2008/5/31

「かちかち山物語」第1章  バイク海外ツーリング

今年は言わずと知れた2008年・・・

今から20年前の6月から12月の7ヶ月間、バイクでオーストラリア一周縦横断約37000kmの旅に行ってきました。いつか何らかの形で残したい・・・と思いつつ、忙しさにかまけて延ばし延ばしにしてきましたが、20周年の今年を機会に少しずつアップしようと思います。

別ブログで・・・と思いましたが、それも面倒くさく、興味のない方にはすみません(^^;
私の記録ですので読み飛ばしてください。

もう20年前のことで、当時の日記も抜け落ちてるページもあり、何からどう手をつけていいのかわからないまま、とりあえずずいぶん昔にエピソードの一つを物語風に書いたものをアップします。

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オーストラリア走破ルート。スタートもゴールもメルボルンでした。
きつかったのはケープヨーク旧道と大陸横断鉄道沿いの連続ダート3000km。
西の海岸沿いの退屈な直線もきつかった・・・


〜かちかち山物語 第1章〜

赤い砂とブッシュ(低い灌木)以外に何も見えない世界…。時折砂漠の道を横切る小さなトカゲとワラビー(小型のカンガルー)が、たんたんと退屈に流れてゆく時間を遮る闖入者だ。いや、闖入者はきっと僕の方かも知れない。

「奴らはどうして、こんな何もない砂漠の真ん中で生きていけるのだろう…」

容赦なく照りつける太陽に、全てのものが乾ききっている。

1988年8月10日午後、僕はオーストラリアのほぼ真ん中にあるシンプソン砂漠をかすめて走る砂漠のハイウェイを、赤い砂の尾を引きながら時速120km/hで走っていた。SUZUKI DR600は700kmのダートを走破するには充分すぎるくらいトルクフルだ。僕はバイクを「太郎」と名付けた。頭の中ではパリダカをイメージし、ハウンドドッグのフォルテシモを口ずさみながら・・・完全に自己陶酔に入っている。

僕はAlicesprings(アリススプリングス)と言う、それこそオーストラリアの中心に位置する小さな町に向かっていた。世界的に有名な[Wins Safari Rally’]のスタートを5日後に控えている。日本人の有名なラリーストたちも参加するこのラリーのスタートをどうしても見たく、会いたい友達も居て、焦るような気持ちでアリスに急いでいたのかも知れない。まだ400km以上もある・・・。

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3日かけて約800kmの悪路を走り抜けてたどり着いたオーストラリア最北端、ケープヨーク。
この直後にエンジントラブルです。


そんな、いろんな事を考えながら快調に走っていた僕は、突然首筋に不自然な熱さを感じた。
「きっとジャケットが太陽熱を吸収して、その照り返しで首が熱いのだろう…。」
くらいにしか思わなかったのだが、だんだん熱さが増してくる。しかも太陽が一片の雲に隠れたにもかかわらず、熱さが収まる気配がない。

さすがに「おかしいなぁ」と思い、走りながら後ろを振り返ってみると、そこには信じられない光景が・・・

火だ。炎だ。ファイヤーだ!!!

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ケープヨーク旧道。葉っぱ同士がこすれて自然発火による火災が発生してます。

なんと後ろに積んでいた荷物が勢い良くゴンゴン燃えているではないか!!!一体何が起こっているのか、冷静な判断が出来ないまま半ばパニック状態でバイクを止め降りてみると、火は既に背中のデイバッグにも移っていた。あわてふためいて消火。デイバッグの火はすぐに消えたものの、荷物は勢いを増しながら炎と黒煙をあげて燃え続けている。首から下げていた2Lの水筒の水をかけるが、なんの役にも立たない。

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出火直後の模様です。左の方ではまだ炎がくすぶってます。

「どうしよう、どうしよう」と気持ちばかりが焦っていて、フッと辺りの赤い砂が目に付いた。赤い砂を掴んではかけ、掴んではかけ、やっとの思いで消し終えたときには後ろに積んでいた荷物のほとんどを焼失してしまっていた。未だに何が起こったのかわからないで呆然と立ちつくす僕に、灼熱の太陽は容赦なく照りつけ、無数のハエが僕を現実に引き戻す…。

