ケーブルカーはその構造上、路線の途中に中間駅を設けることは容易ではなく、実際に中間駅が設けられるケースはまずほとんどありません。私が京都に住んでいた当時よく利用していた男山ケーブル(京阪鋼索線)にも、中間駅はありませんでした。
しかし、極希にですが、ケーブルカーの路線にも中間駅が設けられることがあります。
例えば、日本では箱根登山鉄道の鋼索線、大山観光電鉄の大山鋼索線、比叡山鉄道の比叡山鉄道線、近鉄の生駒鋼索線の4鋼索線に、それぞれ中間駅が設置されています。
ケーブルカーは2台の車両が巻上機を介して釣瓶式に結ばれているため、片方の車両が停車すればもう片方の車両も同時に停車するという構造になっており、そのため好き勝手な場所に中間駅を設けることはできず、中間駅を一つのみ設置する場合は路線中間の行き違い場所に、また二駅設置する場合は、上下方向とも距離が対称となる地点に駅を設置しなければなりません。駅設置のための制約が一般の鉄道以上に厳しいのです。
そのため、そこそこの利用が見込めそうということで、行き違い場所以外の地点に中間駅を設けてしまうと、他のもう一つにあまり意味のない駅(全く利用者の見込めない駅)が出来てしまうのです。
今回の写真の駅は、そんな貴重なケーブルカーの中間駅、比叡山鉄道(滋賀県大津市)の「もたて山駅」です。
比叡山鉄道では2つの中間駅が設置されており、この写真の駅は山上側にある駅で、山麓側には「ほうらい丘」という駅が設置されています。
どちらの駅がそれに該当するのかはわかりませんが、多分どちらかの駅は“あってもなくてもどうでもいいような駅”だと思います(笑)。
ちなみに、比叡山鉄道は、比叡山延暦寺への参拝客を運ぶため昭和2年に開業した、比叡山の門前町・坂本と、山上の延暦寺東堂を結ぶケーブルカーで、全国のケーブルカーの中では最長距離を誇ることでも知られています(路線距離は2kmなので、男山ケーブルの丁度5倍の距離があります)。
この写真は、ケーブルカーの車内から撮影したもので、私は実際にはこの駅には降りてはいません。というよりも、この中間駅はシーズン中利用者がいる場合のみ停車する駅なので、通常、この駅を利用することはできません。
しかし、ケーブルカーの中間駅はとても珍しい存在なので、あまり綺麗には撮れませんでしたが走行中の車中から撮影してみました。

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