大村知事は、金看板公約である県民税10%減税を来年度実施を見送ることを決定した。東日本大震災の影響や急激に進む円高の影響によって大幅な税収減となることから、事実上の公約撤回となった。2月の知事選と市長選挙で減税を公約としたムラ・ムラ連合であるが、盟友の河村市長は姉妹都市の公式訪問団としてトリノへ行っているが、大村知事は何度か国際電話をし、苦渋の決断であると厳しい表情を見せた。
県民税は、法人市民税と事業税のいわゆる法人二税によって支えられているが、景気の動向に直撃する。リーマンショック前は1.4兆あった県税収入は、リーマンショックで豊田自動車が赤字に転落するなど輸出産業の低迷が大きな影響を与え、5,000億円の税収が消えた。固定資産税など比較的安定財源がある市税収入と比べ、金額も比較にならないが、大村知事が現実的な判断に舵を切ったのだろう。
継続審議となっている名古屋市の減税条例も11月議会でファイナルという河村市長であるが、先般、財政当局から示された来年度収支見通しでは、減税を実施した場合、363億円が税収不足となり、可決の目処は立っていない。中京都構想も宙に浮いたまま、もともと立法の話で出来ないことを大阪のパクリで思わず言ってしまっただけということである。今回の大村知事の判断は賢明であるが、節操がなくそもそも実現不可能なことを大みえ切って、パフォーマンスでバカ騒ぎをするという性格なのだろう。もっと地に足の着いた政治をやっていただきたいと願うばかりである。
