2010/8/11

被爆4世−遺伝の証明はないこと  メディア・ネット

あの、先に書いた「被爆4世」という表現はやめるべき、との関係で誤解を招いてはいけないので一言。

様々な障害児は、天才児が生まれるのと同様、どうやらある程度の比率でどうしたって生まれるものです。
そして、障害にかかわる何らかの遺伝形質があれば、率がある程度は高くなることがあるのは知られています。

1−その結果、遺伝の問題なのかどうかは、その当事者らにとって精神的負担となり、社会からは婚姻を初めとした差別の問題ともなります。

(私は坂本事件の調査で頑張っていた時、とある大先輩の弁護士から、「麻原は何人子供がいるの、どうして次々と子どもを作るの、目が見えないのが遺伝するかもしれないのに」と聞いた時には、その差別的発想に、心底軽蔑しました。仮にその確率が有意に高いのだとしても、それ自体は本人の自由だからです。もちろん、麻原死刑囚は子ども対しても無責任に過ぎましたが。ちなみに知る限りでは、その子どもらは目は悪くなってないです。)

2−ですから、ある一定の事柄が、真実、遺伝形質に影響を与えるかどうかは、真実科学的に証明されているものでない限り、少なくとも統計上有意の差が認められない限り、滅多なことでは言ってはならないことだと考えます

 原爆についても、被爆者健康手帳が22−3万人にとどまり、まだまだ多くの被爆者や入市被爆者(原爆投下後まあ2週間以内?に入って残留放射能を受けた人)がおそらくもらっていないのは、ましてその子どもが多く手帳を持っていないのは、これが最大の理由だと思われます。
 自分だけでなく、子どもが差別されるのではないかと思って、手帳を貰わないのではないか、と。遺伝の問題ではない胎児被爆の小頭症という悲劇と混同されてイメージされ、心配してしまうのです。

 実際、最近のサイトである下記など見てください。酷いものです。
http://qanda.rakuten.ne.jp/qa2326897.html

 その結果、治療援助を受けていない被爆者も相当数いるだろう、と心配しています。私の知る入市被爆者は、数日後に広島に入って遺体処理をした方ですが、既に同じことをした同僚らがほとんどガンで亡くなり、その方がガンで死んだところ、認定など皆申請していなかったということでした(毎年追加される名前には、そのような方々の名は含まれていないのです)。

3−ところが、反核兵器運動の中で、昔からそして今も、核兵器の放射線の影響が、子や子孫に当然伝わるような言い方で、原爆の危険性と非人道性を言っていることを時に聞きます。私は、これを実に苦々しく思ってきました。証拠がないのに。自分たちで偏見を広めてどうするんだ、と。
 
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-04-03
から見るように、確かに放射線の生殖細胞への影響はあり得るようです。

ですが、下記の所のように、更に理解しやすく正確だなと思われる記述のサイトもあります。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1118663526

 そして、原爆の場合、実に強い放射線だったわけで、仮に障害ある卵子、精子があっても、多くは不妊という形、すなわち受精しにくく、受精しても着床せず、早期の流産の形となってしまったのではないかなあ、と思ってます(もともと男の精子のかなりの部分は正常ではないものでして−最近の若い男のは数が少ないだけでなく異常な割合も多くなっているみたい、これ実に心配−)。

 その結果か否か分からないですが、重要なことには、被爆者の子どもの出生後の子ども段階での調査では、他の場合と有意の差がないことが分かっているからです。

 だから、反核運動の中で、どうしてそんなことを言うのか、まして、被爆者の子ども(すなわち本人は被爆していない)の「精子」「卵子」も異常な可能性があるとして「子子孫孫」みたいなどうして言い方をするのか、少なくとも「----と言う不安があるのです」ぐらいの表現をどうして使えないのか、と思っているのです。

