自民党市議団セミナーの講師として名大大学院の後房雄教授に「地方行政と議会内閣制」をテーマに講演いただいた。後房雄教授は、河村マニフェストを作成したひとり。その後、市の経営アドバイザーとなったが、一身上の都合で、就任直後に辞任している。
■後氏の「議会内閣制」についての持論を説明いただいたが、地方議会の多くは二元代表制が機能していない。二元代表制は、幻想で立法時点において制度上の矛盾を想定しておらず、欧州のような一元代表制で、議員も自治体経営に一定の責任を果たすことが必要と語った。日本の地方議会は、多く「相乗り」によって機能不全となってきた。二元代表制には根源的な問題があり、議会と首長が対立した場合、一時的にどちらが勝とうとも、制度的に根本的な解決策とならないとのこと。
この議会内閣制については、先日、東郷のブログで課題と論点をまとめたが、地方自治を専門とする有識者の中でも否定的な見解が多い。現行の地方自治においては、憲法原則においての二元代表制を基軸に議会改革の流れが潮流となっている。憲法上、首長も議会も直接選挙で選ばれたものによる二元代表制を規定しているが、独立対等の機関としてチェック&バランスが必要である。議会内閣制の考え方には、議会も行政に対して責任を負うというものであろうが、キャビネット(内閣)の一員として首長優位の上下関係が生じるため、チェック機能を著しく阻害する。
■河村市長の政治姿勢、手法については、解散が目的化してしまった。市民の権利である解散権を事実上市長が行使することは、自治法の制度の主旨に反する。昨年12月に減税と地域委員会を議会が一旦可決したにもかかわらず、マニフェストにもない議員の定数・報酬の半減を持ち出し、恣意的に現在の対立をもたらしたことは、公約実現が目的ではなく、議会解散直接請求をやって全国的な注目を集めたいというだけで大義はない。一方で解散請求は、市民の権利であって議会側も反対したり、妨害することがあってはいけない。賛否を問う住民投票において反対を唱えるべきとの見解を示した。
