今までこのブログでも度々取り上げてきた、西大阪高速鉄道(大阪府や大阪市などが出資する第3セクター)が建設工事を進めていた
阪神なんば線の西九条〜大阪難波間(3.4km)が、今日、ついに開業しました!
同区間は、阪神が昭和42年に建設を開始していた路線で、長かった工事中断期間を挟んで(鉄道の建設により街が分断されるとして沿線の住民や商店街などから建設反対の運動が起こり工事中断に追い込まれていたのです)、約40年もかかってようやく開業したことになります。
工事が始まった時に小学生だった人も、今ではもう40代後半以降になっているはずですから、関西の人達も、近年になって工事が再開されるまでは「この路線、本当にできるのか?多分もう無理なんじゃないか?」と半ば諦めていたのではないでしょうか(笑)。
この開業に合わせて、昨日まで西大阪線と称されていた阪神の尼崎〜西九条間は阪神なんば線に編入され(ちなみに同線の開業に合わせて近鉄では
近鉄難波は大阪難波に、
上本町は大阪上本町に、それぞれ駅名を改称しました)、これにより、新たに尼崎〜大阪難波間(10.1km)の路線が誕生したことになり、そしてそれは、単に、阪神の路線延長距離が増えた、大阪の都心部を東西に貫く路線が誕生した、などという小さな意味に留まるものではなく、
山陽姫路〜近鉄名古屋及び賢島までが一本のレールで連結され、関西に画期的で新しい鉄道ネットワークが誕生したことを意味します(
昨年10月6日の記事で詳しく紹介させていただいたように、将来的には姫路と名古屋、伊勢志摩を結ぶ最長約280kmの特急運行も期待されています)。
そういった意味では、昨年の10月に開業した
京阪中之島線の開業よりも阪神なんば線の開業の方が、関西の鉄道ネットワークに与える影響や効果はかなり大きいであろうと思われます。
開業に先立って昨日、阪神なんば線のドーム前駅で行われた発車式では、加納時男国土交通副大臣や平松邦夫大阪市長らがテープカットし、続いて北区のホテルで開かれた開通式典と祝賀会には、約1,000人が参加したそうです。
そして開業日の今日、近鉄では大阪難波駅や近鉄奈良駅で、阪神では三宮駅や尼崎駅で、それぞれ出発式を行い、テープカットの後、沿線住民や鉄道ファンらを乗せた一番列車が駅員らの拍手を受けて発車しました。
報道によると、尼崎を出発した近鉄奈良行きの一番列車に乗った阪神の坂井信也社長は、大阪難波駅で列車を降り、同駅で出迎えた近鉄の野口満彦副社長と固い握手を交わし、「感慨深い」と笑顔を見せたそうです。
また、この時近鉄の野口副社長は、「阪神電鉄沿線や山陽電鉄沿線の方に来ていただきたい。伊勢や名古屋にも特急列車を運行しているので、ぜひ足を運んでいただきたい」と近鉄線をPRすると共に、神戸方面からの直通特急についてもコメントし、「まだ相談段階」とした上で、「相互直通運転が始まったので、確実にある話。2015年の伊勢神宮式年遷宮がベストのタイミング。時間はかかるが積極的に取り組んでいきたい」と述べ、近鉄としての今後の方向性を示したそうです。
ちなみに、阪神なんば線開業の6日前(3月14日)に、読売新聞から『
伊勢志摩─姫路250キロ、4社横断最長特急に近鉄乗り気』というタイトルで以下の記事がネットで配信されており、やはり近鉄としては直通特急の実現に、かなり本気のようです。
『
3月20日の阪神なんば線(尼崎―近鉄難波)開通で、私鉄では国内最長の約250キロを走破する特急が実現に向けて踏み出す。
三重県・伊勢志摩と兵庫県姫路市を結び、4府県と鉄道4社にまたがる〈近畿横断特急〉。近鉄は各社に熱いラブコールを送り、早ければ数年後の運行を目指す。
特急は近鉄の賢島駅(三重県志摩市)から近鉄大阪線や阪神なんば線などを通り、神戸市の第3セクター神戸高速鉄道が運営する神戸高速東西線(5キロ)を経由。さらに山陽電鉄本線を通って山陽姫路駅(兵庫県)に乗り入れる。なんば線開通時は、賢島―姫路は各線を乗り継いで約4時間かかる。
伊勢志摩方面の近鉄の乗客は志摩スペイン村(志摩市)の開業した1994年度の約553万人から、2007年度は約254万人に激減。13年の伊勢神宮式年遷宮を控え、兵庫県との直通運行で修学旅行など新たな乗客の開拓を図る近鉄は「各社の理解を求めたい」と意欲を見せる。
ただ、現在の近鉄特急は自動列車停止装置(ATS)が他社路線に対応しておらず、大幅な改造や新型車両の導入が不可欠。「ダイヤの調整や設備更新も必要」(阪神)、「乗客増につながる」(神戸高速鉄道)と各社に微妙な温度差もあるが、なんば線開業に合わせて阪神三宮駅(神戸市)に近鉄特急の券売機がお目見えするなど、実現への〈布石〉は着々だ。』
阪神なんば線の開業により、尼崎〜大阪難波間は最速14分で結ばれ、阪神電鉄はキタ(梅田)とミナミ(難波)の大阪
両都心にアクセスできる電車となります。
また、同線の開業により阪神と近鉄が相互乗り入れを行い、三宮(神戸市)〜近鉄奈良(奈良市)間を快速急行が最速76分で走り、1日約67,000人の利用が見込まれています。
開業初日なので当然といえば当然なのですが、今日は、同線を走る電車はどの車両も軒並み混雑し、各駅のホームでは、列車にカメラを向ける人なども沢山見られたそうです。
阪神なんば線は今後も目が離せない、関西圏でも特に注目度の高い路線といえます。
なお、今日実際に阪神なんば線の電車に乗った人からの報告によると、阪神と近鉄の乗務員交代は、大阪難波駅ではなく阪神なんば線に新たに設けられた桜川駅で行われ、近鉄特急は大阪難波を越えて桜川駅構内まで入線し、同駅の引込線で折り返すという運転を行っているそうなので、桜川駅でも
アーバンライナーやビスタカーなどを見ることができるようです。
上の写真は、今月17日(阪神なんば線開業の3日前)に大阪難波駅のホーム西端から尼崎・三宮方面を撮影したもので、昨日までは、この写真で電車が停まっている地点で近鉄電車は全て折り返していましたが、今日からは、阪神なんば線に乗り入れる近鉄の電車は更にこの先へと進むようになり、また、近鉄線内を折り返す電車も、一部はこの先(次の駅)の桜川まで進むことになります。

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