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なんにもない最北端の村からケアンズまで運んでくれたTROPICAL TRADER.
船上での仕事は・・・結構きつかったです。昼夜問わずの4時間おき交代のエンジンルームの監視が一番きつかった。外洋なのでかなり揺れました。


振り分け式サイドバッグを使っていたので、サイドカバー越しに太郎のサイレンサーと接触。気温の高さと湿度の低さ、そしてハイスピードでのクルージングが重なり、とうとう引火してしまったのである。長いダート走行のためにバックミラーはスカスカであさっての方向を向いており、デイバッグに火がつくまでわからなかったのだ。

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道はどこまでもひたすらまっすぐ。退屈で歌ばかりうたってました。
とにかく尻が痛い・・・(^^;


何という不運、何という迂闊さであろう。どんなに悔やんでも焼けた荷物は絶対に元には戻らない。寝袋、衣類、カメラバッグ、キャンプ用品、食料、工具、スペアパーツ・・・全部燃えてしまった。フロントに積んであったテントとウエストバッグの貴重品とデイバッグの細々したものだけが無事だったのは不幸中の幸いだろうか。

メルボルンを2ヶ月前にスタートしてこれで3回目のビッグトラブルだった。
1回目はツーリングスタート3日目の台風のような暴風雨の中、フリーウェイでフロントタイヤを滑らし、時速110km/hで転倒。濡れた路面を、反対車線を突っ切り200mほども滑り続け、太郎も僕も傷だらけになった。
2回目はケープヨークというオーストラリア大陸最北端アタックの際、約800kmの悪路を走り抜いてたどり着いたとたん、キックバックで中のギアが損傷。そのままキックアームがクラッチカバーに当たって穴を開けてしまい走行不能でスタック。

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ロードトレインといわれるだけあり、全長は50m以上。こんなのが砂漠の道を疾走するもんだから後ろにつくと砂埃で何も見えません。追い抜くときは10秒くらい何も見えないので対向車が来ていたらいちころです。
それでも後ろを走ってられません。


一番近いバイク屋まで1200km以上ある。何もない、原住民アボリジニの村で修理のしようもなく、結局ローカルな貨物船を捕まえて、船の上で働きながら1週間かけてケアンズまで帰ってきた。そしてこれが3回目の大きなトラブル。前2回のトラブルからの回復に多額の金を使ってしまっていたので、もう荷物を買い揃えたりするお金の余裕は全くない。なによりもこの現実の悲劇にどう対処したらいいのかさえわからない・・・。

そんなことが頭の中を駆けめぐったとき、やりきれなくてこらえきれなくて、大声を上げながら砂漠の真ん中で泣いてしまっていた。
「なんで俺にだけこんなトラブルが続くんや・・・」
狂ったようにひとしきり泣いたあと、今度は狂ったように大声で笑い出していた。何で笑っているのか、何がおかしいのか、何に対して笑っているのか自分でもよくわからない。ただ、「泣いてたってしゃーないがな」と思ったときに、きっと笑うよりほか無かったのだろう・・・

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ウィンズサファリラリー出場の当時チームダイワハウスの青柳さん。彼女はその後もパリダカなどで大活躍です。この給油所で別れた直後に事件は起きました。

とりあえず、工具やスペアパーツなど焼け残って使えそうなものは持って行きたい。しかし、それを入れるカバンもしばるロープもなかった。 僕は誰かがここを通ってくれるのを待とうと決心した。否、待つしかなかった。

砂漠の、ひたすらまっすぐの道の道端に腰を下ろす。太陽は容赦なく僕を乾かし続けるが、それを遮るような日陰は何もない。のどが渇いて仕方なかったが、2Lの水は太郎の消火に使い果たしてしまっていた。
 「水が飲みたい・・・つめたーーーーい水が・・・」
 「もう日本に帰ろう・・・。もう旅を続けられへんわ・・・。もう疲れてしもたわ・・・。」

