本会議を振り返って印象に残った質問を紹介したい。1つ目は、斉藤たかお議員(自民:中村区)が指摘した生活保護の不正受給についてである。生活保護は、年々増え続けており、今年度の当初予算で865億円で一般会計の8.6%に上り、財政上も大変な負担となっている。一方で不正受給も増加しており、その額は3年前に比べ2倍以上の約4億5000万円で、全体の0.5%に当る。生活保護は憲法でも保障された最低限度の文化的生活を保障するものであり、社会的弱者にとって最後の砦でもある。しかし、こうした不正受給が後を立たないのは制度の趣旨ををはき違え、もらえるものはもらわな損というモラル・ハザードが起こっている。さらには貧困ビジネスなど暴力団の資金源などにもなっているケースもある。現行のケースワーカーでは人手不足で対応しきれずに、また何の強制力もないため不正受給が後を立たない。そうした中、斉藤議員の質問で名古屋市では、今後、警察官のOBを登用するなど専門チームとして不正受給防止に取り組んでいく方針を明らかにした。
2つ目は、福田議員(公明:南区)の質問で生活保護受給世帯の子どもの高校進学を支援するため、名古屋市は来年度から新中学3年生を対象に学校や家庭の外で基礎学力向上を目指す無料の夜間塾を導入することを明らかにした。親の所得格差によって進学を断念するような教育格差をなくす取組みのひとつである。福田議員自身も母子家庭で育ち、自らの体験をもとに中学卒業後は兄弟の生活を支えるために進学を断念しようとしていた苦労話に聞き入った。政治の役割には、社会的弱者のために光をあてることであると改めて感じた。
今回の「生活保護」をめぐる問題で、方や不正に対して公金を正しく使われているか厳しい目を向けていくことが社会正義であると同時に一方で親を選ぶことができない子どもたちが不当に教育を受ける権利を制約されないよう、また社会的弱者に立った政治を行うことも1つの正義であると考えさせられた。生活保護の不正受給は後を立たないが、一方で子ども手当てや高校の無償化など一律のバラマキによって教育格差がさらに拡がった。本当に必要なもの(弱者)を切り捨てるようなことがあってはならない。
(写真は、斉藤たかお議員)
