大阪市を南北に縦貫する鉄道路線(未成線)の「なにわ筋線」については、
平成21年8月17日の記事や
平成26年1月28日の記事などでも解説させて頂きましたが、そのなにわ筋線について、大きな動きがありました。
昨日、読売新聞が報道した内容によると、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電気鉄道、阪急電鉄の5者が、なにわ筋線に阪急電車が乗り入れるという新たな事業計画で大筋合意しました。
なにわ筋線の事業に、JRや南海とは軌間の異なる阪急も参入する事になったのです!
なにわ筋線は、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」でJR西日本が建設中の地下新駅と、大阪最大の繁華街である難波付近とを結ぶ路線で、その路線に各社の路線(JR西日本、南海、阪急)がそれぞれ接続する事で関西国際空港とも直結される事になります。
ちなみに、南海への接続ルートについては、当初は
汐見橋駅を地下駅化してそこになにわ筋線を接続させる計画でしたが、汐見橋駅接続では黒字化が望めないのに対して難波駅接続では最短で24年目に黒字化が望める、難波駅接続となる場合は地下ホームの新設と分岐のため配線変更が必要となるものの空間的には建設が可能、などの理由から、南海難波駅を経由するルートで合意されました。
なにわ筋線が完成すると、大阪の陸路の玄関口である新大阪駅、阪急の神戸本線・宝塚本線・京都本線の3本線が集結する結節点である十三駅、大阪の都心である梅田(所謂キタ)、京阪電鉄の主要なターミナルのひとつである
中之島駅、大阪の商業的な中心地である難波(所謂ミナミ)、空路の玄関口である関西国際空港とが鉄路により一本で結ばれる事となり、梅田地区と関空の所要時間は現在の約1時間から、最速40分以下に短縮される事になります。
兎も角、建設構想の浮上から約30年という時を経て、なにわ筋線の建設計画が新たな形で決着し、これにより、関空と大阪都心の所要時間が大幅に短縮されるだけでなく、各社の乗り入れにより乗客の利便性も高まる事になります。
また、今回の大筋合意を受けて、なにわ筋線の開業は、13年後の平成42年(現時点では
北海道新幹線の新函館北斗〜札幌間が開業するとされている年の前年ですね)を目指す事も発表されました。
ところで、JRと南海の線路が狭軌である(そのため、なにわ筋線も当然狭軌で建設されます)のに対して、阪急の線路は標準軌であり、その違いをどうやって克服するのかというと、報道によると、阪急は十三に地下新駅を建設した上で、その駅とうめきた新駅との間に狭軌の新路線を建設し、乗り入れ専用の狭軌の車両も製造して、なにわ筋線に乗り入れるとしています。
これが実現すると、阪急も、近鉄のように自社の路線の中で、軌間の異なる路線を有する事になります。
従来の自社線とは互換性のない狭軌の新路線とそれ専用の車両を開発するとは、阪急にとっては何とも面倒な事ではありますが、しかし阪急がなにわ筋線に乗り入れるためには、現状では確かにそれ以外に選択肢は無さそうです。
なにわ筋線の線路を三線軌条化すれば、わざわざ狭軌の車両を新造する必要は無くなりますが、三線軌条は保守のコストや手間がかかり、ポイントの構造も複雑になりますし、そもそも、うめきた新駅と関空までの間全てを三線軌条化するのは(技術的に不可能では無いものの)距離が長過ぎてあまり現実的とは言えないですし、また、実用化されればこういったケースではもっとも効果的であろうフリーゲージトレインも、いまだ実用化の目途がたっていませんからね。
以下の写真4枚は、いずれも、私が
平成20年8月に関西を旅行した際に十三駅で撮影したものです。阪急初の狭軌線となる新線の地下駅は、この地上駅の地下に建設される事になります。


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