全くどこから湧いてくるのか、たくさんのハエが僕の肌から塩分や水分を補おうと、目や口や肌にまとわりついてくる。もうそいつらを追い払う元気もなかった・・・

第2章に続く・・・



2008/5/30

「かちかち山物語」第2章  バイク海外ツーリング

〜かちかち山物語 第2章〜


およそ一時間くらい経ったろうか。

風のそよぐ音に混ざってかすかにエンジン音らしき物音が聞こえてくる。体中の神経を耳に集中してみると、それは紛れもなく車のエンジンノイズだった。どこにそんな力が残っていたのか不思議なくらい力強く飛び起き、道路の真ん中に立つ。まるで狂ったように大きく手を振り続け、やがて彼らはスピードを落とし僕の前で静かに止まった。

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再出発後のひとこま。最小限にしても荷物はこれくらいにはなります。

状況を見て何が起こったのかを察した彼らはとても悲惨そうな顔つきで僕に近寄ってきてくれる。彼らにきいてもらいたい事・頼みたい事等々が一度に頭の中を駆けめぐったのだが、開口一番、

 「何か飲み物持ってない?」

そう、僕ののどはカラカラで、唇も乾き汗さえも出ず、もう蠅さえもたかってこないような状態だった。思い出したかのように彼らは、ランドクルーザーに備え付けられた冷蔵庫から[XXXX](フォーエックス)というQUEENS LAND州ブランドのビールを出してくれた。栓を開けるのももどかしく一気にそれを飲み干すと、体中の毛細血管の先の先まで水分が行き渡ったかのごとく僕の身体は少しずつ生気を取り戻していった。
やっと落ち着き、事情を説明しようとすると彼らはそれを遮り、
「1キロくらい手前に落ちていたよ」
と、焼けただれたカメラ入りのサイドバッグを拾ってきてくれたのだった。それを見た瞬間、忘れかけていた現実の出来事が一気によみがえり、また泣きたいような気分になり顔がゆがみそうになった。

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チ−ムダイワハウスの浅井・青柳ペアのスタート。ずいぶんいろいろお世話になりました。

そんな僕の表情を観察していた美人でグラマーな奥さんがすかさず近寄ってきて「かわいそうに…」と僕を優しく抱きしめてくれた。その優しさに僕の涙腺は一気にゆるみ、彼女の肩でまたさめざめと泣いてしまったのだった。乾ききったこの身体のどこにこれほどの水分が残っていたのだろうと思わせるくらい・・・

さすがに涙もかれ果て、とりあえず焼け残った荷物を車に積んでもらう。そして彼らは車で、僕は焼けただれたバイクでアリススプリングスを目指す。あと400kmほどだ。

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大陸横断鉄道沿いの道で。ほんとに何にもありません。
 
400kmを順調に4時間ほどで走り抜け、果たして僕たちはアリスの町に入った。彼らと一緒に町外れのキャンプ場にテントを張る。いつもは一杯の荷物で自分が横たわるスペースがやっとなのに、今日は妙に広く感じてしまう。

寝袋さえも焼いてしまった僕に彼らはブランケットを貸してくれた。食事にも誘ってくれたのだが、そんな元気も気力も食欲もなく、疲れ果てたままシャワーも浴びずに眠りにつく。今日の出来事が夢であって欲しいと願いつつ・・・。しかし砂漠の朝晩はそんな毛布一枚で安眠させてくれるほど甘くはなかった。夜中に寒さで何度も目が覚める。そして目を覚ます度に現実を思い知らされる。

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こんな何にもないところでパンク修理。かなり緊張し、ちゃんと直るかどうかドキドキします。
 
翌朝やはり寒さで目が覚め、一番に長距離バスターミナルに駆けつけた。ひろこに会うためだ。ひろこ・・・SYDNEYの中央郵便局で偶然出会い、ひょんな事からCAIRNSまでの2000kmを3週間共に旅をし、いつの間にか恋をしてしまっていた少し年上の女・・・。彼女が今日のバスでここアリススプリングスに着くと言う情報をゲットし、急いでこの街までやって来たのだった。

時間は07:30。大型バス特有の低くうなるようなエンジン音を静かな砂漠の街の朝に響かせながら、バスがターミナルに入ってきた。その窓の一つにひろこのあのとぼけたような顔を見つけたときは、もう涙で目がかすんで焦点が合わなくなってしまっていた。

