民間から非常勤の教員を登用するキャリア・マイスター制度が、導入される。週3日の勤務で、担任や生活指導の補佐をし、総合学習の時間では、社会人としての経験をもとに講話を受け持つ。教員免許は不要、年齢、キャリアなど特に制限はない。各区1名ずつで16名を採用し、報酬は、月額16万円が支払われる。マイスターとは、ドイツ語で“名人”の意味。
河村市長の肝いりであるが、民間人の経験を教育の現場で生かしていくという意味では、ある面、オモシロイ試みである。しかしながら、「学校のセンセーの言うことは聞かんでええ」というのが持論だけに、学校現場での混乱など心配もある。教科指導だけでなく、生活指導や進路指導、部活動など職務が多岐にわたるが、経験や技量だけでなく、人格、生徒や保護者と信頼関係などが求められる。河村市長によると「海外赴任をしていた方が、生の英語を教えたり、ラーメンのオヤジが、極意を伝えれば、オモシロイ授業になる」とのことである。しかし、これまでも過去に民間から全く使い物にならなかった副市長を登用したり、教育委員の人事で私塾の社長を推薦したことがあった(否決されたが・・・)。また市会議員も多様な人材があった方が、オモシロイといって、“ド素人議員”のお粗末ぶりは、言わずもがなである。
教育者も研鑽に励み、教員同士の競争や刺激は必要であろう。国では、2008年から専門性の高い教員養成を目的に専門職の教職大学院を設置した。キャリア職と一般職との区別が採用時点で明確に位置づけられておらず、単に自己啓発にとどまっている点が、問題点といえる。また、議論が棚上げになったままであるが、民主党政権のマニフェストでは、教員過程を6年間とし、専門性の高い教員の質の向上を目指している。こうした国の議論との整合性を踏まえて、より質の高い「プロの教員」が求められる。「やってみないと分からない」といって教育現場が混乱しないよう祈るばかりだが・・・
