「福祉と贈与―全身性障害者・新田勲と介護者たち」深田耕一郎 生活書院 (2013/10)
人にものをたのむことをしなければ、助けを請わなければ、生存がままならないという負い目を主体的に生きた、全身性障害者・新田勲。その強烈な「贈与の一撃」を介護者として自らの身体で受け取ってしまった著者が、公的介護保障の実現を求めて生涯、社会運動にかかわったその生の軌跡と、矛盾と葛藤に満ちた「福祉」の世界を描き切った渾身入魂の書。
フリーライター渡辺一史の新聞書評には次のようにある
「福祉はドラマチックでなければならない」 キレイゴトのドラマではなく 障害者と介護者が「互いに与え合う(相互贈与)」ことによって 感動や成長が生まれる
しかしどちらかが深い傷を負うこともある そんな「ぶつかりあいの人間ドラマ」だ
現実はドラマとしてでなく サービスとして捉えることで 割り切った合理的関係の福祉制度で成り立つ
いいことのように見えても 相互贈与の契機を失わせ 障害者が社会の側に与え返す機会を奪っている
誰も傷つかないシステム化された福祉にはドラマがない ドラマのないところに人間の尊厳もない
安楽死センターを考えるについて 大いに考えさせられる
ただ楽しいという美化・聖化された キレイゴトだけでシステム化されたセンターではなく 最後は人生・人間ドラマがいっぱいあるセンターでなければならないのです
そのような工夫をもまだまだ考えなければなりません

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