2014/1/22

BPOへの陳述書−その1  メディア・ネット

昨日付でアップしたBPOの「見解」の事案につき、私が提出した陳述書は、下記の通りです。申立人個人の特定に関する一部の所は、*****としました。
ご参考までに。

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陳  述  書

平成25年9月5日
放送倫理・番組向上機構 [BPO]
放送と人権等権利に関する委員会   御中

*************弁護士滝本太郎

第1 前文
2012年12月30日深夜に関東地方で放送のテレビ東京「あの声が聞こえる〜麻原回帰するオウム〜」番組についての、貴機構への一オウム真理教信者(宗教団体アレフ信者)からの申立に関して、下記の通り陳述します。
  なお、当職は弁護士として厳しい守秘義務を課せられている者であり、本件はオウム真理教(現「アレフ」ほか)と相対してきた私の弁護士業務に関連するものでありますから、株式会社テレビ東京からこの事案について詳細を聞くなどしても、なんら人権侵害となるものではないことをご留意願います。

第2 本件申立ての捉え方について。
 1 本件申立て及び関係書面をみて、まず気づくのは、本件申立てが「オウム真理教」すなわち「アレフ」としての申し立てであることです。
  形上は、その一在家信者の申立てのごとくですが、教団は教団と様々な形で相対している個人、公的機関そして少なくないマスメディアに対して個人名義で抗議、申立て、訴訟をなしているところ、その一環としての本件申立てであるということです。どうみても教団をあげて資料収集をしたという証拠が散見すること、もとより本人は****在住であって本件番組の視聴範囲からして直接視聴した筈はないのに視聴した、として申し立てていることから明白です。

  このような教団活動は、相手方が、メンバー家族であれば本人が教団の欺瞞性や問題点に気づくべく話し合いをすることをあきらめさせ、相手方が公的機関であれば嫌気を起こさせて監視の目を緩め、相手方がマスメディアであれば「触らぬ神に祟りなし」として報道を委縮させるためのものであります。
  事実、すくなくないマスメディアやメディア人にあっては、執拗な通知や申立、訴訟などの攻撃そして背景としてある教団の底知れぬ怖ろしさから、取材も報道も委縮してしまっている状況が現今、見て取られるのであり、ゆゆしき事態であると感じているところです。勧告はもとより、本件番組につき少しでも見解などが示されるならば、教団にあって多大な宣伝活動を展開しマスメディアのまさに委縮を狙うものなのです。

  いま、BPOにおいては、そんな教団の活動に対してどう対応するか、が問われていると思われます。

2 第2に気づき、また決して忘れてはならないことは、オウム真理教、アレフ教団の「破壊的カルト性」とそれに多く随伴する「秘密性」が未だ変わっていないことです。
  教団にあっては、自己のしていること、教団がしてきたことを認識しないまま「現実感を持たず」に「無頓着」でいます。また、メンバーの一人ひとりは極めて真面目であり否真面目であるからこそ、教団の利益になることを推し進めようとする上司の指示には絶対的に従うものでしたが、それが変わっていません。

  そして、アレフ教団にあってはここ数年まともな記者対応がまったくないこと周知の事実であるところ、ここでもやはり取材にまともに答えないものでした。本件番組でも如実に示されています。

 3 一方、一般人の少なくない割合はもとより、実は、知識人やメディア人にあっても「オウム真理教事件は終わった」「もう悪い人もグルも逮捕され、今残っている人は良い人だけだ」「その良い人らが宗教をしているだけだ」などと誤解しています。
  その感覚が、オウム真理教事件から18年を経過した現在、若者たちに誤解を与え、地下鉄サリン事件などの現地でないからか、より現実感覚を持ちにくい関西や北海道にて、教団アレフの若い信徒勧誘活動が成功している原因ともなっています。まことにゆゆしき事態です。

  しかし、一連のオウム真理教事件の特質は、化学兵器サリンを使って無差別大量殺人までもしたという所にとどまりません。極めて重要な特質として、坂本一家を殺した人も、サリンを製造し撒いた人も、実に悔しいことですが「良い人だった」という特質があるものです。
  これは、刑事裁判所もしっかりと認識したところであり、たとえば、地下鉄サリン事件で8人を殺した林泰男死刑囚にあっても、一審の死刑判決の文中には「麻原および教団とのかかわりを捨象して、被告人を一個の人間としてみるかぎり、被告人の資質ないし人間性それ自体を取り立てて非難することはできない。およそ師を誤まるほど不幸なことはなく、この意味において、被告人もまた、不幸かつ不運であったと言える」と述べています。死刑判決の中にかような文脈があるのは、まさに異例中の異例です。

  オウム真理教事件は、教祖にとっては格別、実行犯らにとっては「良いこと」をするつもりの宗教的な確信的行為です。それはすなわち、今後とも、教団が存続する限り、同様に「良いこと」をするつもりの行為があり得る、それも現実感覚を没却した事件を起こす怖ろしさを、示すものでもあるのです。
  1996年の後も、既に内部で温熱療法による死亡、また冬季富士山に登っての死亡事件が起こっていることはご存知かと思いますが、それら遺体の色が変わったり腐ってきている状態をビデオ撮影し、「修行」のために信者に見せているのがアレフでもあるのです。これらは、自分の命も他の命についても「無頓着」こそが正しいとし、現実感覚を失っているからこそ、なしえるものなのです。
  「悪意の殺人は限度があるが、善意の殺人は限度がない」という怖ろしさ、「地獄への道は善意の敷石で踏み固められている(パスカル)」というのが、破壊的カルト集団による事件の怖ろしさです。

  いま、BPOは、そんな破壊的カルトにおけるメンバーの心理、申立てなど法的手段を濫用する手法、それらをそれなりに理解した上での対応がなされるかどうか、が問われていると思われます。

