2013/11/13 22:46
ここ最近は本当に大気の良い状況が続く大連です。
今日のエントリーは、大連の来年7月に卒業する2014年度新卒(大学生)の初任給と就職状況について触れたいと思います。中国は日本と違い、欧米同様、9月入学7月卒業が基本のサイクルです。
中国には星の数ほど大学がありますが、「最高ランク」に属する大学群は、旧称「国家重点大学」に取って代わられた「211工程重点大学」という枠組みです。中華人民共和国教育部(日本の文部科学省に相当)による全大学名リストはこちら、ウィキはこちらです。
この「最高ランク」=「211工程重点大学」ですが、大連には「大連理工大学」と「大連海事大学」の2校があります。地理的には「お隣同士」です。
全中国でも25位前後にランキングされ、理系学部のみならず、その他の各学部もかなり優秀な学生が多い大連理工大学。
大連は港町ということで、航海関係や海運の学部学科が看板、しかも大連の大学で一番の長い歴史を持つ大連海事大学。
といったところです。
この2校が大連でズバ抜けて評判が高いのは、地元タクシーの運ちゃんとの会話でお分かりいただけるかと思います。

さて、昨日12日付け大連地元紙『半島晨報』(A06ページ)の記事です。一昨日11日(月)にその大連海事大学で、早くも来年2014年に卒業する新卒対象の企業合同面接会があったようです。見出しは「企業は初任給2800元を提示するも、新卒は少なすぎる!とサインを拒絶した」とあります。本日のレートで考えると2800元は約46000円です。
記事に拠れば、同大学の2014年度卒業生は5488人です。これに対し419の企業、7732もの新卒希望部署が参加したそうです。一見、上手くいってそうですが、企業側と学生側の考える初任給の額の「格差」が大きいようで、希望額が満たされることが難しい学生側にとっては、今年度に続く「就職難の一年」になりそうだと結んでいます。
また企業側は、基本的に大連周辺の、または大連に明るい学生のみの採用だそうです。日本とは違い、戸籍の問題がまず大きく、寮の提供など経費の問題も有りますからね。手間と経費のかからない即戦力ということを考えているのでしょう。また遠方の学生を取ったところで、食事、気候、言葉、物価、ホームシックなどで大連に馴染めない、では困りますからね。他都市からの新卒は更に狭き門となるわけです。
今年2013年に卒業した、大連の大卒初任給ですが、6月2日付け大連地元紙『半島晨報』の記事によれば、大学生の初任給は2500〜3000元(=約41000〜49000円)、大学院生の初任給は3300元(=約54000円)です。ソースはこちらです。なお、日本円換算は本日のレートです。
今回のこの企業合同説明会での初任給提示額である2800元を考えると、来年2014年卒業の大学生の初任給(月給)も平均額は今年と大体同じで2500〜3000元あたりで落ち着きそうですね。

大連のもう一つの「211工程重点大学」である大連理工大学では、昨日、新卒対象の企業合同面接会があったようです。こちらは本日付け大連地元紙『半島晨報』(A17ページ)の記事です。見出しは「大学の就職指導部が今年初の企業合同面接会を開催した」とあります。こちらも400近い企業、10000に近い新卒希望部署が参加した大型企業合同面接会で、学生は会場入りまで、なんと2時間待ちの行列とありますから、寒風の中、大変ですね。
ところで今年2013年に卒業した大卒初任給の平均額である2500〜3000元(=約41000〜49000円)ですが、多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

これは私が本日食べた、こちら大連のマクドナルドの「フィレオフィッシュ」のセットですが19元でした。本日のレート換算では約310円です。今回の初任給提示額が2800元(=約46000円)ですから、この「フィレオフィッシュ」のセットの価格は給料の約0.68%となります。2012年、日本の大卒初任給の平均額は19万9600円です(下記「参考記事」参照)。この給料の約0.68%は約1357円です。
もう一例を挙げると、先日、中国リーグのサッカーの試合を見に、地元大連市金州区にあるスタジアムに行きましたが、メインスタンド中央部(最高額席)のチケットは300元(=約4900円)でした。2800元の初任給ですと、約11%を占める額です。日本の大卒初任給の平均額は19万9600円ですから、その11%となると約2万2000円になります。
「割合」を使って考えます。
「フィレオフィッシュ」のセット=約1400円
リーグ戦サッカーのチケット=約2万2000円
に値するのであれば、確かに「初任給が少なすぎる!」と感じるのも不思議ではありませんね(笑)。しかし悲しいかな、中国は経済のみならず沈没寸前の国家です。大連は元々「物価が高くて、給料が安い」と称されている町です。まあ大連のみならず新卒雇用の十分な受け皿はもうこの国に無いのです。日本語学習者なんて明らかに供給過多です。
どうする、新卒?!
参考記事:
大卒初任給が1.2%減 平均19万9600円
厚生労働省が15日発表した賃金構造基本統計調査によると、今年の大卒初任給は平均19万9600円で、前年より1.2%減った。
高卒は同0.9%増の15万7900円だった。
企業規模別では千人以上の大企業が2.5%減の20万2200円となったのに対し、10〜99人の小企業は3.7%増の19万6500円となり、過去最高だった。
初任給を高い方から数えて10%の位置にいる人は22万5100円で6.1%減った。逆に安い方から10%の位置にいる人は17万3400円で1.6%増えた。前年に比べ、初任給での格差が縮まった。厚労省の担当者は「初任給の高い大手企業が採用を減らしている」とみている。
2012年11月15日
http://www.asahi.com/business/update/1115/TKY201211150940.html
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今日のエントリーは、大連の来年7月に卒業する2014年度新卒(大学生)の初任給と就職状況について触れたいと思います。中国は日本と違い、欧米同様、9月入学7月卒業が基本のサイクルです。
中国には星の数ほど大学がありますが、「最高ランク」に属する大学群は、旧称「国家重点大学」に取って代わられた「211工程重点大学」という枠組みです。中華人民共和国教育部(日本の文部科学省に相当)による全大学名リストはこちら、ウィキはこちらです。
この「最高ランク」=「211工程重点大学」ですが、大連には「大連理工大学」と「大連海事大学」の2校があります。地理的には「お隣同士」です。
全中国でも25位前後にランキングされ、理系学部のみならず、その他の各学部もかなり優秀な学生が多い大連理工大学。
大連は港町ということで、航海関係や海運の学部学科が看板、しかも大連の大学で一番の長い歴史を持つ大連海事大学。
といったところです。
この2校が大連でズバ抜けて評判が高いのは、地元タクシーの運ちゃんとの会話でお分かりいただけるかと思います。