4−しかし、被爆者の子どもについての、健康診断を国の費用ですることなどは、一応賛成です。

 それは、被爆者の子どもについては、これからいわゆるガン年齢に達してくるのですから、統計上、他の場合と有意の差があるかどうかは、一応調べていいと思うからです。
(ただ、うーん、そんな親の遺伝子の影響よりも、本人の生まれた時からの食生活、タバコ、生活環境、職業環境という違いが極めて大きくあり、そもそもががん家系みたいなものも勿論あるのだから、どこまで意義があるのかしら、と思う)

http://www.rerf.or.jp/dept/genetics/lbg.html
では、今後の調査方法が記載されています。

 ちなみに、治療については、既に一部の病気について一部の自治体では援助しているようですが、釈然としないままです。それが広がっていけば、被爆者の子のガンは、親の被爆の影響だと決めつけてしまうようなものですから。

5−まして、孫、ひ孫となれば、統計上の有意の差さえも、証明される可能性は一切ないのです。

両親とも被爆者の場合の1分の1とか、片親が被爆者の場合の2分の1ではなく、孫4分の1、ひ孫8分の1、と被爆者からの遺伝情報は減っていくのですから。

だから、遺伝形質を示す「3世」「4世」などと表現するなど、有害無益だと思うんです。先に書いたのは、その趣旨です。
なお、その趣旨から、「被爆二世の会」と言う集まりがあるようだが、「被爆者の子どもの会」とでも名称を変えて欲しいし、被爆二世という言葉もう使うべきではない、と感じます。


(追加−そして、新聞社がそんな表現をして良いのか、と。いったいどこの新聞社なのだ、と。子ども、孫らの人数を、素人なりに考えてみました。
http://www3.rbm.hiroshima-u.ac.jp/project_abs/abs_src/abs_jsp/abs3100_showchart.jsp?get_level=N&get_jsp=3100&get_language=Japanese
によれば、被爆者の数は24万1308人となっています。

ですが、実際の被ばく者数を、素人なりに考えてみました。
このような考えは、全く事案は違いますが、地下鉄サリン被害者数から感じたことです。これは、当初の被害届出を得られたのが3000人以下だったのに、後に国の給付金受給者申請から6000人を超えていたことが判明したのです。それでも全員ではないはずです。
原爆でも、黒い雨にあたっただけの人、周辺町村、3日以降の後の入市被曝者など上記人数に入っていないことが多いようですから。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7700.html
によれば、広島市の昭和15年の人口は45万人、
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/toukei_data/kokuseityousa/H12/jinnkou2.htm
によれば、昭和15年の長崎市の人口25万人です。

疎開していた人はそう多くないように感じ、またその他周辺の町村にも被爆した方がおり、入市被爆者も実に相当人数がいる訳で、実際の被爆者及び被曝者は、やはり70万人ぐらい?なのではないでしょうか。
これを35歳以下に限っても50万人ぐらい?になるのではないでしょうか。、

で、被爆者の子どもの数ですが、被爆者自身、数年以内に亡くなった方も多いから、その全てが子供を設けているのではないでしょうし、被爆者同士での結婚の方もいようから困難ですが。
5割の方が3人ずつ子を設けたと計算して(昔は多く生んだものです)、子どもは75万人。
その7割が2.5人ずつ子を設けたと計算して、孫は、131万2500人
その7割が、2人ずつ子を設けたと計算して、ひ孫は183万7500人
ちなみに、その7割が、1.5人ずつ子を設けたと計算して、ひ孫の子は192万9375人です。

ひ孫までの合計で390万人。
日本の全ての人々の30人に1人ぐらいで、不思議はないと思います。


その人に、たまたま親、さらに祖父母、さらに曽祖父母など被爆していたからと言って(知らない人も実に多いでしょう)、不安を与え、また婚姻などで差別される危険性の源となる偏見を助長して、何の意味があるのか、と。−以上追加−)

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下記は、まあ、原爆投下直後から「治療しないで調査ばかりしていた」ということでは批判されているABCCの後継である研究所サイトからの一部転載です。

