2007/11/27
錯覚ヨクナイ
ある棋士は言った
錯覚ヨクナイ
ヨク見ルヨロシ
将棋に限らず
どんなことも
錯覚ヨクナイ
ヨク見ルヨロシ
なのかもしれません
0
錯覚ヨクナイ
ヨク見ルヨロシ
将棋に限らず
どんなことも
錯覚ヨクナイ
ヨク見ルヨロシ
なのかもしれません

2007/11/5
てるてるてるポン! 童話
小三のまおは、お祭りが大好きでした。
つくえの三段目の引き出しには、ろ店で買った宝ものがつまっているほどです。
でも、今年のお祭りは雨続き。
けさも雨でした。
まおは、はさみを手に、てるてるぼうずをにらみつけました。
「もう。まったく効果ないわね! お祭りは明日で終わりだというのに」
はさみの刃を、てるてるぼうずの首に近づけました。
「ちょん切ってしまうわよ!」
「そ、そんなー。こっちの身にもなってよ」
まおの目が丸くなりました。
「て、てるてるぼうずが、しゃべった!」
「ボウズはよしてください。ぼくはてるポンといいます」
そう言うと、そらいろをした鳥の羽根を見せました。
「これは、雲をふきとばすことができる羽根です。ただ、千回ふらないと効果がでないのです。昨夜は、眠くて眠くて……」
「だらしがないの。てるてるぼーずのくせに」
「それなら、まおちゃんがてるポンになればいいんですよ」
「そんなことできるの?」
「ええ。呪文をとなえればね」
*
夜になりました。
布団にもぐりこんだまおは、教えてもらった呪文を思い出しました。
――てるてるてるポン! てるてるポン!
気がつくと、白いマントのようなものをきて、窓辺につりさがっていました。
(ひゃー。ほんとうだ)
「はい。これを千回ふってください」
てるポンからそらいろの羽根が手わたされました。
「じゃ、あとはよろしくね。ぼくは、つかれているので眠らせてもらいますよ」
窓わくを背に、てるポンは横になりました。
(これもお祭りのためなんだ。がんばるぞ)
まおは、そらいろの羽根をふりかざしました。
二時間ほどすぎました。
「きゅうひゃくに、きゅうひゃくさん、きゅうひゃくよん……」
てるてるぼうずなのに、ひたいには汗がにじんでいます。
(雨、だいぶやんできた。あと少し……)と思った、そのときです。
「なんてことをするんだ!」
ふりむくと、乳かっ色で水つぶあたまをした、お人形のような生き物がいました。
「ぼくは、正義のみかたあめみんだ。雨を止める悪ものめ。ゆるさないぞ」
「な、なによ。じゃましないでよ!」
「ダムの水がへるし、農家の人も困るんだぞ」
あめみんは、大きな水のつぶを、いくつもいくつも投げつけてきました。
「わーん。てるポン助けて!」
てるポンはとびおきてきました。
「なんだ、あめみんかよ。えーと、こいつをたおすには、てるてる液を……」
そのとき、大きな水つぶが、てるポンの顔面に当たりました。
てるポンはきぜつしてしまいました。
「ふぇ〜ん。てるてる液ってなんなのよぉ」
あめみんに向けて、そらいろの羽根をメチャクチャにふり回しました。
「ふふん、ムダだよ。さあ、かんねんするんだ」
あめみんが手をふると、たちまち大きなはさみが出てきました。それを両手でかかえ、忍び寄ってきました。
(く、くびを切る気だぁ!)