4 第3に、改めて感じるのは、本件番組が極めて優秀なものであり、まさに公益に尽くし、国民の知る権利に尽くした番組だったということです。
  当職は、本件番組の取材を当職は受けませんでしたが、取材を受けた人から「よく理解しているチームなんです」というような話を聞き、注目していました。すると放送をみて実際、実に有益かつ優秀なものでした。
  当職は、後記の通りオウム真理教を脱会した者と多くつきあっている立場ですが、1995年以来の18年間の報道において、ここまで信者や一応の「脱会」信者らを含めて心理描写に成功し、そして本件申立人のように今また被害者そして後に加害者になりえるだろう人物、それらに示された破壊的カルトの恐ろしさを示した番組は、類例をみないものでした。

  このような評価は、オウム真理教の末端信者であった者はもちろん、当職が窓口をしている真実の脱会信者が時に集まる「カナリヤの会」にいる元大幹部、元受刑者らにあってもまったく同じであり、このような番組こそ必要なのだとほとんど意見の一致するものでした。
それ故にこそ、当職として初めて「再放送を求めます。全国放送にて求めます」と連絡したり当職のブログに記述するなどしたものです。

5 もとより、ご承知の通り、オウム真理教わけてもアレフに対しては、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年12月7日法律第147号)」所定の観察処分が課せられています。これは、サリンをまくなどまでしたオウム真理教、それも公序良俗に違反したとして宗教法人格を失い、教祖以下大幹部の多くが逮捕され重罪を課られているのに、「信教の自由」を標榜して任意団体を作っている「アレフ」などに対しては、実に十分な観察が必要だからこそ、制定され、適用されているものです。
  その観点からして、もともと本件番組のごときはかかる観察が必要な団体を観察するものとして「公益性」が強く推定されるものです。日本の法体系の下にあるBPOにおかれても、この観点を決して看過してはならないものと確信します。

  まして、本件番組は、単に興味本位とか表面的な報道、また「暴露」により視聴率を上げようとするような番組ではありませんでした。脱会した元幹部のそれぞれの状況を浮き彫りにしつつ、重い障害を残している被害者を示し、そして新たに入信してきた申立人の状況を浮き彫りにさせてきた番組であり、スタッフから声をかけられた現役信者こそが、じっくりと見てほしい番組でした。

  いま、BPOは、そんなオウム真理教、アレフの捉え方、その監視を国家にだけ任せておいてよいのか、むしろマスメディアにあって、アレフ側の攻撃に対して委縮することなく対応すべきなのかどうか、またはつまりは委縮せよとするのか、その指針を示すことが問われていると思われます。

  「人は前もってあらゆる困難を考察しておかねばならぬ。」(アリストテレス『形而上学』)ところ、本件番組は、実に緻密かつ誠実な取材をもとに意義ある番組としたのであり、申立人のプライバシー保護などの困難性を考察して対処してきたと考えます。

第3 当職は、1989年11月の坂本堤弁護士一家拉致事件を機に「オウム真理教被害対策弁護団」に加わり、それから24年近くオウム真理教の問題に関わってきました。またオウム真理教家族の会(旧「被害者の会」)の顧問弁護士の一人です。
   当職は、1993年7月からは、ご家族の依頼により信者と接触して脱会に導くための家族関係調整事件にあたりその件数は約30人にものぼります。その間、教祖の偽りを暴露するために、当職として「空中浮揚」写真を撮影しこれをカウンセリングに使うこともしてきたことから、1994年5月9日サリン攻撃を受け、その中毒に陥る殺人未遂事件の被害者ともなっています。
   当職は、1995年6月にはオウム真理教の脱会者のケアの場として「カナリヤの会」を結成しました。信者の親族からの情報、脱会者からの情報、そして意図的に接触している現役信者からの情報をえているので、教団の活動状況も相応に把握しています。

  このような私の経験上、反社会性・秘密性・欺瞞性といったオウム真理教の特徴がアレフの中に脈々と引き継がれていると認められます。以下、詳述します。
  なお、オウム真理教とアレフの一体性は明らかですので、本陳述書においては、両者を併せて「アレフ」といいます。また、アレフは、自らを宗教法人オウム真理教の法人格は失ったものの、名称と組織を改編した継承団体だとしているので、オウム真理教及びアレフを合わせて「教団」といいます。
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2014/1/22

BPOへの陳述書−その2  メディア・ネット

第4 オウム真理教=アレフ教団の反社会性
1 教団は、その教祖である麻原彰晃こと松本智津夫(以下「教祖」といいます。)に対する確定判決(東京地方裁判所2004年2月27日言渡し)によるだけでも、教祖が教団幹部らと共謀して、次の通り極悪非道の事件を重ねており、日本の近代刑事裁判史上、前代未聞の組織犯罪を重ねた団体です。
 (1) 田口君殺人事件(殺人) 1989年2月上旬ころ、出家を辞めようとした信者の首を絞めて殺害した。
 (2) 坂本弁護士一家殺人事件(殺人) 1989年11月4日、オウム真理教被害者の会を支援していた弁護士とその妻子を殺害した。
 (3) サリンプラント事件(殺人予備) 1993年11月ころから1994年12月下旬ころまでの間、サリンプラントをほぼ完成・作動させてサリンの生成を企てた。
 (4) 滝本サリン事件(殺人未遂) 1994年5月9日、オウム真理教被害対策弁護団の一員である私にサリンを吸入させて殺害しようとした。
 (5) 松本サリン事件(殺人、殺人未遂) 1994年6月27日、松本市内でサリンを発散させ、住民7人(後に8人)を殺害し、住民4人(後に3人)に重傷を負わせた。
 (6) 小銃製造等事件(武器等製造法違反) 1994年6月下旬ころから1995年3月21日ころまでの間、約1000丁の自動小銃を製造しようとし、1994年12月下旬ころから1995年1月1日までの間、小銃1丁を製造した。
 (7) 落田殺人事件(殺人、死体損壊) 1994年1月30日、脱走後他の信者を連れ出すために教団施設に侵入した信者を殺害し、その遺体を焼却した。
 (8) 冨田リンチ殺人事件(殺人、死体損壊) 1994年7月10日ころ、信者を警察のスパイに仕立て上げようと残虐なリンチまでしたが失敗し、口封じのため殺害し、その遺体を焼却した。
 (9) 水野VX事件(殺人未遂) 1994年12月2日、脱会しようとした信者を支援した男性にVXを掛けて殺害しようとした。
 (10) ・・孱愡・錙併・諭法。1994年12月12日、会社員を一方的に警察のスパイと疑い、VXを掛けて殺害した。
 (11) 永岡VX事件(殺人未遂) 1995年1月4日、オウム真理教被害者の会(現在のオウム真理教家族の会)の会長にVXを掛けて殺害しようとした。
 (12) 假谷事件(逮捕監禁致死、死体損壊) 1995年2月28日、多額の布施を引き出すために信者の居場所を聞き出そうとしてその実兄を拉致・監禁し麻酔薬を過剰投与するなどして死亡させ、その遺体を焼却した。
 (13) 地下鉄サリン事件(殺人、殺人未遂) 1995年3月20日、東京の地下鉄3路線5方面の電車内でサリンを発散させ、乗客・駅員12人を殺害し、乗客14人に重傷を負わせた。

