減税日本の代表を務める河村市長は、リコールの署名簿の流出問題に関して会見で調査結果について報告した。それによるとリコールの署名集めを中心的に担っていた会社社長(64才)が13名の公認候補者や公認漏れした候補者にに名簿のコピーを手渡したことが分かった。その内、8名が市議選で当選したという。河村市長は、署名簿に関して流出したことは遺憾であるが、(名簿を使用することは)違法ではないので、最初に署名簿についての統一的ルールが必要であったと述べた。また流出した署名簿を県議選の候補者らに購入を求めた人物も特定したとのこと。インターネット上に流出させた人物については、内部のものではないとして、引き続き調査を行なうとした。
この署名簿流出問題については、東郷も昨年6月、9月の定例会本会議においても厳しく追及を行なってきたが、再三調査を行なうとしながら、この報告内容で終わらせようとすることは断じて許されない。今回、新聞社の取材に対して13名の内、瑞穂区の荒川議員は名簿を受け取ったことを認め、後援会入会用のハガキを郵送したという。同じ瑞穂区の金城議員も選挙前に名簿を渡されたことを認め、さらにこの問題が発覚以降、党の調査を受けたことはないとしている。
■問題点を整理すると、この2名について6月議会で私が名前こそ出さなかったが2月に行なわれた知事選挙で選挙ハガキに同一シールで両議員(当時候補者)の名前が記載されたものが送られてきたことを指摘し、本人に聴取すべきと迫った。今さらであるが、昨年の6月時点でこの2名に関しては関与が推認できた。そして荒川議員が、後援会入会ハガキを送ったというが、それだけでなく知事選挙でも使われており、市議選でも使われた可能性もある。
■関係者の調査をどのように行なったか分からないが、少なくとも当事者である金城議員に対して聴取が行なわれていないことは不十分と言わざるをえない。昨年、7月に減税日本の田山幹事長(当時)と党幹事長である広沢県議から私にも署名簿流出の経緯を明らかにしたいので協力してほしいとの依頼を受けた。どのような調査を行なったのか具体的に説明をいただきたい。
■新聞報道によると署名簿の受け取りを認めた荒川議員、金城議員以外に少なくとも6名の議員の名前が公表されていないが、実名を公表すべき。少なくとも昨年4月にこの問題が発覚しながら、名簿受け取ったにも関わらずダンマリを決め込んでいる無神経さに呆れる。
■署名簿は、リコール以外の目的では使用しないと公言してきたにも関わらず、こうした事実が発覚した。また現在も流出した名簿が議員などの手元にあり、今後、衆院選などに使われる可能性もある。回収や明確な再発防止策などをどうするのか?またインターネット上で今も流出したままとなっているが注意喚起や対策が不十分ではないのか?また関係者の処分はどうするのか?法的に問題ないとして不問に付すというが、道義的・政治的責任は問われる。また河村市長は全く関与せず知らなかったとしているが、内部の犯行であったとしても、この社長が署名簿を入手したとするなら窃盗罪に当たる可能性がある。刑事告訴など毅然と対処すべきではないか?
■民主主義の根幹を揺るがす問題であると同時に、制度の問題点が浮き彫りになった。リコール自体の不正が疑われる署名簿は、個人情報保護の観点から現時点では法的に閲覧や再検証することが出来ない。一方、個人情報保護法の適用除外を盾に13名の候補者に流出したことを問題ないとするのであれば、身内に甘いと言わざるをえないというだけでなく、今後、署名が目的外使用される可能性があるならば、署名を躊躇うケースが出てくるなど法の不備といえよう。
以上、この問題はリコールそのものの正当性をも否定する極めて重大な問題である。通常こうした問題が民間企業で発覚したら、弁護士など外部の調査委員会を立ち上げ、原因の究明、被害者の救済(弁償)、再発防止、監督責任を含めた関係者の処分など行なうものであるが、調査そのものが不十分であり、原因の究明がなされたともいえず、結局、何一つやっていない。トカゲの尻尾きりで迷宮入りさせるのではなく、今後も徹底的に追及を行なっていきたい。
(写真は、6/29CBCイッポウより)