まあ米国も未だにお金を出しているのは、米国として情報を欲しいとし、実際提供しているからでしょう。
人によっては、米国として、原爆の影響が子孫に残るなどと言うことにしたくないから、下記のような報告内容なのだ、などと穿つ人もいましょうが、今日まで続いている被爆者の子どもの調査の関係では考え過ぎだろう、と思います。

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http://www.rerf.or.jp/index_j.html
放射線影響研究所(放影研)は、1947年3月に米国が設立した原爆障害調査委員会(ABCC)の業務を引き継ぎ、1975年4月に設立

http://www.rerf.or.jp/dept/genetics/lbg.html
遺伝生化学研究室
親の放射線被曝が子供に及ぼす影響、すなわち放射線の遺伝的影響に関して、幾つかの大規模な調査が1948年以来行われています。
両親の一方もしくは両方が被爆者である場合、生まれてくる子供の死産率、奇形率、出生直後の死亡率、染色体異常および蛋白質レベルでの突然変異率などが親の被曝線量の増加と共に増えているかどうか、これまで調査が行われてきました。その結果は、いずれにおいても親の放射線被曝の影響は観察されませんでした。子供が成人に達した以降の死亡率については、これまでのところは親の被曝の影響は見られていませんが、継続して疫学調査が行われています。

http://www.rerf.or.jp/programs/index.html
(4)原爆被爆者の子供(F1)に関する調査
 親の被爆による遺伝的影響があるかどうかを調べるために、被爆者の子供を対象とした調査を行っている。初期に行われた出生時の障害に関する調査では、親の放射線被ばくの影響は認められていなかった。その後、被爆者の子供の死亡率や、染色体や血液タンパク質の異常に関する調査も行われたが、被ばくの影響は観察されていない。最近は、死亡率追跡調査の継続と、遺伝子DNAの調査が行われている。また、新たに2002年からは、出生時には観察されないが、中年以降になって生じる生活習慣病(高血圧や糖尿病など)の発症に関する臨床調査も開始された。この調査は、被爆二世団体の協力を得て、こちらから健診を依頼した人のうち、本人から受診の意思を確認できた人、約12000人を対象として、4年間かけて行われる予定である。

その詳細は、
http://www.rerf.or.jp/programs/outline/progf1.html

調査内容は、下記−被爆二世健康影響調査:臨床健康診断調査
http://www.rerf.or.jp/programs/rparchiv/rp01-02.htm

http://www.rerf.or.jp/radefx/genetics/geneefx.html
原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響
出生時障害(1948−1954年の調査の結果)
原爆被爆者の子供における重い出生時障害またはその他の妊娠終結異常が統計的に有意に増加したという事実は認められていない。広島・長崎のほぼすべての妊娠例に関する調査が1948年に開始され6年間続いた。

http://www.rerf.or.jp/radefx/genetics/chromeab.html
被爆者の子供における染色体異常(1967−1985年の調査の結果)
放射線被曝により親の生殖細胞に相互転座や逆位などの安定型染色体異常が増加したかどうかを調査するために、原爆被爆者の子供(F1)に関して広範な染色体分析が行われた。しかしF1における異常の増加を示す証拠は得られていない。

http://www.rerf.or.jp/radefx/genetics/mortalit.html
被爆者の子供における死亡率およびがん罹患率
放影研では、寿命調査(LSS)集団に属する被爆者の子供で、1946年5月から1984年12月までに生まれた人について、死亡率およびがん発生率を追跡調査している。この集団の年齢は、2007年の時点で23歳から61歳の範囲にあり、平均年齢は47歳である。これまでの調査結果によると、20歳以前あるいは20歳以降におけるがん発生率またはがんおよびその他の疾患による死亡率の増加は観察されていない。しかし、この集団における疾患のほとんどは今後発生すると思われるので、疾患発生に及ぼす親の原爆放射線被曝の影響に関して結論を導くためには、今後更に長期間の追跡調査が必要である

http://www.rerf.or.jp/dept/genetics/lbg.html
ここでは、今後の調査方法が記載されています。
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