早稲田大学大学院公共経営研究科の片木淳教授(地方自治)の「地域主権と地方政府の確立」(『公営企業』2010.6月号)という論文を紹介する。
明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、「地域主権」を確立することは民主党政権の金看板であるが、片木教授は、「地域主権」について、地域を4つの層に類型し、主に地方政府の再編と地方議会改革について考察を行ない、「人民主権」と「新しい公共」の考え方を提唱している。それらの重要ファクターとなるのが「地方議会」と指摘している。「地域主権」とは、@新しい公共A住民協働B補完性の原理の観点で地域コミュニティの住民による自治組織やこれを基盤とする近隣政府の確立と強化が必要と強調している。
地方議会の役割こそ二元代表制の下、長との緊張関係を維持しつつ、自治体経営の要と結論づけている。なお、その不可欠な前提となるのが、「財源の確保」としている。事実上、破綻している国家財政の下では、消費税の引き上げは焦眉の課題であり、国と地方財政の起債を禁止し、その上で自治体の事務に見合った財源を保障することが「地域主権」への転換となるとしている。
全文は、片木研究室ホームページ(www.f.waseda.jp/katagi/)をご覧ください。写真は、同ホームページより引用。(ドイツ・ポツダム大学)
