりのためだけの設定だったのだな、と判ってしまう。
ルパン一味のキャラデザインは、そこそこ昔ながらの伝統を守っているが、新キャラは例によって同一作品に登場しているとは思えないほど「違う絵」で、まるでモンキーパンチ先生の絵の中に里中満智子先生のキャラがゲスト出演しているみたいだった。せめてもう少し、統一感を出す努力だけでもして欲しかったところだ。
以前に比べてメカはわりとよく動いているが、手描きにこだわったわりには(どう見てもCGではない)デザインはやはりもうひとつ、というかもうふたつくらいのダサさ加減だし、動かし方のセンスも今三くらいで情けなかった。せっかく車を使ったアクションをやるなら、せめてもう少し現実の車の挙動を知っている人にコンテを切ってほしかった。
お話のオチも、それまでの伏線があまりに不十分なために唐突としか思えないし、だいたい中世のテクノロジーでレーザー光線を発振できるという設定自体、トンデモ度が過ぎる^^;
そもそも、ルパンはなぜこの件に関わってきたのか、そして峰不二子の目的は何だったのか、何もかも曖昧なまま無理やり終らせてしまった感は免れない。・・・
★★

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