2 上記事件を含めて一連のオウム真理教事件は、教祖に対する絶対的な帰依並びにこの者が説いた教義と一体不可欠です。すなわち、下記に述べる通りの教祖の教えと、これに対する「出家者」ら信者の絶対的な服従がなければ成立し得ない事件でした。
(1) 教祖は、都内でヨーガ教室を開いて指導に当たり、1984年ころ「オウム神仙の会」を発足させました。その後、「最終解脱」をしたと称するようになり、出家制度を作り同年9月ころには出家者は二十数名を数えました。1987年6月ころ、「オウム神仙の会」の名称を「オウム真理教」に変更するとともに、グルであると称して、自己の絶対化をもくろみました。

(2) 教祖は、1987年ころから、核戦争の可能性について不安をあおりながら3万人の解脱者を出して世界に散ることにより核戦争が起きることはなくなるなどと、オウムによる人類救済を説き、1988年1月ころの説法では「今年、私は、大乗からタントラヤーナのプロセスについて説きたい。」旨述べました。教祖は、1988年10月ころの説法で、より早く成就するためにはヴァジラヤーナの教えによることが必要であるとして、グルである同人に対する絶対的な帰依を求めるとともに、布教活動を行う教団への奉仕活動としてのワークの重要性を強調しました。出家信者らは、修行及びワークに精を出し、立位礼拝の際には「オウム、グルとシヴァ神に帰依し奉ります。私を速やかに解脱へとお導きください。」という詞章を唱えるなどしていました。

(3) その頃、オウム真理教の出家信者は約100ないし200名、在家信徒は約3000ないし4000名に達し、勢力を急速に伸ばしていきました。教祖は、同年12月ころには、ハルマゲドン(人類最終戦争)が不可避であるとして終末感をあおりながらオウムによる救済活動の重要性について説きました。1989年ころまでには、出家制度は「シヴァ神及び尊師である教祖に生涯にわたって、心身及び自己の全財産を委ね、肉親、友人、知人等との直接及び間接の接触など現世における一切のかかわりを断つことである」とされ、教団への出家手続の際には、「出家中は教団に迷惑を掛けない。親族とは絶縁する。損害を与えた場合には一切の責任を取る。すべての遺産、財産は教団に寄贈する。葬儀等は教祖が執り行う。事故等で意識不明になったときはその処置を教祖に任す。慰謝料、損害賠償もすべて教祖に任す。」という趣旨の内容の誓約書、遺言書等を見本を見て書くように指導がされました。

(4) 1989年8月25日、オウム真理教は宗教法人規則認証書の交付を受けて法人格を取得しました。教祖は、次期衆議院議員総選挙に大師ら教団幹部と共に立候補することとし、同月16日、自らを代表者とし政治団体を真理党として政治資金規正法6条1項の規定による政治団体設立届を提出するなどし、選挙の準備を始めました。出家信者らは、グルである教祖に対する絶対的な帰依に努めながら、同人の言う3万人の成就者の中に入ることを目指して、日夜修行をしながら、それぞれに課せられた信徒勧誘活動や選挙準備活動のほか各種のワークに従事していました。

(5) 教祖は、1990年2月の衆議院議員総選挙に真理党として教団幹部ら24名と共に立候補したが惨敗したことから、同年4月ころ、教団幹部ら二十数名を集め、「今の世の中はマハーヤーナでは救済できないことが分かったので、これからはヴァジラヤーナでいく。現代人は生きながらにして悪業を積むから、全世界にボツリヌス菌をまいてポアする。救済の計画のために私は君たちを選んだ。」などと言って無差別大量殺人の実行を宣言して以来、ボツリヌス菌の培養、ホスゲン爆弾の製造、プラズマ兵器の製造、核兵器の開発、炭疽菌の培養等を教団幹部らに指示して教団の武装化を強力に推進し、その一環として、サリンをプラントで大量に生成するとともに、多数の自動小銃を製造しようと考えました。

(6) 教祖は、教団の武装化の一環として武器を製造することを考え、1993年2月上旬ころ、幹部である村井、渡部和実、豊田及び廣瀬健一に対し、教団で実際に造ることができるようにロシアに武器の情報収集に行くよう指示し、村井らは、ロシア連邦に赴き、軍の施設や大学、研究所等を訪れ、銃やロケット等について種々の説明を受けるなどし、教団自らが設計製造するために、旧ソ連軍に採用された自動小銃AK−74を1丁入手し、これを分解してその一部を持ち帰りました。教祖は、その報告を受け、横山を自動小銃製造の責任者に指名して、AK−74を模倣した自動小銃の製造作業を進めるよう指示しました。

