100円ショップに行ったら笹の香港フラワーがあった。今でも香港フラワーという商品名なのかどうかはよく解らない。昔プラスチックの造花で作りのいいものがそう呼ばれていた。生花には適わないが、まだバブル期前の日本で、生きた花が買えるほどゆとりのなかったころは、長持ちする造花が流行っていた。トイレの手を洗う流し鉢の中に置かれていたりした。
その手のプラスチックの笹。ミニサイズだが、妙に形と云い色合いと云い、本物じゃないことは分かるんだけど瑞々しくてリアルかわいかった。一足先に見つけて買おうとしている人がいた。後ろから見ていると、どうやらあるだけ全部買おうという勢いだ。思わず声をかけた。「一つだけ残しておいてください。」そのおばちゃん、振り向いて「しゃあないな」にこっと笑って一本だけ残して買って行った。
久しぶりに中国から孫が帰ってくる。春節(旧正月)に里帰りして、三か月半ぶりだ。まだ2歳だが中国語がだいぶ上手になったらしい。発音がめちゃめちゃ本物っぽいんだそうだ。「早く会いたいな」と云ったら、まだ中国語が喋れるうちに連れて來ようということになった。
生活ベースが日本語になって半年もすれば、中国語は忘れてしまう。大人の勝手と云えばなんだが、中国語をしゃべる孫が珍しくて無理やりあっちこっち引っ張り回す格好になってしまった。
多少日本語は遅れるが長い人生の中では大したことではなかろうという気がする。日本語であろうと中国語であろうといくつかの食べ物の名前と動物などの名詞を片言でしゃべるだけなのだが、中国にいるおじいちゃんおばあちゃんにしてみれば、この次に会うときは全くわからない日本語しかしゃべれない孫に戻っているのだからなんだか悲しいに違いない。
そんな気持ちがちょっとくらい共感できるかもしれない。

2歳の孫の目線の高さに七夕飾りを吊り下げてみた。喜んでくれるかな。こんなものより、チョコレートやとんかつの方に夢中かも。

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