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砂漠から離れるとこんなポスターみたいな素敵なところも。
ちなみに隣はひろこではありません(^^;


毎日喧嘩ばかりしていたのに、さりげない優しさや愛嬌のある瞳にいつしか惹かれていた俺。彼女のバイクが故障したときに汗だくで修理していた俺に晩御飯を作ってくれた事。俺が熱を出したときに夜遅くまで枕元で看病してくれた事。彼女がこけて怪我をし、雨の中町中を走り回って薬を買ってきて手当してあげたとき、気の強い彼女が目にいっぱい涙をためて「ごめんね…ありがとう」と言った事。約束通りCAIRNSで旅を終えて久しぶりに一人の夜を迎えたとき、寂しくて切なくて会いたくて苦しくて泣けて泣けてどうしようもなかった事・・・

彼女と旅した日々のいろんな事が頭の中を駆けめぐる。そして彼女がバスを降りてきた。俺がここにいることなど全く知らないで。俺がどんなに好きかどんなに会いたかったかも知らないで。
「まさくん・・・?」

*** かちかち山物語の本筋とそれてしまうので、この恋の物語はこの辺で終わっておきます。***

街を走ってみるとラリーのスタート準備であちこちに人があふれ、がやがやしている。小さな街で3分もあれば通り抜けてしまえそうだ。そんな小さな街をテールを焦がした「太郎」でチョロチョロ走っていたもんだから、走りながら荷物を焼いてしまった僕の噂はあっという間にラリー出場の日本人たちの間で広がってしまった。今後旅を続けるか帰国するかはまだ決めかねていたのだが、とりあえずラリーのスタートだけは見ていくことにする。

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マツカサトカゲ。うようよしてました。尻尾を煮込むとおいしいらしいですが私はトライしなかったです。

日本人の出場者がラリーの前夜祭にバーベキューをするという。事件のことを気の毒に思ってくれた知り合いの一人に「おいでよ」と声をかけられた。ただ肉ただ酒だ。ありがたく参加させてもらい、久しぶりのごちそうにとりあえずイヤなことは忘れてしたたかに酔っぱらう。半ばやけ酒状態になっているとラリーの出場者が声をかけてくれた。

 「話は聞きました。いろいろ大変でしょうが頑張って下さい。これよかったら・・・」

と、その手には真新しいT−シャツと下着が。感動しているまもなく、次々といろんな人たちが僕のところに来てくれる。

 「大変だろうけど頑張って下さい。」
 「長旅にはトラブルは付き物だから頑張れ。」
 「今は辛くても、きっと後でいい思い出になるよ。」
 「次はきっといいことがあるからさ。」

そして僕の手には衣類、カバン、食料品、そして現金まで…。見ず知らずの人たちが、ただ「バイク乗り」という共通点があるだけで少しでもと力になってくれる…。感動で胸がいっぱいになり、いっぺんで酔いもさめてしまう。

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キャサリン渓谷ではカヌー遊びする余裕もありました。ワニもいて怖かったです。
 
キャンプ場に帰る道すがら、みんなの優しさに滲んでくる涙を止めることも出来ずに、ただ「ありがとう、ホントにありがとう…」とつぶやきながら空を見た。黒いカーテンに隙間無くちりばめられた無数の星が降って来んばかりで、その中でもひときわキラキラと輝く南十字星を見つめていると不思議と元気が湧いてくる。
 
 「頑張ろう、頑張って旅を続けよう。」


第3章に続く・・・

2008/5/29

「かちかち山物語」完結編  バイク海外ツーリング

〜かちかち山物語 第3章 完結編〜

いろんな人に勇気と元気をもらった僕は、旅を続ける方向で前向きに検討、とりあえず体制を立て直すべくメルボルンに戻ることを決意し、翌日から精力的に動き回る。ラリーの終わった後の街は閑散とし, 祭りの後の町の様に妙に寂寥感にあふれて、なんだか寂しい感じがする。ラリーのゴールは2週間後のシドニー。そこにはもう行かない。

