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「時が熱狂と偏見をやわらげた暁には、また、理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には、そのときこそ正義の女神はそのはかりの均衡を保ちながら、過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するであろう」 ラダー・ビノド・パール判事の判決文より。 ランキング支援クリック受付中 ![]() |
朝日新聞【社説】2006年12月13日(水曜日)付 教育基本法 改正案には疑問が残る 教育基本法の改正案は、参院での審議が大詰めを迎えた。政府・与党は週内の成立をめざしている。 教育基本法は、未来を担う子どもたちを育てる理念や原則を定める重要な法律だ。全文を書き換える今回の改正では、条文を十分吟味し、審議を尽くさなければならない。ところが、たくさんの疑問が残っている。 47年制定の現行法も改正案も、「教育の目的」には「人格の完成」や「国家及び社会の形成者」などの言葉が並んでいる。改正案が違うのは、「教育の目標」が設けられ、「愛国心」や「伝統と文化の尊重」など20余りの徳目が盛り込まれたことだ。 国を愛するのは自然な気持ちである。改正案には「他国を尊重する」という文言も入っている。とはいえ、法律で定めれば、「このように国を愛せ」と画一的に教えることにならないか。私たちは、そう指摘してきた。 とりわけ心配なのは、愛国心を成績で評価することになるのではないか、ということだ。小泉前首相は先の国会で愛国心の評価については「必要ない」と述べた。しかし、安倍首相は、日本の伝統や文化を学ぶ姿勢や態度を評価対象とする考えを示した。これでは教室で愛国心を競わせることになりかねない。 何を教えるか、という問題もある。伊吹文部科学相は、元寇などに先人がどう対処したかを例に挙げた。愛国心教育の名の下で、史実を都合よく使うことにならないか。 第2の論点は「教育は、不当な支配に服することなく」という条文の解釈だ。現行法は、この後に「国民全体に対し直接に責任を負って行われる」と続く。教育学者や教職員組合は、この規定を教育への行政の介入を防ぐ「盾」と位置づけてきた。 改正案では、「不当な支配に服することなく」は残ったが、その後の文言は「この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」と変わった。 このように変えたのは、政治結社などの介入を排除するためだ。法律や学習指導要領は、国民の意思として決められたものだから不当な支配ではない。伊吹文科相は、そう説明している。 法律や指導要領で決めれば何でもできる。文科相の説明には、そんな意識が潜んでいないか。かえって不安が募る。 新設の「教育振興基本計画」にも疑問がある。必要な教育予算を確保することにつながるのなら、意味があるかもしれない。しかし条文には、地方は国の計画を参考に自らの計画を定める、とも書かれている。運用によっては、地方の教育を縛る道具になりかねない。 何よりも根本的な疑問に答えていない。学力低下や不登校、いじめといった深刻な問題が起こるのは、現行の教育基本法のせいなのか。改正すれば問題が解決するのか。参院の審議でも、その答えは一向に示されないままだ。 http://www.asahi.com/paper/editorial20061213.html |