M7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東大地震研究所の平田直教授のグループがまとめた。
東日本大地震によって首都圏での地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。政府のこれまでの発表では、首都直下を含む南関東の地震発生確率を30年以内に約70%としていたものと比較すると、切迫性の高い地震予測となる。首都直下地震が起こった場合、阪神・淡路大震災のおよそ2倍規模の12,000人の死者が出るとされているが、今後、災害想定が見直されることから、連動型地震となればさらに被害が拡大するおそれがある。
今後、国の災害想定や地域防災計画の見直しが急務であるが、東京湾の津波対策や帰宅困難者の対策など新たな課題に早急に対応すべきであろう。昨今では、大阪都構想をはじめとする地方制度の議論が起こっているが、危機管理上の観点から、首都機能の代替機能の位置づけなど法整備が進んでいない。2年前に千代田区の防災計画について調査を行なったが、千代田区は、国会や金融市場、外国大使館など政治・経済の首都機能が高度に集積しており、世界的にも大きな影響を与える。また住民台帳上の人口は4.5万人であるが昼間人口は85万人で堺市の83万人、新潟や浜松市の81万人に相当する規模である。首都圏全体で考えれば、3000万人が影響を受ける。
東日本大震災では巨大津波や原発事故への対応が「想定外」とされた。また菅首相が、発災直後に官邸を離れて福島へ行ったことやいくつもの復興に関する会議が召集されたことに批判が集まった。今後、首都直下地震が予測される中、「想定外」の事態や場当たり的な対処療法であってはならない。国会や官邸機能は大丈夫か?交通や流通経路は大丈夫か?金融市場の影響は最小限に抑えられるのか?防災力を高めることは当然であるが、初動対応や復興への備えは十分か?非常事態における法整備や危機管理の戦略が具体的に求められている。
