「減税した分を寄付してちょー」とこれまでも市長の持論なので今さら驚きもしないが、寄付するための制度やメリットもなく具体性に欠ける。一方で3万人大作戦として日本一税金の安いナゴヤに来てちょーといって六本木でビラをまくといっているが、減税しても寄付しなければならないというのでは、支離滅裂で政策的な矛盾が起こる。
そもそも河村市長は、アメリカ型の社会をイメージしているが、平成17年の内閣府の調査では、アメリカと日本の寄付総額は、個人・法人合わせて
日本:7,281億円
アメリカ:24兆5,255億円
と100倍以上となっている。
もともとアメリカは、大資産家が寄付をするのは当たり前、中所得者層も教会やNPO、慈善事業などに寄付する文化が根付いている。これは1つには、キリスト教社会で収入の1/10程度は献金するという旧約聖書の影響を強く受けている。もう1つは、税制の違いで寄付金控除のメリットが大きい。日本では、NPOの活動には公益法人と違い、寄付金控除の制度がない。根本的な税のあり方が違い、国で税金を集め、それを公平に分配するという日本とアメリカでは寄付に対する考え方も違う。
一体、河村市長のボランティア社会とは何なのか?アメリカでは、政治献金も寄付で集まる社会になっている。日本では、政治とカネの問題が繰り返されるが、企業・団体献金を禁止するだけでは根本的な解決にならない。税制上のメリットが必要だ。こうした制度は、NPOや政治団体だけではなく、義援金や共同募金、慈善事業も含めて、しくみを考えないと実現することは難しい。
