ネズミとり  童話

ネズミとり

おじいさんのだいどころに、ネズミがすむようになりました。

「これはこまった。ネズミをたいじせねばなるまい」

おじいさんは、わなをかけることにしました。

カゴの中のエサをたべると、バネがはずれて、ネズミをとじこめてしまう、しかけです。

エサはチーズです。

朝になって、カゴをのぞくと、ネズミのすがたはありません。

チーズばかりが、なくなっています。

「うーん。かしこいネズミだ」

それでも、そのうちにつかまるだろうと、おじいさんは、その夜もチーズをカゴにいれました。

けれども、つぎの日も、つぎの日も、そのつぎの日も、チーズばかりがなくなって、ネズミはいっこうにとれません。

「うーむ。なかなかに、てごわいネズミだ」

おじいさんは、わなをかえなければと、おもいました。

でも、いい知恵がうかばないので、その夜はわなをやすみました。

よく朝、おじいさんが、食事のじゅんびをしていると、なにかが、足もとを走りぬけたような、気がしました。

見ると、ネズミではありませんか。

ネズミはネズミとりのカゴの横で、じっと、おじいさんを見ています。

「ははーん。ネズミめ。はらをすかせておるな。ゆうべは、チーズがなかったからな」

おじいさんが、チーズをなげてあげると、ネズミはすぐに食べはじめました。

「これじゃあ、ネズミを飼っているのと、おなじじゃないかな?」

おじいさんは、「なんか、へんだ」とおもいましたが、これでいいことにしました。

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さくらのころ  童話

    さくらのころ             

クマのおとうさんは、いつもはやおきです。

きょうも、目がさめるとすぐに、「エイッ」と、おきあがりました。

ところがけさは、あたまがズキンといたみました。

「イタタタタ」

クマのおとうさんは、あまりあたまがいたむので、もういちど、ねることにしました。

「いったい、どうしたんだろう」

いろいろかんがえているうちに、クマのおとうさんは、ゆうべ、おさけをのみすぎたことに、きがつきました。

ゆうべは、満月で、さくらもまんかいだったので、森のなかよしがあつまって、お花見をしたのでした。

クマのおかあさんと、こどもたちがおきてきました。

いつもはやおきのおとうさんが、まだねているので、こどもたちがききました。

「おとうさん。ぐあいがわるいの?」

「うん。あたまがいたい」

こどもたちは、びっくりしました。

「おとうさんのあたま、どんなふうにいたいの?」

「ギシギシいたい。みぎをむいても、ひだりをむいてもいたい」

おとうさんクマは、目をつむったままいいました。

こどもたちは、いそいで、おかあさんにしらせました。

「まあ、たいへん。あなたたち、森にいって、ヒノキのはをつんできてちょうだい。おおいそぎよ」

こどもたちが、ヒノキのはっぱをつんでくると、おかあさんは、おとうさんのあたまのしたに、いっぱいつめてあげました。

「なんて、いいきもちだ。ありがとう」

おとうさんが、いいました。

ヒノキのはっぱをしくと、フワフワで、ひんやりして、とてもいいきもちです。
それに、においもとてもいいのです。

「こうして、あとひとねむりすれば、おひるごろには、きっとなおっているわ」

そういうと、おかあさんクマは、こどもたちをつれて、タケノコがりにでかけてゆきました。

おうちにいて、げんきなこどもたちがはしゃぐと、それだけで、おとうさんクマのあたまにひびくからです。


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クモとキンモクセイ  童話

クモとキンモクセイ 
     
キンモクセイとナンテンのあいだに、クモが大きなアミをはりました。

この道のおくには、キクがまんかいで、まいにち、たくさんのムシがとおるのです。

「さあ、いそがしくなるぞ」

できあがったばかりの、りっぱなアミをながめながら、クモははりきりました。

クモの糸は、お日さまの光をあびて、キラキラ、キラキラかがやいています。

「おや。いつのまに、こんなところに」

やってきたハナアブが、クモのすにおどろいて、いいました。

「すごくきれいだけれど、やっぱり、ちがう道をとおることにしよう」

二ひきの黄色のチョウがやってきました。

「あらら、こんなところに、いつのまに」

「やあ。ほんとだ。クモさんのおうちはとってもきれいだけれど、とおせんぼは、こまるなあ」

二ひきのチョウも、ちがう道をとおってゆきました。

つながったアカトンボがやってきました。

「クモさんはどうしていつも、さかさまになっているのかしら」

クモに、そのわけをきいてみようとおもいましたが、クモの巣にさわるとこわいので、向きをかえて、飛んでゆきました。

ふたごのようなシジミチョウが二ひき、ヒラヒラヒラヒラちかずいてきました。

でも、うまいぐあいに、クモのすを、よけてゆきました。

テントウムシも、夜に飛ぶたくさんのガも、みんな、みんな、とおり道をかえてしまいました。

クモは、なんにちも、なんにちも、雨の日も、風の日も、キラキラおうちのまんなかで、さかさまになったまま、じっとしていました。

けれども、ある日、とうとう、つぶやきました。

「たいくつだなあ」

キンモクセイは、それをきいて、とてもよいにおいのする小さな花を、ポトンと一こ落としてあげました。


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