夜。駅を出たら取り敢えずは駅前のスーパーへ。寒い日が続くからねぇ、やっぱ鍋ですか。へっへっへ⋯⋯と心の中で呟いたり。
そして買い物を終えたら、あとは帰宅するだけ。寒いからね。バス通りを避けて、一本横の閑静な道を黙々と。
と、前方の十字路に何やら人集りが。
あれま、こんな暗がりで一体何を? と窺うと、左の道から灯りが。
お? これは灯体⋯⋯照明⋯⋯バッテリーライトの灯りか? なんでこんなところに、と思ってよくよく見たらば⋯⋯
ロケやってましたぁ。
テレビドラマかなぁ? でも、これといったビューポイントも無いように思えるんだけどなぁ。
それにしても、ロケーション撮影は大変だよね。大体、こんな寒いときに⋯⋯あら? 今ってナニ待ち? ナンか待ちみたいだな。
役者陣もひとっところにかたまって待機しているみたいだし⋯⋯ン!? あの、一際背の高いのは⋯⋯
要潤選手じゃーあーりませんか!
相変わらずイイ男だねぃ。あ、
『愛してると云って』の収録以来会ってないんだよね、当たり前だけど。
あれは⋯⋯もう丸一年以上前なのね。
ん〜、一分一秒を疎かに出来ないのがロケ現場。通りすがりの人間が声をかけるなど、もってのほか。たとえ知人であってもです。
とは言え⋯⋯ん、この状態なら行ける⋯⋯ええい! ままよッ! と、歩を進める。
外部の人間が役者に近付けるというのも問題だけど⋯⋯まあ、それはそれとして(笑)、声をかけてみた。
「⋯⋯
キム・ビョンス」
全く憶えていなくてもおかしくないとは思ったけどね。ヰズミのことも、自分がやった役のことも。
“側で誰かの声がしたから自然の反応として振り向いた”という感じだった。一瞬間があって、
「あ⋯⋯あれ!? どうも⋯⋯え?」
どうやら、顔だけは憶えてくれていたらしい(笑)
会話らしいことをしたい気持ちもあったが、まあしかし、なんと言ってもここは人様の仕事場。地元民のヰズミが偶然通りかかったということだけを告げて、その場をあとにした。時間にして、10秒あったかどうか。
スタッフの皆さん、どうも失礼しました!
m(_ _)m