「京都〜姫路間で運転されたお召列車のイメージを模型で再現!」
鉄道模型(N)
俗に「お召列車」と称される、天皇陛下や皇族の方々御乗専用の列車「一号編成」を精密に模型化した5両のセットを、今年の初め頃、ネットオークションで買いました。
私が落札したのは、マイクロエース製の5両セットのほぼ未使用の中古品で、このセットは以前から欲しいなぁと思っていたのです。
ただ、動力(牽引する機関車)はセットに含まれていなかったため、当然というか、やはり機関車も欲しくなり(笑)、今年の3月には、発売されたばかりのマイクロエース製の「C59-108 お召指定機・改良品」も模型店で購入しました(機関車は新品で買いました)。
一号編成の客車5両セットは、後から機関車を追加購入した場合、その機関車もケースごとセットの箱内に収納できるようになっていたため、早速機関車も箱の中に一緒に収納しました。
それが下の写真で、これが事実上、一号編成のフル編成です!
上の写真に写っている車両のうち、機関車(C59)を除く客車5両は、戦前から使われてきた旧来の一号編成を昭和33〜34年にかけて国鉄が大幅に更新・修繕した、リニューアル版の一号編成を1/150スケール(Nゲージ)で模型化したもので、丁度真ん中の車両(写真では分かり辛いかもしれませんが車体には実車同様、菊の御紋が入っています)が、天皇・皇后両陛下が御乗車される「1号御料車」という、御座所のある御料車です。
下の写真が、その1号御料車の実写と模型の比較写真です。
御料車の車体の、菊の御紋が付けられていて窓が大きくなっている箇所が、天皇・皇后両陛下がお座りになられる御座所です。実車の写真では、今上陛下と皇后陛下が窓から手を振っておられる所です。
実車の御座所には御椅子2脚と回転椅子4脚が置かれているのですが、近年の運転では、両陛下が車内の御座所で御着席になられる事はほとんどないそうで、この写真のように、両陛下は走行中でも御座所の窓を開けてお立ちになり、ずっと沿線の人々に手を振っておられるそうです。
なお、実車の御座所は桃山時代の華やかな様式・風格を表現するため、天井には20Wの蛍光灯80本を埋め込んでアクリル板により透かした「光天井」となっているそうです。
その他にも、この1号御料車には、室町時代の寂の味を採り入れたとされる御休憩室、藤原時代の優美さを採り入れ女性的な感覚が盛られているとされる御化粧室、次室、御厠(お手洗い)などが設置されているそうです。
上の写真は、模型のC59を近接して撮影したものです。
実車のC59は、幹線優等列車牽引用(C53の後継機)として昭和16年に誕生した、全長21.5m・自重134.7t・動輪径1,750mm・軸重16.04t・最高速度110km/hの大型パシフィック機(軸配置2C1)で、合計で173両が製造されました(1〜100号機の「戦前型」と、101〜132・156〜196号機の「戦後型」に大別されます)。
この模型のモデルとなった実車の108号機は、一号編成を3回牽引した記録を持つ、梅小路機関区の所属機で、上の写真の模型は昭和31年10月に一号編成牽引の本務機に指定された際の晴れの姿を再現したものとなっています。
御覧のように手の込んだ塗装が施されており、また正面で交差している日章旗やデフの鳳凰のマークなども誇らしく、お召指定機らしい格調の高さが感じられる、実にカッコいい機関車です!
上の写真は、そのC59と一号編成の模型をそれぞれ連結させた状態です。
東海道線上を蒸気機関車が牽引したお召列車は、このC59-108号機が昭和33年4月5日に、九州で行われた全国植樹祭に際して東海道・山陽本線(京都〜姫路間)で一号編成を牽引したのが最後の運転となっており、上の写真は、その時の様子をイメージとして再現した編成です。
但し、C59-108号機が最後に一号編成を牽引したのが昭和33年4月であるのに対し、前述のようにこの一号編成(客車5両)の模型は、昭和34年に改修され翌35年に始めて走行したリニューアル版の一号編成を模型化したものなので、現実には、この組み合わせで運転された事はないと思われます。
リニューアルされる前の、旧一号編成の模型であったなら、実車通りに再現できたのですけど。

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