(7) 教祖は、同年6月ころ、教団の武装化の一環として化学兵器の中でもサリンをしかもプラントで大量に生成しようと考え、幹部である土谷にその生成方法について研究するよう指示しました。教祖は、そのころ、自分の部屋で、石井や井上の前で「私の今生の目標は最終完全解脱と世界統一である。」という話をし、また、第7サティアンに70tのサリンを生成するプラントを造ろうと考え、同年8月末か9月初めころ、上祐、村井、新實らの同席する教祖の部屋で、滝澤和義に対し、「70tのサリンプラントを造ってくれ。いきなり大きいのでいこう。」などと言って70tのサリンを生成できるプラントの設計をするよう指示しました。教祖はサリンをヘリコプターで上空から散布することも考え、ヘリコプターの購入を図り、ヘリコプターの操縦免許を取らせるために出家信者らをアメリカ合衆国やロシア連邦に派遣しました。

(8) 教祖は、かねてから創価学会の池田大作名誉会長を敵対視していましたが、サリンの大量生成の方法についてめどがついたことから、その製法によって生成されたサリンで池田を暗殺するよう村井らに指示しました。村井らは、教祖の指示に基づき、2回にわたり、前記の方法に基づき生成されたサリンを創価学会の施設に噴霧しました。1回目は1993年11月中旬ころ、乗用車に設置した農薬用噴霧器を使って約600gのサリン溶液を噴霧し、2回目は同年12月中旬ころ、熱した鉄板の上にサリンを滴下して気化させそれを大型ファンで上方に排気する構造の噴霧装置を設置したサリン噴霧車を使用して約3kgのサリン溶液を噴霧しましたが、いずれも池田名誉会長に被害を与えるには至りませんでした。

(9) 教祖は、かねてから自己の前生は中国を宗教的政治的に統一した明の朱元璋であると公言していましたが、1994年2月22日から数日間、村井、新實、井上、早川、遠藤、中川ら教団幹部や真理科学技術研究所のメンバーその他の出家信者ら合計約80名を引き連れて中国に旅行し、前世を探る旅として朱元璋ゆかりの地を巡りました。教祖は、その旅の途中、ホテルの一室で、、タントラ・ヴァジラヤーナにおける五仏の法則について、「アクショーブヤの法則とは、例えば毎日悪業を積んでいる魂は長く生きれば生きるほど地獄で長く生きねばならずその苦しみは大きくなるので、早くその命を絶つべきであるという教えである。アモーガシッディの法則とは、結果のために手段を選ばないという教えである。」などと体系的に説いた上、「1997年、私は日本の王になる。2003年までに世界の大部分はオウム真理教の勢力になる。真理に仇なす者はできるだけ早く殺さなければならない。」旨の説法をし、武力によって国家権力を打倒し日本にオウム国家を建設して自らがその王となる意図を明らかにしました。

(10) 教祖は、サリンプラント製造計画と自動小銃製造計画を軸とする教団の武装化をより一層早める必要があると考え、中国旅行から帰国した直後である1994年2月27日ころ、都内のホテルオークラにおいて、中国旅行に同行したメンバーらの前で、「このままでは真理の根が途絶えてしまう。サリンを東京に70tぶちまくしかない。」などと言い、村井、早川、井上らの前で、サリンによる壊滅後、日本を立て直して支配するが、オウムが生き延びるためにも食糧事情等の調査もしなければならないという趣旨のことを話しました。
教祖は、教団が外部から毒ガス攻撃を受け続け危機的状況にあると強調して国家権力に対する敵愾心をあおりました。

(11) 教祖は、同年3月中旬ころ、新實、井上、中村昇らに対し、「もうこれからはテロしかない。」などと言い、新實をリーダーとして、自衛隊出身あるいは武道のできる出家信者十数名に軍事訓練のキャンプをさせ、同年4月上旬ころには、そのうち約10名をロシア連邦に派遣し、数日間、軍の施設で自動小銃等による射撃の訓練をさせ、同年9月下旬ころにも、異なるメンバーで、多種の武器による射撃訓練が実施されました。

(12) 教祖は、同年5月ころ、幹部である出家信者青山吉伸弁護士らのグループに対し、オウムでも日本やアメリカのような省庁制度を作るので、その国家制度について調査するように指示し、また、日本を壊滅した後の将来の国家体制を担うオウム国家の憲法草案を起草するよう指示しました。同年6月ころの段階での憲法草案には、主権は神聖法皇である教祖に属することや神聖法皇に国家権力を集中することなどが規定されていました。教祖は、更に日本やアメリカの行政組織を模した省庁制を採用し、教祖である教祖を頂点とし、その下に、教祖が直轄する法皇官房、武装化に向けて兵器等を開発するなどしていた真理科学技術研究所が改編された科学技術省(大臣は村井)、教祖やその家族の警護や軍事訓練、スパイの摘発等を担当する自治省(大臣は新實)、信徒からの情報収集その他の諜報活動等を行う諜報省(CHS、大臣は井上)等の省庁を設け、大臣や次官には教団幹部を任命しました。

(13) 一方で、教祖は、1993年12月ころから、信者らに電極付きの帽子を被らせて教祖の脳波をその脳に送り込むというイニシエーション(PSI)を始め、これにより修行が飛躍的に進むなどとして、在家信徒に対して、PSIの対価として高額の金員を徴収していましたが、1994年6月ころからは、幻覚剤であるLSDの入った液体を飲ませる「キリストのイニシエーション」を教団信者に実施して、LSDのもたらす作用により神秘的な幻覚体験をさせ、教祖に対する帰依を強めるとともに、その対価として高額な金員を徴収し、また、同年秋ころからは、LSDと覚せい剤の入った液体を飲ませる「ルドラチャクリン」のイニシエーションを実施しました。

