阪神なんば線が来年3月20日に開業し近鉄線と阪神線が連結されることにより(勿論今月開業する
京阪の中之島線も重要な路線ですが)、今、近畿圏の鉄道ネットワークは大きく進化・発展しようとしており、その動きが今年に入ってからは特に活発化しています。
以下は、今年の7月9日に配信された「神戸新聞NEWS」からの転載です。記事のタイトルは「姫路と奈良・伊勢結ぶ 近鉄、山陽に乗り入れ計画」です。
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近畿日本鉄道は八日、二〇一〇年春を目標に、山陽電気鉄道に乗り入れる構想を明らかにした。〇九年春に阪神電気鉄道との相互乗り入れが始まり、阪神と直通運転している山陽とも線路がつながることから、両社と調整に入った。姫路と奈良、伊勢志摩を結ぶ計画で、世界文化遺産・国宝姫路城と古都・奈良、伊勢志摩を直結する新ルートは国内外の観光客を引きつけそうだ。(西井由比子)
近鉄の路線網は三重、愛知にまで及ぶが、ローカル線も抱え、鉄道収入の大きな伸びは期待しにくい。プロ野球や遊園地などレジャー・観光事業を大幅に整理する一方、テーマパーク「志摩スペイン村」や、小説「華麗なる一族」の舞台となった志摩観光ホテルなど自社系リゾート施設が多い伊勢志摩を最重点地域に、集客に努めている。
だが修学旅行や団体旅行が多い伊勢神宮は、兵庫県内と乗り換えなしで結ぶJRが使われる場合が多く、山陽への乗り入れで利用客を取り込む。さらにJRが走らない志摩へも呼び込みを図る。
特急や修学旅行専用電車を中心に運行する計画。一〇年以降には奈良の平城京遷都千三百年や伊勢神宮の式年遷宮など大型行事が控え、近鉄の野口満彦副社長は「兵庫から奈良や伊勢志摩を訪れやすくしたい」と話している。』
上の記事中にある伊勢志摩というのは、上の路線図の中では宇治山田、鳥羽、賢島の各駅の周辺地域のことです。
そして、以下は先月27日に配信された「MSN産経ニュース」からの転載です。上の記事の続報とも言える内容で、記事のタイトルは「姫路−賢島に直通特急 私鉄最長250キロ、22年にも」です。
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来年3月の「阪神なんば線」開業を前に、山陽電気鉄道の山陽姫路駅(兵庫県姫路市)と近畿日本鉄道の賢島駅(三重県志摩市)を乗り換えなしで結ぶ直通特急を走らせることに両社と阪神電気鉄道の3社が基本合意したことが26日、分かった。実現すれば、総延長250キロ超とJR以外の私鉄で最長距離を走る特急が誕生する。特急料金の設定など課題も多いものの、関係各社の間で具体化への機運が高まっている。
阪神なんば線は、来年3月20日に尼崎(兵庫県尼崎市)−近鉄難波(大阪市)を結ぶ阪神の新路線。現在の尼崎−西九条(大阪市)を結ぶ「西大阪線」を延伸して改称する。開通とともに近鉄、阪神が相互直通運転する計画で、三宮(神戸市)−近鉄奈良(奈良市)間を結ぶ快速急行も設ける。
快速急行より速い特急やさらに長い距離の直通運転は、開通時のダイヤに設定されていない。ただ、観光客増加や沿線観光地の活性化に向けて、近鉄と山陽は姫路−賢島間の直通特急に強い意欲を示している。阪神なんば線開業作業にめどがついた時点で、阪神も両社と検討に入るもようだ。
関係者によると、直通特急は当面、修学旅行などの団体旅行向けに近鉄が不定期に運行する案が有力視されている。車両は山陽の駅ホームが短いことに配慮、近鉄の4両編成が投入される公算が大きいという。区間内のトンネルの関係で、近鉄が賢島方面向けに使用している展望車付きの「伊勢志摩ライナー」は投入されない見通しだ。
また、近鉄特急は運賃と別に特急料金を徴収する一方、阪神の特急は運賃だけで乗れるなど制度上の違いもあるだけに、新たな料金制度が必要になるとみられる。
直通特急が走行すれば、近鉄にとって兵庫県内から同社の主力観光エリアである伊勢志摩への観光客増加に弾みがつく。阪神、山陽にとっても、沿線活性化への期待が膨らむ可能性があり、具体的な戦略を描くことになる。
“私鉄最長特急”の誕生は早くても平成22年春以降になる見通しだが、鉄道ファンの間でも話題になりそうだ。』
私のような関西圏の私鉄好きにとっては、思わず「やったぁ!」と叫びたくなる、とても嬉しい、明るいニュースですね!
個人的には、
山陽姫路と近鉄名古屋との間にも是非直通特急を走らせて貰いたいですが、姫路〜名古屋間は新幹線やJR在来線も走っているため需要はそれ程高くはなさそうなので、観光客の増加が見込める伊勢志摩方面と姫路方面とを結ぶ事にしたのでしょうね。
ただ、直通特急は、近鉄線と同じように山陽、阪神、
神戸高速の各線内でも有料特急として運転されることになるのでしょうが、上記の転載記事にもありましたようにその際どういう料金体系となるのかは気になる所です。
また、伊勢志摩ライナーが直通特急に投入されない見通しなのは少し残念でもあります(そもそもトンネルの関係で伊勢志摩ライナーが投入できないという理由がよく分かりません)。
それにしても、距離としてはたった3.4kmしかない阪神なんば線が開業することによって、走行距離の総延長が250kmを超える、私鉄としては国内最長距離の特急が走るようになるとは、凄いことですね!
更に妄想を言えば、これはフリーゲージトレイン(軌間可変電車)が実用化されることがまず大前提となりますが、地下で隣接し合っている近鉄名古屋駅と名鉄名古屋駅とを連絡する渡り線を造り、最終的にはその渡り線を通って山陽姫路から豊橋まで直通特急が走るようになれば、もっと凄いですよね!最長距離が更に更新されます。
とはいえ、これはあくまでも私の妄想なので、そもそもその需要や必然性はあるのか?といった厳しいツッコミは御容赦下さい(笑)。

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