大阪府堺市北区の中百舌鳥駅と大阪府和泉市の和泉中央駅とを結ぶ14.3kmの路線(所要時間約16分、全線複線、起終点駅を含め全6駅)は、「泉北高速鉄道」(せんぼくこうそくてつどう)と称され、地元の利用者からは単に「泉北線」もしくは「泉北高速」と呼ばれることも多いのですが、実際には、泉北高速鉄道という名の鉄道会社があるわけではなく、大阪府などが出資する「大阪府都市開発株式会社」という第三セクターが、第一種鉄道事業者としてこの鉄道を運営しています。
泉北高速鉄道は、昭和46年にまず中百舌鳥〜泉ヶ丘間が開業し、南海に業務を委託する形で営業を開始し、昭和48年には栂・美木多まで路線を延伸し、昭和52年には更に光明池まで延伸し、そして、それまで南海に委託していた業務を段階的に直営化していき、最終的には平成5年までに全業務の直営化を行ない、その後、平成7年に和泉中央まで路線を延伸し、現在に至っています。
現在では、中百舌鳥〜和泉中央間の線内折り返し運転のほか、中百舌鳥駅からは南海高野線に乗り入れ、南海難波駅まで、南海との相互直通運転も行っています。
今月、その泉北高速鉄道を民営化する決定が下されました。
橋下徹知事を本部長とする大阪府の戦略本部会議が今月9日に開かれ、泉北高速鉄道を運営する大阪府都市開発株式会社を民営化する方針を決定したのです。
大阪府都市開発は、第三セクターとしては珍しく(笑)長年黒字経営なのですが、民間に委ねた方が経営効率が更に高まると判断され、また売却収入を府の財政再建に充てるため、民営化させることになり、大阪府の方針として正式に決定された案では、同社は一括して売却はせず、鉄道と物流などの各事業に分けた上で段階的に分割・民営化を進め、3年以内に保有株式を売却し完全民営化を達成するとしており、今後は、同社と具体的な協議に入ると共に株主や府議会とも調整するとしています。
昨年2月に大阪府知事に就任した橋下徹氏は、府の幹部との協議で、図書館以外の府営施設は廃止または売却する方針を明らかにしており、昨年6月に発表された大阪維新プログラムでは、同社は府マリーナ協会や府食品流通センターなど5法人と共に既に民営化の方向性が示されていました。
同社の売却先は入札で決めることになりますが、泉北高速鉄道と相互乗り入れを行っている南海への売却が有力と見られ、南海でも大阪府都市開発の株式の取得を検討している、というニュースが既に一部で報じられています。
なお、大阪府都市開発には、府が49%を出資している他、関西電力(18%)、大阪ガス(18%)、銀行3行(各5%)なども出資しており、同社は鉄道事業である泉北高速鉄道の他、東大阪市などで大規模なトラックターミナルを運営し、また、子会社がりんくうタウン(泉佐野市)でホテルや国際物流施設を運営するなどしています。

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