3 以上から明らかな通り、一連のオウム真理教事件は、信者の教祖に対する絶対的な帰依と、それのみならずこの者が説いた教義とが一体不可欠となって起こされているのです。
  したがって、もしそれらが引き継がれたまま、または本質に変更がないままに団体が存続しているならば、引き続き重大な危険性を有する団体だということとなるのです。
  今、これら教団に対して、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(平成11年12月7日法律第147号)に基づいて、観察処分が付せられていますが、これは、アレフが今なお重大な危険性を有していることの当然の帰結なのです。

  この法律の立法趣旨は、その説明によれば、以下のとおりです。すなわち、「無差別大量殺人行為は、平穏な市民生活にとって重大な脅威となる上、これを団体が行う場合には、秘密裏に計画準備されて実行に移されるため犯行の事前把握が極めて困難であることなどから、犯行の実現可能性も高く、また、団体が一定の目的を達成するための手段としてこれを敢行する場合には、反覆して実行される危険性が高い。そこで、このような無差別大量殺人行為の特性を踏まえて、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、現在も危険な要素を保持していると認められる場合に、迅速かつ適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものである。」とのことです。
  そして、上記法律の目的は、同法1条によれば、「この法律は、団体の活動として役職員(代表者、主幹者その他いかなる名称であるかを問わず当該団体の事務に従事する者をいう。以下同じ。)又は構成員が、例えばサリンを使用するなどして、無差別大量殺人行為を行った団体につき、その活動状況を明らかにし又は当該行為の再発を防止するために必要な規制措置を定め、もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」ものです。

 そして、同教団らに対しては、2000年1月31日公安審査委員会決定により、「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」として、
1 被請求団体を、3年間、公安調査庁長官の観察に付する。
2 被請求団体は、「公安審査委員会が特に必要と認める事項」として、次の事項を公安調査庁長官に報告しなければならない。(1)被請求団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家信徒の位階、(2)被請求団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者名、契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
  として、観察処分に付せられています。

 これは、教団らが観察処分の要件を充たし、政治上の目的をもって、「松本サリン事件」及び「地下鉄サリン事件」という、多くの犠牲者を生み、社会全体に大きな衝撃と不安を及ぼした無差別大量殺人行為を団体の活動として行い、かつその首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫は、教団が現在も維持しているオウム真理教の教義においてはシヴァ神の化身として絶対的な帰依を求められている存在であって、決定的ともいえる影響力を有しており、将来再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があり、その活動状況を継続して明らかにする必要があると認められているとされたからなのです。
 この観察処分は3年ごとに更新されており、現在でも、教団は同法第5条第5項において準用する同条第3項第6号に規定する「公安審査委員会が特に必要と認める事項」として、次の事項を公安調査庁長官に報告しなければならないとされています。
(1) 被請求団体の構成員に関する出家信徒及び在家信徒の別並びに出家信徒の位階
(2) 被請求団体作成のインターネット上のホームページに係る接続業者名、契約名義人の氏名及び掲載の管理・運営責任者の氏名
(3) 被請求団体(その支部、分会その他の下部組織を含む。以下、この項において同じ。)の営む収益事業(いかなる名義をもってするかを問わず、実質的に被請求団体が経営しているものをいう。)の種類及び概要、事業所の名称及びその所在地、当該事業の責任者及び従事する構成員の氏名並びに各事業に関する会計帳簿を備え置いている場所(その会計帳簿が電磁的記録で作成されている場合には、当該電磁的記録の保存媒体の保管場所)

第5 アレフの秘密性、出家者の特質
(1) ところで、アレフの現在の共同幹事、副幹事、委員はもとより、「合同会議のメンバー」なる29名は、そのほとんどが上記犯罪行為の頃から教団の「出家修行者」であり、かつほとんどが、ホーリーネイムを教祖から授与されていた中堅幹部以上の者です。

(2) 出家修行者とは、教団に対して、「出家中は教団に迷惑を掛けない。親族とは絶縁する。損害を与えた場合には一切の責任を取る。すべての遺産、財産は教団に寄贈する。葬儀等は教祖が執り行う。事故等で意識不明になったときはその処置を教祖に任す。慰謝料、損害賠償もすべて教祖に任す。」という趣旨の内容の誓約をしている者です。

(3) このうち、例えば、2011年当時、代表である共同幹事松下孝寿は、ホーリーネイムをヴァジラハーサ師という者で、被告人麻原彰晃こと松本智津夫の刑事裁判が進行する中にあって、下記の歌を、秘密裡に教団内で作って普及させています。まさに、教団が思想的には教祖逮捕前と変わっておらず、その危険性を示すものといえます。