大きく開いた二枚の刃が、まおの首にかかりました。
「やだよー。いやいやいやいやいや!」
「おうじょうぎわが悪いぞ」
二枚の刃が、せばまってきました。
まおは体をゆすりました。とびはね、回転しました。すると、汗がちぎれとんで、あめみんのひたいに当たったのです。
「う、うわあああああああぁぁぁぁぁぁ!」
あめみんは、はじけちってしまいました。
(……て、てるてる液って、汗だったのか)
疲れ果てたまおは、そのまま眠りこけました。
*
目がさめると、人間にもどっていました。すぐに窓辺に行きました。もう、雲はありません。
てるポンは、元どおりにぶらさがっています。
「ごめんなさい。かんじんなときにきぜつしちゃって。残りはふっておいたからね」
「て、てるポン……」
まおは、お祭りの引き出しをあけました。赤い珠がついたオモチャのゆびわを取り出すと、てるポンの首にはめてあげました。
「え、これをぼくにくれるの? わーい、わーい。うれしいな」
てるポンは、まんめん笑顔で左右にゆれるのでした。
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つくえの三段目の引き出しには、ろ店で買った宝ものがつまっているほどです。
でも、今年のお祭りは雨続き。
けさも雨でした。
まおは、はさみを手に、てるてるぼうずをにらみつけました。
「もう。まったく効果ないわね! お祭りは明日で終わりだというのに」
はさみの刃を、てるてるぼうずの首に近づけました。
「ちょん切ってしまうわよ!」
「そ、そんなー。こっちの身にもなってよ」
まおの目が丸くなりました。
「て、てるてるぼうずが、しゃべった!」
「ボウズはよしてください。ぼくはてるポンといいます」
そう言うと、そらいろをした鳥の羽根を見せました。
「これは、雲をふきとばすことができる羽根です。ただ、千回ふらないと効果がでないのです。昨夜は、眠くて眠くて……」
「だらしがないの。てるてるぼーずのくせに」
「それなら、まおちゃんがてるポンになればいいんですよ」
「そんなことできるの?」
「ええ。呪文をとなえればね」
*
夜になりました。
布団にもぐりこんだまおは、教えてもらった呪文を思い出しました。
――てるてるてるポン! てるてるポン!
気がつくと、白いマントのようなものをきて、窓辺につりさがっていました。
(ひゃー。ほんとうだ)
「はい。これを千回ふってください」
てるポンからそらいろの羽根が手わたされました。
「じゃ、あとはよろしくね。ぼくは、つかれているので眠らせてもらいますよ」
窓わくを背に、てるポンは横になりました。
(これもお祭りのためなんだ。がんばるぞ)
まおは、そらいろの羽根をふりかざしました。
二時間ほどすぎました。
「きゅうひゃくに、きゅうひゃくさん、きゅうひゃくよん……」
てるてるぼうずなのに、ひたいには汗がにじんでいます。
(雨、だいぶやんできた。あと少し……)と思った、そのときです。
「なんてことをするんだ!」
ふりむくと、乳かっ色で水つぶあたまをした、お人形のような生き物がいました。
「ぼくは、正義のみかたあめみんだ。雨を止める悪ものめ。ゆるさないぞ」
「な、なによ。じゃましないでよ!」
「ダムの水がへるし、農家の人も困るんだぞ」
あめみんは、大きな水のつぶを、いくつもいくつも投げつけてきました。
「わーん。てるポン助けて!」
てるポンはとびおきてきました。
「なんだ、あめみんかよ。えーと、こいつをたおすには、てるてる液を……」
そのとき、大きな水つぶが、てるポンの顔面に当たりました。
てるポンはきぜつしてしまいました。
「ふぇ〜ん。てるてる液ってなんなのよぉ」
あめみんに向けて、そらいろの羽根をメチャクチャにふり回しました。
「ふふん、ムダだよ。さあ、かんねんするんだ」
あめみんが手をふると、たちまち大きなはさみが出てきました。それを両手でかかえ、忍び寄ってきました。
(く、くびを切る気だぁ!)
大きく開いた二枚の刃が、まおの首にかかりました。
「やだよー。いやいやいやいやいや!」
「おうじょうぎわが悪いぞ」
二枚の刃が、せばまってきました。
まおは体をゆすりました。とびはね、回転しました。すると、汗がちぎれとんで、あめみんのひたいに当たったのです。
「う、うわあああああああぁぁぁぁぁぁ!」
あめみんは、はじけちってしまいました。
(……て、てるてる液って、汗だったのか)
疲れ果てたまおは、そのまま眠りこけました。
*
目がさめると、人間にもどっていました。すぐに窓辺に行きました。もう、雲はありません。
てるポンは、元どおりにぶらさがっています。
「ごめんなさい。かんじんなときにきぜつしちゃって。残りはふっておいたからね」
「て、てるポン……」
まおは、お祭りの引き出しをあけました。赤い珠がついたオモチャのゆびわを取り出すと、てるポンの首にはめてあげました。
「え、これをぼくにくれるの? わーい、わーい。うれしいな」
てるポンは、まんめん笑顔で左右にゆれるのでした。
