2020/5/19

元特捜部検事の意見書  憲法・社会・官僚・人権

元東京地検特捜部長ら38名が5月18日に、森雅子法相に提出した意見書の全文は次の通り。

※うわっ、この人もあの人も賛同しているんだ、凄い話です。報道されるこの類の文章に名を出すのはまったく初めて人がやたら多いだろうと。それだけ重要なことなんですもん。黒川氏つまり私とも同じ期35期の元検事4人、彼も彼も名を出したと。おおっ。
一人はオウム事件で、やたらチベット仏教の勉強をして、信仰の固かった故新実智光につき、正しいとするならそれでいいがとして「自白調書」をしっかりとった人です。一人は巡りあわせだろうがとある事件で辛い立場になった人でした。おおっ

 検察庁法改正案のご再考を求める意見書

 私たちは、贈収賄事件等の捜査・訴追を重要な任務の一つとする東京地検特捜部で仕事をした検事として、このたびの検察庁法改正案(国家公務員法等の一部を改正する法律案中、検察庁法改正に係る部分)の性急な審議により、検察の独立性・政治的中立性と検察に対する国民の信頼が損なわれかねないと、深く憂慮しています。

 独立検察官等の制度がないわが国において、準司法機関である検察がよく機能するためには、民主的統制の下で独立性・政治的中立性を確保し、厳正公平・不偏不党の検察権行使によって、国民の信頼を維持することが極めて重要です。

 検察官は、内閣または法務大臣により任命されますが、任命に当たって検察の意見を尊重する人事慣行と任命後の法的な身分保障により、これまで長年にわたって民主的統制の下で、その独立性・政治的中立性が確保されてきました。国民や政治からのご批判に対して謙虚に耳を傾けることは当然ですが、厳正公平・不偏不党の検察権行使に対しては、これまで皆さま方からご理解とご支持をいただいてきたものと受け止めています。

 ところが、現在国会で審議中の検察庁法改正案のうち幹部検察官の定年および役職定年の延長規定は、これまで任命時に限られていた政治の関与を任期終了時にまで拡大するものです。その程度も、検事総長を例にとると、一年以内のサイクルで定年延長の要否を判断し、最長三年までの延長を可能とするもので、通例二年程度の任期が五年程度になり得る大幅な制度変更といえます。これは、民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保のバランスを大きく変動させかねないものであり、検察権行使に政治的な影響が及ぶことが強く懸念されます。

 もっとも、検察官にも定年延長に関する国家公務員法の現行規定が適用されるとの政府の新解釈によれば、検察庁法改正を待たずにそのような問題が生ずることになりますが、この解釈の正当性には議論があります。検察庁法の改正に当たっては、慎重かつ十分な吟味が不可欠であり、再考していただきたく存じます。

 そもそも、これまで多種多様な事件処理等の過程で、幹部検察官の定年延長の具体的必要性が顕在化した例は一度もありません。先週の衆院内閣委員会でのご審議も含め、これまで国会でも具体的な法改正の必要性は明らかにされていません。今、これを性急に法制化する必要は全く見当たらず、今回の法改正は、失礼ながら、不要不急のものといわざるを得ないのではないでしょうか。法制化は、何とぞ考え直していただきたく存じます。

 さらに、先般の東京高検検事長の定年延長によって、幹部検察官任命に当たり、政府が検察の意向を尊重してきた人事慣行が今後どうなっていくのか、検察現場に無用な萎縮を招き、検察権行使に政治的影響が及ぶのではないか等、検察の独立性・政治的中立性に係る国民の疑念が高まっています。

 このような中、今回の法改正を急ぐことは、検察に対する国民の信頼をも損ないかねないと案じています。

 検察は、現場を中心とする組織であり、法と証拠に基づき堅実に職務を遂行する有為の人材に支えられています。万一、幹部検察官人事に政治関与が強まったとしても、少々のことで検察権行使に大きく影響することはないと、私たちは後輩を信じています。しかしながら、事柄の重要性に思いを致すとき、将来に禍根を残しかねない今回の改正を看過できないと考え、私たち有志は、あえて声を上げることとしました。

 私たちの心中を何とぞご理解いただければ幸甚です。

 縷々(るる)申し述べましたように、このたびの検察庁法改正案は、その内容においても審議のタイミングにおいても、検察の独立性・政治的中立性と検察に対する国民の信頼を損ないかねないものです。

 法務大臣はじめ関係諸賢におかれては、私たちの意見をお聴きとどけいただき、周辺諸状況が沈静化し落ち着いた環境の下、国民主権に基づく民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保との適切な均衡という視座から、改めて吟味、再考いただくことを切に要望致します。

令和2年5月18日

 元・特捜検事有志

38名ですね。  
熊崎勝彦(司法修習第24期)、中井憲治(同上)、横田尤孝(同上)、加藤康榮(司法修習第25期)、神垣清水(同上)、栃木庄太郎(同上)、有田知徳(司法修習第26期)、千葉倬男(同上)、小高雅夫(同上)、小西敏美(司法修習第27期)、坂井靖(同上)、三浦正晴(同上)、足立敏彦(同上)、山本修三(司法修習第28期)、鈴木和宏(同上)、北田幹直(同上)、長井博美(司法修習第29期)、梶木壽(同上)、井内顕策(司法修習第30期)、内尾武博(同上)、勝丸充啓(同上)、松島道博(同上)、吉田統宏(司法修習第31期)、中村明(同上)、大鶴基成(司法修習第32期)、松井巖(同上)、八木宏幸(司法修習第33期)、佐久間達哉(司法修習第35期)、稲川龍也(同上)、若狭勝(同上)、平尾雅世(同上)、米村俊郎(司法修習第36期)、山田賀規(同上)、奥村淳一(同上)、小尾仁(司法修習第37期)、中村周司(司法修習第39期)、千葉雄一郎(同上)、中村信雄(司法修習第45期)
(世話人)熊崎勝彦、中井憲治、山本修三
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