♪ 戦え復活の日のために 《作詞:ヴァジラ=ハーサ》
※救済財施部のサマナ達よ、今こそ私たちが立ちあがる時がきた
     グルと真理を守るという崇高な使命を果たすため、
     偉大な救世主をむかえ入れるため、
     我々は極限の帰依の実践をしなければならない。
     戦いの勝利の旗を勝ちとるために。
1.戦いの時は今
      立ちあがれグルのために
      刻み込めグルの心
      おのれの命かけてたち向かえ
      勝利の旗をなびかせ
      予言の世界をあらわせ
      自己のすべてをグルに捧げて
      果たせおのれの使命を
      戦いの雄叫びをイカヅチとともに
      歌え真理の光勝ち取る
  グルの復活の時まで
2.立ちあがる時は今
      突き進めグルのために
      刻み込めグルのすべて
      不屈の帰依をもってたち向かえ
      勝利の旗をなびかせ
      悪魔の支配と戦え
      自己のすべてをグルに捧げて
      果たせおのれ使命を
      戦いの雄叫びをイカヅチとともに
      歌え予言の時代勝ちとる
      グルの復活の時まで
※今、悪魔はその力を使って真理をつぶそうとしている。
     もし真理が失われてしまうなら、今生私達が生まれてきた目的は
 完全に失われてしまうだろう。
 今こそ思い出さなければならない。
 今生、この時代に転生した目的を
 いにしえからのグルと聖なる約束を
 マイトレーヤの弟子の使命は常にただ一つである。
 それはすべての魂の救済である。
 グルと真理を守るために今、まさに立ちあがるべき時が来た。
     自分の魂に刻まれた聖なる約束を果たすために
3.救済の時は今
      突き進めグルのために
      注ぎ込めグルの慈愛
      おのれの命もやし打ち砕け
      勝利の旗ヘ導き
      至福の世界へ導け
      自己のすべてをグルに捧げて
      果たせおのれの使命を
      救済の雄叫びをイカヅチとともに
      さけべ真理の時代勝ちとる
      グルの復活の時まで
4.勝利する時は今
      打ち砕けグルのために
      注ぎ込めグルの慈愛
      おのれのすべてかけて突き進め
  勝利の旗を打ち立て
      真理の世界を現わせ
      自己のすべてをグルに捧げて
  果たせおのれの使命を
      勝利者の雄叫びをイカヅチとともに
      ほえよ真理の世界勝ち取る
      グルの支配の時まで
※グルは必ず復活する!
     この予言を果たすために
     自分自身との戦いに必ず勝利するのだ
     一人一人が聖者になる道
     これがグルを蘇らせる唯一の道である
 戦え そして必ず勝利せよ
     勇気の剣ですべての魔を断ち切れ
     そして勝利の雄叫びをイカヅチのようにあげるのだ!
    
  (4)  この歌は、まさに、教団出家者の危険性と秘密性を示しているといえます。そして、現教団のさまざまなセミナーは、これら出家者らによりなされるものです。これら幹部が運営している教団、それぞれが反省なく脱会していない者が運営している教団が主催しているセミナーなのです。
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2014/1/22

BPOへの陳述書−その3  メディア・ネット

第6 教団の欺瞞性
 1 教団からは、1995年3月以降の、教団に対して刑事捜査、刑事裁判が進行する過程で、日本国内に2万人ほどの在家信徒のみならず、2500人ほどいた出家信徒の多くが脱会し、また一部は「ひかりの輪」として分裂し、その他の分派もできています。
  しかし、上記29名の幹部のほか、未だ少なくない者がオウム真理教を改編した組織であるとする教団に残っており、これにより、新しい信者が勧誘され、教団も解散されないままです。そして、1995年5月16日に教祖麻原が逮捕された後も、いくつもの犯罪を繰り返しているのです。それがまさに「アレフ」教団なのです。

2 これらの者の中には、1995年当時、教団がかかる事件を起こしていたとは知らなかったものも少なからず存在するのでしょうが、教団幹部また信者の多くが、教祖ら幹部がした上記事件が確定し、それが団体としての犯罪であることを認識していながら残存しているのです。
  事件を認識していることは、アレフ自身が認めている通り、宗教法人オウム真理教破産管財人弁護士に、破産財団が存続していた間は被害弁償を少額だが団体として行ってきたこと、ならびにアレフの「コンプライアンス規程」(平成20年5月20日作成)から明らかです。
  これは驚くべきことです。教団としてこのような重大な罪を犯したことを認識していながら、存続させているのです。当時は事件を認識せず、せいぜい「ものの譬え」として、グルの指示があれば人をも殺すという教えなどがあったと考えていた者も多いと思われます。しかし、それが、文字通りの「目的のためには手段を選ばない」、「目的のためには現実に人をも殺す団体なのだ」ということを知りつつ、あえて残存しているということとなります。
  このように教団の罪状を知りつつ、教団から脱会せずに残っていること信者と教団は、それ自体として危険性を示しています。

3 しかも、その後、教団に残存するものは脱会ないし解散しないという形で教団を残存させるばかりではなかったことが明らかになりました。
  アレフは、教祖を前面に出し、それまで述べていた「反省」を撤回するようになったのです。
  すなわち、第1に、アレフは、「アーレフ活動規定」にて2003頃までは、概要下記の通りの方針としていました。
「(1)旧団体代表の写真の使用制限
 旧団体代表の写真、イラスト、その他その肖像を表わしたもの(以下「写真等」と記す)は、本団体施設の祭壇および個人所有の祭壇に備え付けないこととする。これは、本団体綱領にあるとおり、本団体の根本的な崇拝対象は、シヴァ大神をはじめとする諸々の真理勝者(如来)であることを示すためである。よって、本規定は、旧団体代表に限らず、その家族やその他の者にも適用される。
(2)旧団体代表の教材の使用制限 (略)
(3)呼称に関する規定
@麻原彰晃旧団体代表の公式な呼称は「旧団体代表」である。
A「尊師」という呼称は、仏教・ヨーガにおける一般名詞であり、絶対者・完全者を表わすステージを意味せず、その意味で用いてはならない。
B「グル」という言葉は、シヴァ大神、真理勝者(如来)、覚者(ブッダ)、経典の正しい解釈者を一般的に意味する言葉であり、特定の存命中の人物を絶対化することを意味せず、その意味で用いてはならない。」

  しかし、アレフはこれを変更するようになったのです。それは、2007年8月のジャーナリストの取材で得られた情報により、白日のもとに晒されたのです。この暴露についても、アレフは当該テレビ局あてに、激しく抗議していました。
  すなわち、あるジャーナリストが、2007年8月11日、12日、京都会場で開催されるアレフの「夏季集中セミナー」に参加し、その一部を音声・映像として納めました。その中には、教祖の説法ビデオが道場内で放映されている部分並びに信者らに「グル」である同人に帰依するべく「オーム、グルとシヴァ大神とすべての真理勝者方に帰依し奉ります」なる言葉を述べつつ、立位礼拝をする場面が含まれていました。この取材結果は、その一部が、出家信者の肖像などが分からないように工夫されつつ、同年9月30日午後5時30分から6時30分の時間枠で、TBS報道特集「決定的証拠 松本死刑囚への回帰、あの教えも=vの重要な一部分として、全国放映されました。
まさに教団の欺瞞性と秘密性、危険性がここに暴かれたのです。

