注目の大阪市長・府知事のダブル選挙は、大阪維新の会がいずれも橋下徹氏(前知事)と松井一郎氏(前府議)が圧勝した。大阪市を解体し、大阪都構想を最大公約に掲げた。しかし、都構想実現には、自治法や関係法令の抜本改正や少なくとも特措法など立法の整備が必要となる。
大都市制度の議論でいえば、これまで国も基礎自治体への権限強化を目指してきた。政令市長会・議長会では、政令市を特別自治市としての機能強化を訴えており、今後の大都市議論のあり方に大きく影響する。最近では、温度差はあるものの中京都構想や新潟州構想など県・市一体化の議論が起こっているが、地域主権という流れに逆行している。地方分権を議論する上で、大きく分けて、@まずは基礎自治体への権限・財源移譲A次に将来の方向性として、道州制の実施といった議論に集約されている。基礎自治体は、近接性・補完性の原理においても医療や福祉、教育などあらゆる分野において住民生活に密接に関わっており、大阪市の解体ということになれば、総論賛成各論反対ということになりかねない。
橋下新市長は、まずは職員の人件費の見直し、削減を公言し、選挙に関わった職員の退職干渉、教育委員会の抜本的見直しなど報復とも取れる粛正を示唆している。また現在の大阪市議会は、第1党であるものの過半数がないことから、今後、名古屋と同じ運命になると発言していることから、リコール(議会解散)に発展する可能性もある。さらに次期衆院選において既成政党の協力が得られないならば、国政の候補者を擁立していくと明言した。河村市長とも同じような手法だけに、パワーゲームではなく、まずは住民にしっかりと説明をする努力をし、丁寧なコンセンサスをつくっていくことが必要である。