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定番のエアーズロック。実物を見ると神々しさを覚えます。
もちろん頂上まで登りました。


とりあえず雑貨屋で安くて丈夫なカーキ色のアーミーの大きなカバンを二つ買う。それに残った荷物の全てを詰め込んで翌日スタート。メルボルンまでは2100km。荷物を焼いたこと、ひろこのこと、みんなの親切のこと。いろいろな思いを胸に、大陸縦断道路をひたすら南下。走って走って走って3日でメルボルンに到着する。8月のメルボルンは真冬。昼間は日本の冬ほどではないが、それでもセーターがないと寒い。所持金には全く余裕がなかったものの安物のトレーナーを買って寒さをしのぐ。

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マタランカのホットスプリングス。ジャングル風呂の様な雰囲気で最高に気持ちよかった。

バイクの修理は、来豪時にお世話になったSスポーツにお願いする。お金がないのを察してくれて、オーナーの家の庭の穴掘りを条件に、パーツ代だけで修理してくれることになった。金を稼ぐべくバイトを探すも、英語も満足に出来ない日本人に、短期のバイトなどなかなか見つかるものでもない。その傍ら、だめもとで保険会社にも足を運んでみる。荷物が焼けたという公的機関の証明など何もなく、無事だったコンパクトカメラで取った写真が2−3枚だけ。東京海上の担当は「東京に打診してみる」と言ってはくれたものの期待は薄そうだ。一応、消失したもののリストを書いておいてくる。

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さくらんぼ摘みのバイト。完全歩合制で一箱A$4でした。私は1日にせいぜい10箱でしたが、出稼ぎのベトナム人たちは当たり前のように20箱以上摘んでました。
「黒い襟巻き」は当時のオーストラリアで流行っていて・・・ではなく、約4ヶ月伸ばしたヒゲです(^^;


旅を続ける方向で前向きに動き回っていた矢先、先の東京海上から連絡が入った。なんと「事情が事情なので、今回保険金を支払わせていただきます」と。これで旅を続けられる。まだまだ見捨てられていない。喜び勇んでオフィスに向かい、一通りの手続きを済ませていく。保険の約款で、工具、パーツ、バイク本体などの分は出せないらしいが、それでもまとまった金額がすぐに口座に振り込まれた。

すぐに必要な道具を買い揃え、再出発の準備に取りかかる。そのうち「太郎」の修理が終わったと連絡が来た。見に行ってみると、修理は出来ているのだがサイドカバーの色が左右で違う。金がないので、解体屋で中古のパーツを探してきてくれたらしい。その心遣いに胸が熱くなり、丁寧にお礼を言って9月の中旬、再び西へ向けて走り出すことが出来たのだった。

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廃屋で一夜を過ごすことも。とにかく頭から足の先までホコリまみれで汚いです(^^;
2週間くらいシャワーなし、なんてこともありました。


オーストラリアはやはり広い大陸で、目的地まで平気で2〜3日かかったりしてしまう。そんな広い大陸だというのに、どこにいても会うのは日本人と中国人だ。シドニーで偶然であった奴と、ナラボー平原のど真ん中で再会するなどという話は、かの地ではちっとも珍しくないのである。

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民家で雨水のタンクから水を分けてもらいました。水垢にボウフラにゴミに・・・
それでも飲まざるを得ません。


そんな状況の中、西オーストラリア州の州都パース郊外で、僕と同じくオートバイで一人旅をするA君と出会った。意気投合し、その夜は二人でブッシュキャンプ(人気も何もない森の中でのキャンプ)をする。僕がご飯を炊き、彼が缶詰をベースにおかずを作ってくれた。食後はやはり火をたいてみる。たき火の炎を見ていると不思議なくらい気持ちが静かになってしまうのは、安心感なのだろうか。