4 第2に、アレフは上記「アーレフ活動規定」なぞなかったものの如くふるまっています。
上記取材によってこそ「グル」なる呼称がアレフ信者らによって教祖を示すものとして始終使われていること、教祖への帰依が最大限強調されていること、写真どころか徹底した教祖への帰依を求めるビデオが使われていることが明らかになったが、それが上記規定に違反していること明らかだからでしょうがなんと今、この活動規定のごときものがなかったもののごとき主張をしています。

5 アレフはまた、別件訴訟でですが2009年2月19日付準備書面の3頁において、「宗教団体アーレフ綱領」および甲第1号証の2「宗教団体アーレフ規約」を「廃止した」と明言しています。
  この結果、「宗教団体アーレフ綱領」にあった「私たちにとって遺憾の極み」も、「宗教団体アーレフ規約」にあった「(3)宗教法人オウム真理教の一連の事件に関して、その損害賠償責任を負う。破産者オウム真理教破産財団の残債務を、同管財人との2000年7月6日付契約(以下「破産財団との契約」と記す)の枠組みの中で引き受け、それを履行すること。」も、廃止されたのです。
それどころか、アレフの法人格の裏付けだという「宗教理念」(2008年5月20日作成)にも、「運営規則」(2008年5月20日作成)には、オウム真理教の名称も、麻原彰晃こと松本智津夫の位置づけも、賠償義務を履行する旨の規定さえも、もとより上記事件の反省文言さえないのです。一部示されているのは、「コンプライアンス規程」のみですが、これは教団内での法的位置づけが全く不明であり、かつ極めてあいまいであって、上記「廃止」された諸規約からはるかに後退しているのです。

第7 教団の危険性の本質と現在の状況
1 教団内ではしばしば言われてきた言葉があります。「現世は湖面に映る虚像」「社会の常識はオウムの非常識、オウムの常識は社会の非常識」「真理のための嘘」「対機説法」などです。
教団信者にとって、現実社会は、延々と続いてきた「輪廻転生」の中の1つに過ぎず、虚像です。そして、たまたま人間に生まれ、「麻原尊師」に出あいその教えを知ったから、輪廻転生の苦しみから逃れる「解脱」するために、信者としては利用するだけのものです。ですから、社会の常識など気にする必要はなく、対外的な所で偽りの体際が整っていればいいものです。その体裁を整えるため、そして自らの「解脱」のためには、嘘も平気でつくべく「真理のための嘘」などというのです。
これらは、教団の教えの中核である「ヴァジラヤーナの教え」(教団流の「金剛乗」)からする1つの側面です。教団は、ヴァジラヤーナの教えは封印したとなどと言っていますが、「真理のための嘘」と言った態度は何ら変わっていません。そもそもオウム真理教では、「マハーヤーナ」(大乗)での「救済主義」の延長上に、是非とも衆生を救済する、何としても救済するとして、「ヴァジラヤーナの教え」があるのですから、その他の教えと密接に関連しており、一部の教えを封印するとか、もう関係が無くなったなどとすることなど、できようもないものです。

2 教団の危険性の本質は、暴力団のように「悪いこと」と知っていて罪を犯しているのではなく、本質的には「良いこと」として罪を犯すことにその根ざします。死刑が確定した12人の元弟子の裁判でも明らかなとおり、サリンを撒いた者たちは、なんと「衆生救済」のため、「良いこと」としてサリンを撒いたのです。その他の大小様々な違法行為も、「良いこと」としてなされているのです。
「悪意の殺人には限度があるが、善意の殺人には限度がない」「人は宗教的確信に立つとき程、完璧に、しかも喜んで犯罪をおかす(パスカル)」のです。その恐怖を忘れてはならないものです。
今も教団にあっては、麻原を否定せず、その教えを脈々と維持しているのですから、この恐怖を現実に感じます。麻原が指示せずとも、これに代わるものが出てくれば、同様の事態になるのです。事実、分派の「ケロヨンクラブ」では、麻原が胸の中に宿ったというようなことを言いだした女性がグルとなり、メンバーがバチで多数回殴打されて死に、傷害致死事件として有罪になっています。そんな現象が教団本体で起こっても何らおかしくないのです。最初は内部のリンチ、独房への閉じ込め、薬物使用(教団信者は多くLSDや覚醒剤を経験した者であり、禁断の木の実を食べたもので、その神秘体験が信者に与える影響の大きさを知っていますから増長してくればまた使用するでしょう)から始まると考えますが。

3 2011年11月17日、教団「アレフ」は、信者数を1000人以上と公安調査庁に報告してことが判明しました。公安調査庁は、団体規制法に基づき年に4回信者数などを報告させていますが、報告ベースの信者数が1000人を超えたのは2007年に「ひかりの輪」が分裂して以来初めてでした。
近時の入信は、ダミーのヨーガサークルや、信者が作った占いのホームページを窓口にして親しくなった後にオウム教団だと知らされたり、教団の各ホームページに幻惑されて入っていきます。1995年当時は、小学生や幼児だった人がもう学生や社会人になってきているのです。事件もその恐ろしさの本質も知らないまま、入信していくのです。
もともとの信者はもちろん、そんな若者が再び事件に走らないために、その人生を滅茶苦茶にしないためには、国と社会の監視が必要です。法律の解釈についても、暴力団以上に厳しくあたるのが当り前ではないか、と考えます。
 
