衆議院の解散含をにらみ、国会では衆議院の定数削減をめぐって民主党は、野党が欠席する中、小選挙区定数0増5減を行なった上で比例定数40を削減し、一部に連用制を導入するという案を強行採決した。この比例代表連用制は、6/24のブログで問題点を指摘したが、世界的にも例のない制度で、中小政党に配慮するものの投票意思と違う「他の政党」の候補が当選するしくみで民主主義の根幹を否定するもので憲法上も疑義を生じる。衆議院の解散・総選挙を先送りしたいという思惑が見え透いており、恣意的に選挙制度を変えることは断じて許されない。まずは最高裁で違憲状態とされる状態をなくすための小選挙区の0増5減による定数格差の是正を急ぐべきである。
一方で大阪維新の会の橋下氏は、衆議院定数を現行の480人から半減の240人にすることを公約に盛り込むと発表。「0増5減」すら決められない国会の状況を見透かしてのことであるが、将来、道州制の導入を前提としているが、半減という数字だけが一人歩きしている。そもそも国会議員の定数が多いか少ないかは別として「身を切る改革」と啖呵を切っただけで一向に議論が進展しない状況に国民も業を煮やしているのだろう。また、単なる員数あわせでほとんど何もしない国会議員もおり、残念ながら国会議員が多くの国民に多すぎると思われていることも事実だろう。
<2010年の参議院選挙の各党マニフェスト>
■民主党:衆院比例80減、参院40減
■自民党:衆参722人を3年後に650人、6年後に500人
■国民新党:定数削減に触れず
■公明党:新たな中選挙区制の導入。衆参定数削減(数は触れず)
■社民党:比例制度へ改革。定数には触れず
■みんなの党:衆院180減、参院142減、将来は一院制
■共産党:定数削減に反対
■たちあがれ:中選挙区制の導入。衆院80減、参院42減
■新党改革:衆参で半減
河村市長も国会議員の歳費を半減と言っているが、名古屋市議会のリコールをみれば、こうした定数や報酬のバナナの叩き売りのような議論は国民にとって何も利益を産まない。次期総選挙では、安全保障や外交、社会保障のあり方など具体的に国民に政策を示して堂々と王道を行ってほしいと願わざるを得ない。
