河村市長は、一丁目一番地ともいう看板公約の市民税10%減税を2012年度から行なうための条例改正案を9月定例会で提案する方針を固め、財政局に指示した。
2月の市長選、出直し市議選後、初の条例提案となるが、9月時点で来年度の収支見通しや国の地方財政計画など自治体の財政運営の指針が明らかとなっていない中で議論する材料がない。また震災の影響や急速な円高による景気・雇用環境の悪化で税収見込みも厳しいと予測される中、保護費など歳出も大幅に増えることが考えられる。減税財源は、220億円。行政サービスの低下が懸念されるが、東海大震災に備えた対応や景気・雇用対策など市民の命やくらしを守るための喫緊の政策課題が山積している。
当初は、11月議会に減税条例を提案するとの見方が有力であったが、なぜ敢えてこの時期にと思うが、相次ぐ減税日本の不祥事で防戦一方であった河村市長の失地回復を狙ったパフォーマンスである。11月議会でこれらの数字が出てくれば、議会審議で立ってられないのだろう。その前に大騒ぎして国政復帰の足掛かりと共に、議会との不毛な対立を再び煽り、市民の関心を引きつけるための、まさに「政局」である。アメリカ発の世界金融恐慌の危機とされるが、名古屋発“減税”デフォルトとならないことを祈る。
