岐阜経済大学で「新しい公共とは何か」と題してシンポジウムが開催された。第1部では、北川正恭早大院教授が「日本の再生は地域から−新しい公共と自治体の役割」について基調講演を行なった。三重県知事時代の第1期分権改革期の中央集権からの脱却を目指した自治体経営のあり方、地方の自立によって県庁文化の意識改革が内発的に起こった。それに触発された議会も先進的に改革に取り組んだと振り返った。そこにあったのは対立ではなく、徹底した対話(ダイアローグ)によるものだという。
現代社会を取り巻く環境は、劇的に変化し、グローバル化が進み、多様な価値が存在するようになった。そうした中で、少子高齢化、雇用、教育、環境といった様々な行政課題に対して、行政や地域コミュニティ、企業、NPOなど様々な公共政策における協働が不可欠となった。東日本大震災という未曾有の災害は、防災や復興支援において、自治体ではなくボランィアなど地域の絆が社会を支えていることに気づかされた。ダムや道路をつくるハードの公共事業から「新しい公共」へとパラダイム・シフトされるきっかけとなろう。
名古屋市議会についても触れ、河村市長が誕生し、オール与党体制で長年の閉鎖的な体質が、劇薬によって議会も変わったと一定の評価をしながら、現在の混迷する減税日本について論評できないと切り捨てた。自らの三重県での改革をなぞらえて「理念なき実践は空虚である」、また「理論なき実践は暴挙である」と語ったのが印象的であった。