第8 アレフ特質のまとめ
  教団は、今なお反社会的な存在であって、秘密性・欺瞞性といったオウム真理教の特徴もアレフの中に脈々と引き継がれていると認められます。
  2010年7月に発行した私が理事・事務局長をしている日本脱カルト協会の会報15号には、私が「オウム裁判をめぐって」という標題で、1995年5月以降のオウム真理教の経緯も多く記載した文章があります。「獄中説法の影響期」「破防法棄却による誤解とハルマゲドン期待期」「団体規制法制定と麻原隠し期」「上祐派と原理派(妻・三女派)の暗闘期」そして「大分裂期」の5つにわけてあります。1995年5月以降の教団の異様さ、危険性が分かると思います。
   どうぞ、参考にして下さい。

第9 本件申立人の主張に即して。
 1 本件申立人は、自らが特定されたなどと主張しています。しかし、本件放送は、もっぱら東京圏内だと聞知しますから、**周辺の方々にとって分かるはずもありません。また、****の***大学を卒業、****で就職、**歳の男性などというは、実に多数の方がいるのですから、特定されるはずもありません。
  ただ、もともと申立人を知っている方において、なんらかの方法により本件番組を見知った人たちの中には、申立人ではないか、と考えた方もいる可能性はあります。しかし、申立人の顔はあくまでモザイクがかけられており、決して明白に分かるものではありません。もとより新たな職場などで分かるものでもありません。
  申立人は、友人らとともに撮影された写真が利用されたから、彼らに知られる可能性があるという主張のようでもありますが、上記の通りの教団アレフの状態であって、信者が増えることは上記の日本国法上、避けるべきものとされているのですから、友人に知られる可能性は、可能性にとどまる限りまさに甘受すべきものです。なお、申立人は信者として公安調査庁に対して報告されている筈の立場の者でもあります。そうでなければアレフが報告義務違反を犯していることとなります。

結局、放送によって国民の「知る権利」に尽くすものでありこそすれ、申立人の特定については相応の配慮がなされている本件番組は、公益性の観点からしてなんら違法性も不適切性もないと確信するものです。この点、申立人は、自らが選択している状況を理解していないと言う外ありません。
  本件は、このような特異な事例でもありますところ、BPOほかの審査機関においても誤解があってはならないと思料します。

 2 申立人は、アレフ道場の向かい側に住む者として報道され、それが特定されるとして問題にしています。この点、オウム真理教アレフの特性上、留意すべきところがあります。
  すなわち、オウム真理教にあっては、「出家者」はもともと各支部や山梨県の旧上九一色村などの教団の施設に寝泊まりするものでありましたが、1995年の強制捜査の後、施設の余裕がなくなり、また財政基盤の確立のためにも、「出家者」であっても教団外で働く部隊ができ、そのまま今日に至っている状況です。
  もともと「出家」の前には教団近辺に居住するなどの事態もあり、教団周辺の賃貸建物を住まいとして日々生活し、道場で毎日長い時間過ごすことを容易にするようにしています。また、そこで何人もが共に生活してアジトとする蓋然性もあります。
ですから、教団施設との距離関係とその生活状態は、本人の教団への傾倒の度合い、教団の関与の度合いを知るに必須の事柄です。この指摘はマスメディア外によって、社会により広く知られるべきことです。
  よって、申立人が**道場の近隣に引っ越していたことの報道は、実に適切です。これなくしては、オウム真理教アレフの勧誘手法と経緯を社会に示せなかったというべきでしょう。公益性の観点、国民の知る権利からしてその意義が十分にあり、申立人は甘受すべき立場のものです。

 3 申立人は、2012年末、**地方に帰省したところが撮影されていた、会話が声を変えてではあるが録音され放送された、カウンセラーがインタビューに応じていたなどとしていますが、この点に問題があるとは到底思えません。
   **地方は極めて広く申立人を特定するものではありませんし、会話は、オウム真理教アレフのメンバー心理を知るに貴重な情報で、極めて公益性の高いものでした。申立人の顔は分からず、声も声質を変えてあるものであり、申立人は特定されていません。もとより、親御さんらは映像の形態自体から明らかなとおり、撮影と放映に同意しています。
直筆手紙の放映についても直ちに申立人として分かる方は親ら以外にいないことは確実であり、申立人において個人特定がなされるという心配から疑義を述べていますが、問題はないと思料します。内容についてもその心情を示すための公益上必要な最低限の範囲であったのであり、許容できる範疇のものと確信します。

 4 およそ、本人が「特定された」と訴えているとか、申立さえすれば本人の人権が侵害されたと推定してしまうのは適正でないと確信します。
  およそ「報道に関し、公共性・公益性との関連の程度に応じて、報道される側の名誉・プライバシー等に配慮し、行き過ぎた取材及び報道をしないこと」などという一般論(日本弁護士連合会が1987年11月なした宣言の一部)は、それ自体としてやはり「空疎」です。マスメディアの取材・報道はまさにギリギリのところでなされるものであろうと確信します。

  本件番組は、無差別大量殺人をなしたオウム真理教、アレフそれが今どうなっているか、その上記の通りの特質と状況を分かりやすく報道しており、かつ今日、若い人はどうしてまたどのようにして入信していくのか、そしてそれはして他人事ではないと分かりやすく知らしめたものでした。

  そして極めて重要なことに、それは申立人に焦点を当てることによってこそ十分に浮き彫りにすることができた番組でした。閲覧すれば誰でも感得できるところだと確信します。一方、本件番組においては、申立人の苦情申し立てについては相応の配慮が払われています。
これらを考え合わせれば、本件番組について、テレビ東京に対して、なんらかの勧告や見解をなすこと一切不要だと確信します。
それは「ダメの記者」「ダメな報道」を増やしていってしまうものでありますから、一切不要だと確信します。

上記の通り、陳述します。            以 上
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