「議会内閣制」という聞きなれない言葉であるが、政府の地域主権戦略会議の委員である橋下大阪府知事が今年1月に首長と議会が協働し、責任を共有することが必要だと主張。2013年の地方自治法の抜本改正の中で、大きなテーマとして検討されている。しかしながら、昨今の地方議会改革の中で議会基本条例を制定した自治体は130団体にも上り、二元代表制における議会の役割や立案機能、市民参加を明確に打ち出している。イギリスが2000年に導入した制度がひとつのモデルとなっているとされるが、以下問題点を挙げる。
■圧倒的な首長(行政)優位の体制が固定化する。
■議会のチェック機能が形骸化する。二元代表制の崩壊。
■二元代表制をもとにした議会改革の流れを阻害する。
今後の論点は、以下のようなことが考えられる。(思いつくまま・・・)
●現行の二元代表制の問題点をどう捉えるか?
●議会と首長(行政)が効果的に機能しているか?
●首長マニフェストと議員(政党・会派)マニフェストの政策をどのように反映させるのか?
●イギリスモデルの検証。議会一元制(カウンシル制)の問題点は「内閣制」で解消されるのか?
●議会の政策形成と首長の執行権の関係をどう考えるのか?
●自治体の政策決定に対するチェック機能が働くのか?
橋下知事は、他にも府市合併構想をぶち上げているが、こちらも自治法の改正が必要であり、大阪府も大阪市も現段階では具体的検討は全くなされていないとのこと。議会内閣制についても国会の議院内閣制の論理を地方自治体に当てはめることが出来るかは課題も多い。地方自治においては、本来、二元代表制のもとで政党政治の対立を持ち込むことはおかしい。国会では、二院制を取っており、機能分担やチェック機能がある。こうした議論は、自治体関係者や有識者からも疑問の声が多い。
余談だが、他党の候補者選びについて云々言うつもりはないが、現在、民主党市議団が市長候補として要請している石田芳弘衆議院議員も議会内閣制を持論としている。こうした論法は、首長側からは合理的な半面、議会を軽視した一面的な見方とも取れる。
