眉村卓原作のSF小説「とらえられたスクールバス」を鬼才・真崎守(まさき・もり)が監督した角川映画作品。
ある日、未来から現れた少年がヒロイン哲子の兄のロケバスに転がり込み、彼女のスクールメイトである真一や信夫たちもろとも過去へタイムスリップしてしまう。やがてロケバスが時空間から通常空間に出たとき、そこは東京大空襲の真っ只中だった。空襲の火の粉から逃れて彼らはふたたび時空間に飛び込み、江戸時代から戦国時代へとひたすら時間を遡る。そしてとうとうロケバスが破壊されてしまったとき、彼らの前に立っていたのは織田信長その人であった・・・。
COM時代の漫画家・真崎守といえば、凝りに凝った構成といささかクサすぎる台詞回し、そしてなにより個性的な絵柄が魅力だったのだが、本編は大和屋竺氏と竹内啓雄氏、それに真崎氏の共同脚本であり、絵柄もキャラデザが萩尾望都と、真崎氏らしい個性を発揮する余地がほとんどなく、(りんたろう氏などプロデューサーサイドの要求と思われる)いかにも判り易すぎる演出スタイルもあいまって、真崎氏は単に名義貸ししただけではないかとさえ疑わせる出来栄えの、凡作アニメと成り果てた。ところどころに登場する角川春樹氏詠むところの珍妙な句が雄弁に示すとおり、本編はまごうことなき角川映画そのものであった。
いちおう劇場公開作品であり、それなりに丁寧に作画はされているものの、センスの古さはいかんともしがたく、せいぜい「かつてこんなSFアニメがあった」という程度の作品であったというしかない。・・・
★★

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