2014/4/1

死刑制度の存廃と飯塚事件、袴田事件、名張事件  憲法・社会・官僚・人権

死刑制度の存廃と飯塚事件、袴田事件、名張事件

 袴田事件、飯塚事件、そして名張事件(名張毒ぶどう酒事件)の経過を見るに、日本の死刑制度の存続に疑問が持たれてしまうのは当然だよな、とつくづく思う。

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そもそも日本では、既に死刑が確定した後に再審開始、無罪確定事件が1989年1月までに4つもになってしまっていた。下記に良くまとめられている。これが4つともなった段階で、死刑廃止になってもおかしくないものでした。だから当時、何年にもわたり死刑執行がされていなかった。
 冤罪で死刑、それが執行までされてしまったら、確かに取り返しも付かないのだから。長く懲役刑を受けていた場合も取り返しがつかないだろうけれど、やはり命そのものを奪ったかどうかは重いことだから。
無限回廊
http://www.maroon.dti.ne.jp/knight999/index.htm
http://www.maroon.dti.ne.jp/knight999/muzai.htm
死刑確定後、再審で無罪になった事件【四大死刑冤罪事件】
http://matome.naver.jp/odai/2139580959957165101

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先日、死刑が確定していた袴田事件で再審決定となった。同時に執行停止と、釈放までもされた。検察庁は抗告したから再審開始はまだ確定していない。つまり未だ死刑囚でありながら、社会に戻っていると言う形。逮捕されてから48年間でしたか、ギネス記録となった。
袴田事件で、再審開始が確定していないのにも釈放にまでなったのです。
 これは高齢であることだけでなく、三重県の名張毒ぶどう酒事件の経緯があるからだと思う。

 名張事件なぞ、客観的結果的には、実に国家が人の命をもてあそんでいると言う外ない状態です。詳細は下記
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E5%BC%B5%E6%AF%92%E3%81%B6%E3%81%A9%E3%81%86%E9%85%92%E4%BA%8B%E4%BB%B6
江川紹子さんも本を出している。
『名張毒ブドウ酒殺人事件――六人目の犠牲者 (岩波現代文庫)

更に述べれば経緯は下記の通り。
分かりやすいように○は無罪、●は死刑方向と記載します。
1961.03.28 事件発生5人死亡
1964.04.03 逮捕
1964.12.23 ○津地裁で無罪
1969.09.10 ●名古屋高裁で逆転有罪、死刑判決
1972.06.05 ●最高裁は有罪、死刑判決を支持
以後、6次にわたる再審申立が棄却
2005.04.05 ○名古屋高裁が再審開始決定
2005.12.26 ●異議申し立てを受け名古屋高裁が再審開始決定を取り消し
2010.04.05 ○最高裁が、再審開始決定取り消し決定を取り消して、差し戻し
2012.05.25 ●名古屋高裁が、改めて再審開始決定を取り消し
2013.10.16 ●最高裁がこれを支持、
つまり今、法律上はいつでも死刑を執行できる状態 
 

これでは「狂え」と言ってよいようなものです。名張事件では、裁判所の判断の変化だけでも天国、地獄の行き来を6回していることになる。
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そして昨日、死刑事件の飯塚事件では、再審開始が認められなかった。

これについて、参考に日弁連の飯塚事件再審請求棄却決定に関する会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140331.html

この飯塚事件は、なんと既に死刑が執行されてしまっている事案なんです。それも確定からわずか2年後の2008.10.28です。凄いこと過ぎるんです。(この死刑執行にはあぜんとした、法務省はなにをしているのか、ハンコを押したのは森英介法務大臣。2008年麻生内閣で法務大臣に任命され初入閣。在任中は、9人の死刑囚の死刑執行命令を発令した。)

この飯塚事件は、未だ信頼性の低かったと別事件で判明しているDNA鑑定に基づいて確定し、執行されたものを、今回はたとえ信頼性が低くとも「両者が一致する可能性も十分もあるとし、その余の情況証拠を総合すれば確定判決の有罪認定に合理的な疑いは生じないと」というものなんです。
 再審開始の審理では「疑わしきは被告人の利益に」ではないと言うようなもので、それは違う再審審理の事件での「白鳥決定」の判例に違反もしていると思う。