さて、昨日12日付け大連地元紙『半島晨報』(A06ページ)の記事です。一昨日11日(月)にその大連海事大学で、早くも来年2014年に卒業する新卒対象の企業合同面接会があったようです。見出しは「企業は初任給2800元を提示するも、新卒は少なすぎる!とサインを拒絶した」とあります。本日のレートで考えると2800元は約46000円です。
記事に拠れば、同大学の2014年度卒業生は5488人です。これに対し419の企業、7732もの新卒希望部署が参加したそうです。一見、上手くいってそうですが、企業側と学生側の考える初任給の額の「格差」が大きいようで、希望額が満たされることが難しい学生側にとっては、今年度に続く「就職難の一年」になりそうだと結んでいます。
また企業側は、基本的に大連周辺の、または大連に明るい学生のみの採用だそうです。日本とは違い、戸籍の問題がまず大きく、寮の提供など経費の問題も有りますからね。手間と経費のかからない即戦力ということを考えているのでしょう。また遠方の学生を取ったところで、食事、気候、言葉、物価、ホームシックなどで大連に馴染めない、では困りますからね。他都市からの新卒は更に狭き門となるわけです。
今年2013年に卒業した、大連の大卒初任給ですが、6月2日付け大連地元紙『半島晨報』の記事によれば、大学生の初任給は2500〜3000元(=約41000〜49000円)、大学院生の初任給は3300元(=約54000円)です。ソースはこちらです。なお、日本円換算は本日のレートです。
今回のこの企業合同説明会での初任給提示額である2800元を考えると、来年2014年卒業の大学生の初任給(月給)も平均額は今年と大体同じで2500〜3000元あたりで落ち着きそうですね。

大連のもう一つの「211工程重点大学」である大連理工大学では、昨日、新卒対象の企業合同面接会があったようです。こちらは本日付け大連地元紙『半島晨報』(A17ページ)の記事です。見出しは「大学の就職指導部が今年初の企業合同面接会を開催した」とあります。こちらも400近い企業、10000に近い新卒希望部署が参加した大型企業合同面接会で、学生は会場入りまで、なんと2時間待ちの行列とありますから、寒風の中、大変ですね。
ところで今年2013年に卒業した大卒初任給の平均額である2500〜3000元(=約41000〜49000円)ですが、多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

これは私が本日食べた、こちら大連のマクドナルドの「フィレオフィッシュ」のセットですが19元でした。本日のレート換算では約310円です。今回の初任給提示額が2800元(=約46000円)ですから、この「フィレオフィッシュ」のセットの価格は給料の約0.68%となります。2012年、日本の大卒初任給の平均額は19万9600円です(下記「参考記事」参照)。この給料の約0.68%は約1357円です。
もう一例を挙げると、先日、中国リーグのサッカーの試合を見に、地元大連市金州区にあるスタジアムに行きましたが、メインスタンド中央部(最高額席)のチケットは300元(=約4900円)でした。2800元の初任給ですと、約11%を占める額です。日本の大卒初任給の平均額は19万9600円ですから、その11%となると約2万2000円になります。
「割合」を使って考えます。
「フィレオフィッシュ」のセット=約1400円
リーグ戦サッカーのチケット=約2万2000円
に値するのであれば、確かに「初任給が少なすぎる!」と感じるのも不思議ではありませんね(笑)。しかし悲しいかな、中国は経済のみならず沈没寸前の国家です。大連は元々「物価が高くて、給料が安い」と称されている町です。まあ大連のみならず新卒雇用の十分な受け皿はもうこの国に無いのです。日本語学習者なんて明らかに供給過多です。
どうする、新卒?!
参考記事:
大卒初任給が1.2%減 平均19万9600円
厚生労働省が15日発表した賃金構造基本統計調査によると、今年の大卒初任給は平均19万9600円で、前年より1.2%減った。
高卒は同0.9%増の15万7900円だった。
企業規模別では千人以上の大企業が2.5%減の20万2200円となったのに対し、10〜99人の小企業は3.7%増の19万6500円となり、過去最高だった。
初任給を高い方から数えて10%の位置にいる人は22万5100円で6.1%減った。逆に安い方から10%の位置にいる人は17万3400円で1.6%増えた。前年に比べ、初任給での格差が縮まった。厚労省の担当者は「初任給の高い大手企業が採用を減らしている」とみている。
2012年11月15日
http://www.asahi.com/business/update/1115/TKY201211150940.html
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投稿者:dalian4649