全国政令指定都市長会で河村市長が兼ねてから持論である首長と国会議員の兼職を認めるよう提案したが、現時点では継続審議とされた。河村市長によると公選法と公務員法を改正すれば可能、フランスなど諸外国では兼職を認めている。また国会議員の人材不足を解消できると力説したが、他の市長は、自らの国政復帰のための苦肉の策と冷ややかな反応だったようだ。
では、果たして本当に首長と国会議員の兼職が可能であるか?まずは議員内閣制である国会では、一般的に衆議院にしても参議院にしても政党に所属している場合が多い。それは、選挙制度にも起因する。しかしながら二元代表制の首長の場合、一般的には無所属での出馬によるものが多く。地域の声を代表する立場と政党の利害、マニフェストとの整合性など齟齬が起きる場合がある。また何故、首長だけなのか?ヨーロッパの例では、地方議員と国会議員の兼職を認めている。首長に限定することは理由がない。さらに河村市長の論法でいけば、基礎自治体の首長(議員)が、都道府県の議員も兼ねることも可能であるが、現実的とはいえないだろう。国会と地方議会が重なったらどちらが優先されるのだろうか?議会以外の公務はどうなるのだろうか?そもそも論であるが、特定の選挙区で選出される首長(地方議員)と参議院全国区の比例代表で選出された場合、公務と日常の政治活動との両立は物理的にいっても極めて困難であろう。また名古屋市のように市長選の方が、衆議院小選挙区よりも範囲が広い場合の民意の集約のあり方も問われる。
まあ一言でいえば、“政治をなめるな!”ということだ。公私混同による寝言のような話だが、よもやこんな話を口実に市政を投げ出して、国政復帰の踏み台にしようとは考えていないだろうが・・・
