2007/6/30
夢と幻の地平線 音楽
パソコン通信時代の1990年作品です。マイク・オールドフィールドの「ハージェスト・リッジ」の宣伝のために書いたちょっとした散文です。文章におかしなところがありますが、あえてそのまま発表します。
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「夢と幻の地平線」

CDプレーヤーのスイッチを入れて、マイク・オールドフィールドの「ハージェスト・リッジ」というアルバムを聞いて見る。永遠の響きを持った、美しい旋律が部屋いっぱいに広がる。このアルバムが最初に発売されたのは一九七四年。過ぎ去りし遠い日の事だ。当時邦題で「夢と幻の地平線」と名付けられたこのアルバム。きっと今までに多くの人達の思い出として胸に刻み込まれたに違いない。
*** 一九七四、九 *****
……夏の終に私は貴方と海へドライブに出掛けた。日差しが弱まり、海岸には人影もなく、秋の気配を漂わせている。海岸に横たわっている、折れたパラソール、掃き捨てられた草履、ビーチボール。もう使われる事もないそれらの小道具はなんだか夏の終を象徴しているようで寂しそう。波の音だけがざわめき、日が赤々となり地平線へしずみかけようとしている。そのとき、貴方はカーステレオに一本のテープを入れた。
「これ最近気に入ってね。ほら、あのエクソシストの音楽を作ったマイク・オールドフィールドって言う男のセカンドなんだ」
貴方が優しい笑顔でそう言うと、音楽が流れてきた。小さな宇宙とも言えるその音楽は、私達をすっぽりと包み込む。優しい旋律が溢れる。ゆるやかな美しさが、私達を響かせる。けれども、そうしたポリフォーニの数々がますます私の心を寂しくするのはどうしてだろう? きれいな音楽が流れて、そばには貴方がいて、ロマンチックなムードが一面を満たしているのに、この言い知れぬ寂しさは何故なんだろう?
日はますます地平線へと傾き、あたりはうっすらと闇くなっていく。ヘッドライトを付けた対向車が、目立ちはじめる。
「これが最後かもしれないな」
「えっ?」
貴方は車のライトを付けながら、急に不思議なセリフをつぶやいた。曲が終わりにさしかかる。
「いや、独身時代に海にくるのは」
(あっ)
貴方はカセットテープを抜くと、ケースの中にしまった。
(そうだった……)
私の今の心境は決して、寂しげな海辺を見た為でも、おわりゆく夏の感傷からでもなかった。今回のデートが、おそらく独身時代最後のものだからなのだ。
きっと。夏はまた巡ってくるでしょう。来年の夏も、貴方とこうしてドライブ出掛けるかもしれない。けれど、それは夫婦として、新しい人生の最初の思い出としての事。
日は西の地平線に消え、あたりは完全に闇くなった。遠く地平線の彼方に海の様子がうかがえる。
「さようなら私の独身時代。さようなら私の恋人時代。二度と戻る事のない現在に感謝して」
私は海に向かってそうつぶやくと、目頭を少し熱くした。
私は、私は、十一月に、深まりゆくある秋の日に彼と結婚します。
海は完全に消え。夜のとばりがキラキラと輝いている。
私達は自宅へと向かった。
*** 一九九〇、三 *****
あれから十六年の歳月が流れました。私の子供は今年中学三年生、来年は受験です。
そんなあわただしい生活の中ですが、今でも時々あの時のテープを聞いてみる事があります。すると。過ぎ去りし遠い夏の日々が鮮明に思い出されるのです。
*****************************************************************************
……などと、架空のエピソードを頭に思い描いていると、曲が終わった。ひょっとして。いや、きっと似たような事が現実としてあったかもしれない。そう決めつけると、アンプのスイッチを切り、やがてクラシックになるであろうマイク・オールドフィールドの「夢と幻の地平線」をラックにしまった。
頭の中に余韻が残る。
おわり
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「夢と幻の地平線」