 DNA鑑定の信頼性についての別事件とは、足利事件です。これは無期懲役だったから「死刑再審」ではないけれど、それでも大変な話なんです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%88%A9%E4%BA%8B%E4%BB%B6
2010.03.26、この再審の判決公判では、宇都宮地裁(佐藤正信裁判長)は「当時のDNA鑑定に証拠能力はなく、自白も虚偽であり、犯人でないことは誰の目にも明らか」として無罪。言い渡し後、裁判長は「真実の声に十分に耳を傾けられず、17年半の長きにわたり自由を奪うことになりました。誠に申し訳なく思います」などと謝罪。宇都宮地検は上訴権放棄を宇都宮地裁に申し立てて受理されたため、無罪判決が即日確定したものなんです。

飯塚事件は、その同一時期、同一機関でのDNA鑑定に相当に依拠した高裁死刑確定判決に基づいて、既に死刑執行をしてしまっていた事案なんです。なんと。
飯塚事件の死刑執行は、2008.10.28、足利事件では、2008.02.13に宇都宮地裁で再審請求を棄却したが、2008.12.18に東京高裁がDNA型再鑑定を行うことを決定し、2009.6.04に検察庁が本人を釈放、2009.06.23に東京高裁が再審開始を決定、そして2010.03.26に裁判官が謝罪までした無罪判決、確定なんです。
つまり、その足利事件での、東京高裁のDNA再鑑定が決まる直前に、別事件で再鑑定資料がないものではあるければ怪しい飯塚事件で、死刑執行までもしてしまったんです。

だから、この飯塚事件で仮に再審開始決定、まして後に無罪となれば、死刑を廃止すべき、という方向になっていかざるを得ないものなんです。逆に、国家としては死刑存続を図るためには、飯塚事件で再審決定となるのは是非とも避けたいと、裁判官も、酷いことに政策的に考えるかもしれないんです。

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 もちろん、飯塚事件は、DNA鑑定は関係がなかった地裁判決からすべて有罪、死刑判決だという違いはあります。
 また再審事案ではないが、小野悦男事件のように、無期懲役判決だったのを高裁で無罪判決となり確定して釈放されて、わずか数年の後に類似の事件を起こして再び裁判、有罪・無期懲役判決となっている事案もある。無罪確定判決を獲得して釈放させた弁護人は実に悩んでおられた。
首都圏女性連続殺人事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%96%E9%83%BD%E5%9C%8F%E5%A5%B3%E6%80%A7%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
足立区首なし殺人事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E5%8C%BA%E9%A6%96%E3%81%AA%E3%81%97%E5%A5%B3%E6%80%A7%E7%84%BC%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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死刑存続論者の私としては実に悩みます。
 このブログで何度も書いたが、私が死刑存続に賛成するのに2つだけ障害となっているのが、「冤罪もありえる危険性」「死刑執行人の苦悩」なんです。犯罪抑止になるかどうかなぞどちら側の証明も結局できず、また関係がない。

 一方で、「有実明白」で死刑以外ないではないかっ、という事案も確実にある。『死刑の理由』(新潮文庫、井上薫著)という死刑判決の量刑判断部分をまとめている本があり、これは逆に「死刑廃止論者」こそ、確実に読んでほしいと思う。
 実際、殺人事件に関与してると、実に酷いものだと思う事件が少なくない。写真のみならず、証拠を閲覧してあの血の匂いにむせたこともある。ご遺族の気持ちのいかばかり、ともちろん思う。現場にいく警察官なぞ何としても検挙を、死刑をと思うだろう。自分も友人を殺され、自分が殺されそうだったこともある。人を殺したのち数時間後の人とも何人か会った、眼が血走ってもいる。

 でも、死刑制度があるが故に、冤罪のままに死刑が執行されてしまっている可能性のある事案がたとえ一つでもあるとしたらどうか。存続論者の自分も加担したことになるのではないか、と。
  悩みます。

 
 そもそも自分が弁護士を志した原因の一つが冤罪だと思われる下記狭山事件と言うものを知ったことにもよる。元被告人の実顔は、東京地裁の前で再審請求のために声を出しているところで初めて見ました。なお、この事件の裁判経過は、様々な運動体のいざこざがなければ経過が違ったのではないか、とも思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AD%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

 ああ、私の死刑制度についての見解につき、ウィキは訂正されているが、下記のヤフー知恵袋では、未だ私が過去、死刑廃止論者だったという前提で書かれている。弱ったものだ、訂正はどうすればできるのか。ネットの保存性の問題だなあ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1188530136

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