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大陸横断鉄道沿いの州境の看板。

 「こういう関係っていいよね。後に関係を続かせようって気がないから、飾らずに向き合える気がする…。」
 「そうですよね。いいですよね。」

などと、ただボーっと他愛もない話をし出したときにA君が、

 「ねぇ、まささん、プレンティハイウェイで荷物焼いた人の話知ってます?」

と切り出してきた。一瞬耳がぴくっとなり心臓がドッキンしたのが自分でもよくわかった。

 「う、うん、なんか聞いたことがあるような、ないような…。それってたき火の火がテントに移って燃えたとか?」

そうであって欲しかった。自分のことであって欲しくなかったのだが、

 「いや、なんでも走っていて背中の荷物が燃えているのに気が付かないまま走り続けて、荷物を全部焼いて、背中も少し火傷したらしいですよ。でもそこまで気が付かないもんかなぁって…。」
 「いや…背中は…火傷してないんじゃないかな…。……それって、誰に聞いた話?」
 「ウィンズサファリに出てた人ですけど。」

これで観念した僕は白状するに至るのである。

 「A君、それって…俺のことなんだよ…」
 「えーーーーーっ!それじゃあなたがかちかち山の…」

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こんな砂の上は荷物満載でまともに走れることはなく、歩くほどのスピードになり非常に苦労します。出くわすたびにうんざりです(^^;

この時はじめて自分が「かちかち山ライダー」と噂されていることを知ったのであった。驚くべき事に彼は、ケープヨークでエンジントラブルを起こし貨物船を捕まえて町まで帰ってきたことまで知っていたのだった。恐るべし、オーストラリアの日本人たち…。

〜完〜

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7000kmくらいのときに中古で買ったので、走行距離は約37000kmでした。


あとがき

これは長い旅の間で起こった100以上はあるエピソードの一つに過ぎません。

当時の友達の何人かとは今でも付き合いあります。本当に仲良くなって、気心知れて屈託のない奴ら。何百人と会って10人くらいまでかなぁ。結構そんなもんです。最初は旅先で、外国で日本人と出会った感動からか、みんなと住所交換してたけど、結局その場限りになるのがほとんどでした。だからいつの間にか相手の住所を聞くこともなくなりました。

「こういう関係っていいよね。後に関係を続かせようって気がないから、飾らずに向き合える気がする…。」

このセリフは実は自分の言葉じゃなく、当時世界一周中だった人に僕が言われた言葉です。

その人の影響を受けた僕は、それから4年後に世界一周に旅立ちました。

2008/5/25

第7回101スーパーキス参戦  2008//釣行記

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磯ノ浦101尾会主催の第7回101スーパーキストーナメントに参戦してきました。雨の影響で浅い海には濁りが入りゴミが漂い、惨敗でした(^^;

平日に試し釣りをされた方々の情報ではすこぶる好調の浜の宮。バコバコ釣るぞ〜、と張り切っていたのに土曜日から天気が崩れだす。「水潮」で食いが鈍るかも・・・と心配だったのだが、当日はそれどころの話ではなかった・・・

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まだ小雨が降る中準備中です。

予報では天気は快方に向かうとのこと、小雨のなか和歌山に向けて出発。紀ノ川SAで北摂のmakochanファミリーと合流しマックスでエサを仕入れて現地へ。皆さん、雨の中三々五々集まってこられる。海面を見ると恐ろしいくらいに濁りが入り、ゴミが漂っている。波打ち際もゴミだらけだ。これは3匹釣ったら優勝だ、というのがおおかたの予想だ。集中的に雨のひどいところもあったらしく、来る事ができない方もいらっしゃった中、予定より30分遅れ、27名で試合開始となった。

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赤いポンチョのハゲトラマン、改めちびトラマン。

雨はだんだんこましになるものの濁りとゴミはどうしようもない。子供がいたので近いところに入るが、投げれど投げれどかかってくるのはゴミばかり。北のほうに入られた方はポロポロ釣られているという話だ。それでも信じて投げ返していると、となりのマコちゃんがとうとうマイクロを1匹釣り上げる。今日キススペBX+をおろしたばかりだと言うのに最初の1匹目はマイクロピンとは・・・(^^;

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海は穏やかですが、ゴミと濁りはすごいです。

ここではどうしようもないなぁということで、ちょっと場所移動。好調の皆さんのちょっと先に入れていただく。なんとか○ボは避けたく、ひたすら投げ返すがキスのアタリは全くない。潮が引くと3色までひざくらいの深さになるここ浜の宮で、この濁りの中手前では絶対キスはいないと信じて6〜4色を中心に探り続ける。と、横で釣っていたマコちゃんに20cm弱の良型がかかってきた。