CDプレーヤーのスイッチを入れて、マイク・オールドフィールドの「ハージェスト・リッジ」というアルバムを聞いて見る。永遠の響きを持った、美しい旋律が部屋いっぱいに広がる。このアルバムが最初に発売されたのは一九七四年。過ぎ去りし遠い日の事だ。当時邦題で「夢と幻の地平線」と名付けられたこのアルバム。きっと今までに多くの人達の思い出として胸に刻み込まれたに違いない。
*** 一九七四、九 *****
……夏の終に私は貴方と海へドライブに出掛けた。日差しが弱まり、海岸には人影もなく、秋の気配を漂わせている。海岸に横たわっている、折れたパラソール、掃き捨てられた草履、ビーチボール。もう使われる事もないそれらの小道具はなんだか夏の終を象徴しているようで寂しそう。波の音だけがざわめき、日が赤々となり地平線へしずみかけようとしている。そのとき、貴方はカーステレオに一本のテープを入れた。
「これ最近気に入ってね。ほら、あのエクソシストの音楽を作ったマイク・オールドフィールドって言う男のセカンドなんだ」
貴方が優しい笑顔でそう言うと、音楽が流れてきた。小さな宇宙とも言えるその音楽は、私達をすっぽりと包み込む。優しい旋律が溢れる。ゆるやかな美しさが、私達を響かせる。けれども、そうしたポリフォーニの数々がますます私の心を寂しくするのはどうしてだろう? きれいな音楽が流れて、そばには貴方がいて、ロマンチックなムードが一面を満たしているのに、この言い知れぬ寂しさは何故なんだろう?
日はますます地平線へと傾き、あたりはうっすらと闇くなっていく。ヘッドライトを付けた対向車が、目立ちはじめる。
「これが最後かもしれないな」
「えっ?」
貴方は車のライトを付けながら、急に不思議なセリフをつぶやいた。曲が終わりにさしかかる。
「いや、独身時代に海にくるのは」
(あっ)
貴方はカセットテープを抜くと、ケースの中にしまった。
(そうだった……)
私の今の心境は決して、寂しげな海辺を見た為でも、おわりゆく夏の感傷からでもなかった。今回のデートが、おそらく独身時代最後のものだからなのだ。
きっと。夏はまた巡ってくるでしょう。来年の夏も、貴方とこうしてドライブ出掛けるかもしれない。けれど、それは夫婦として、新しい人生の最初の思い出としての事。
日は西の地平線に消え、あたりは完全に闇くなった。遠く地平線の彼方に海の様子がうかがえる。
「さようなら私の独身時代。さようなら私の恋人時代。二度と戻る事のない現在に感謝して」
私は海に向かってそうつぶやくと、目頭を少し熱くした。
私は、私は、十一月に、深まりゆくある秋の日に彼と結婚します。
海は完全に消え。夜のとばりがキラキラと輝いている。
私達は自宅へと向かった。
*** 一九九〇、三 *****
あれから十六年の歳月が流れました。私の子供は今年中学三年生、来年は受験です。
そんなあわただしい生活の中ですが、今でも時々あの時のテープを聞いてみる事があります。すると。過ぎ去りし遠い夏の日々が鮮明に思い出されるのです。
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……などと、架空のエピソードを頭に思い描いていると、曲が終わった。ひょっとして。いや、きっと似たような事が現実としてあったかもしれない。そう決めつけると、アンプのスイッチを切り、やがてクラシックになるであろうマイク・オールドフィールドの「夢と幻の地平線」をラックにしまった。
頭の中に余韻が残る。
おわり

2007/6/26
ルーター
昨日は遂にネットに繋がらなくなってしまった。
障害発生? 工事? それともPCの故障?
NTTやプロバイダーに電話したり、予備のPCで立ち上げたり
いろいろと調べたところ、原因は五年ほど前に購入したルーター
(COREGA)にありました。
これを期に無線ルーターにするのもいいだろうと、速攻で購入(COREGA)しました。
ルータータン長い間ご苦労様でした。
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障害発生? 工事? それともPCの故障?
NTTやプロバイダーに電話したり、予備のPCで立ち上げたり
いろいろと調べたところ、原因は五年ほど前に購入したルーター
(COREGA)にありました。
これを期に無線ルーターにするのもいいだろうと、速攻で購入(COREGA)しました。
ルータータン長い間ご苦労様でした。

2007/6/24
ネットが重い
続く雨のせいか、今日はネットが重かったです。
光だったらこういうこともなくなるのでしょうけど、いまだADSLなもので。
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光だったらこういうこともなくなるのでしょうけど、いまだADSLなもので。
