今や生活の中に、欠かせなくなっているスマートフォンやSNS。煌びやかな写真とともに綴られる、誰もが羨む日常…。手元に収まる小さな箱の中の、大きなセカイ。そこにある深い闇に翻弄される人々が主人公。
「いま自分がどう感じるか」ではなく、「周囲からどんな風に見えるか」に重点を置く自意識過剰。自分たちは人とは違うのだ、新しい何かを生み出しているのだ、という特別意識。端から見ている分には、非常に滑稽。でも、はたして自分は…?と考えると背筋を寒いものが這う気がする。この後味の悪さが、むしろたまらない。
あなたは、本作を読んで「自分は違う」と言い切れますか?

『静かに、ねぇ、静かに』
講談社・発行
本谷有希子・著
1,400円+税

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