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そんな海からマコちゃんはきっちりキスを拾ってきます。さすが〜。

横目でチラチラチェックすると、階段から投げていたコンちゃんのおやじさんはコンスタントに釣っておられる。養老さんにいたっては3連をあげておられる。唯一、そこにおられた野村代表がまだ○ボなのでちょっと安心(?)する。しかし更に焦りが入ったのは言うまでもなく、木錘に変えてひたすら投げ返し丁寧に探るのだがアタリはない。私にかかってくるのは漂うゴミばかり(^^;

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天候がよければ最高のキス釣りポイントです。

そうこうしているうちにマコちゃんには3匹目が釣れる。時間はもうほとんど残ってない。「あ〜、今日はこのまま○ボかぁ〜。ま、ボーズの人も多いだろうし、野村さんもボーズやしなぁ〜」とあきらめていると、「おぉっ」と声がする。振り返ると○ボ仲間の野村さんがとうとう最後の1投で1匹釣り上げ、うれしそうな顔をされている。「おめでとうございますぅ(^^)」と声をかけながらも内心「ゲゲェ(^^;」という気持ちであえなく終了。道具を片付けその場でゴミ拾いを開始する。

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投也も厳しいながら熱心に投げ返します。場所移動後、終了間際にやっと1匹。

打ち上げられたゴミが恐ろしいほどあり、2枚のゴミ袋はあっという間にいっぱいになってしまう。少し離れて竿を出していた投也。やつも今日はこんな状況でかわいそうになぁ、と声をかけるとなんと1匹釣ったという。ガビ〜ン、だ(^^;

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恒例の海岸清掃もゴミ袋が足りずにこれが限界でした。

自己申告の計量のアト、審査に入る。その間、皆さんで集められたゴミの分別を行い、いよいよ表彰。トップは廣瀬さんと養老さんの12匹、3位に10匹で見事コンちゃんの親父さんが入賞された。この海況で2桁のキスを引っ張ってこられるのは素晴らしいの一言です。皆さんおめでとうございます。

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表彰式でプロジェクトの皆さん。開催・運営ご苦労様でした。

表彰も終わり解散後に有志が集まってキャスティング練習会を行う。GFG関西の皆さんのご好意でがまの竿なども投げさせていただき、また投魂組長も残ってくださり大変楽しい投げ練になった。GFG関西の西田さんはお年を感じさせない豪快なスイングで、見ていて実に気持ちがいい。中さんの投擲もさすがに豪快で、私の青竿であっさりと7.5色ツンしておられた。

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終了後の投げ練ではGFG関西の皆様のご好意でがまの竿を投げさせていただきました。

小一時間の投げ練のアト、いよいよ解散。
釣果がなく欲求不満のたまった自分はどこかで竿を出したかった・・・気持ちはあったが、カラダの疲れには勝てずにマコちゃん家族と廻る寿司をつまんで帰路に着く。

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投也が釣ったピンギス。「姿作りにしたれよ」、とホンの冗談で言ったつもりなのに昼寝から目覚めるとこんなことになってました(^^;

あ〜疲れた。雨中の釣りは普段の3倍は疲れますね(^^;
今回、残念な天気になり、ユーさん始めタカさんイワさん、せっかくお知り合いになれた方々が来られなかったのが残念でした。秋の大会には是非来てくださいね。

参加の皆さんにおかれましては雨の中お疲れ様でした。
またチビ共が何かとご迷惑をかけ、お世話になりこの場を借りてお詫びとお礼を申し上げます。また、秋の第8回101スーパーキスをよろしくお願いいたします。

来週はいよいよSBS弓ヶ浜です。
こんな調子じゃ今年は・・・・・(^^;
ま、お気楽にやってきます。


*和歌山、浜の宮海岸
ロッド  :スカイキャスター33−425
 錘   :各種
時 間 :06:30-10:00
釣 果 :1匹(投也)10cm
天 気 :雨のち曇り  
 潮   :中潮

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